大判クラブ④【保存用:㊙詳細版】
さて4回目にしてようやく今回の改造の本題に入る。今回は目的は
・4×5のフランジバックが長いことを利用して、通常のカメラでは出来ない等倍以上の超マクロ(=拡大撮影)にTRYすること
・大判時代の近接専用レンズ(ニッコールAM120mmED)等の性能を試してみたい
・一般的な商品撮影にもDSLRとほぼ変わらない対応可能な構造と堅ろう性、4×5の特質を活かした大きなアオリ効果が駆使できること…
である。
よってベースの4×5カメラの重さや携行性の悪さには、当面目をつぶることにした。
リンホフボードの活用
4×5などの大判カメラのレンズは汎用性の高いリンホフボードに取り付けて使用するのが一般的だが、このリンホフボードをDSLRカメラを取り付けるマウント側に使用できないか?と考えた。以前(大判クラブ①)述べたように、一般的なレンズマウントアダプターではDSLR機の突起部などの障害を避けるため、かなり余裕を見た設計で、筆者が購入したFotodiox Proでは30mmものフランジが生じてしまう。現在使用しているニコンD850 を実測してみたところ、マウント部からグリップ部までの相違(*D850 の場合は内蔵ストロボが無いので軍艦部よりグリップ部の飛び出しが大きい)は13mmほどのようで、ニコンの接写リングPK-12が14mmということだからこれが利用できそうだ。
こちらを使用するトヨビュー45Gの標準カメラバックを外した後枠に直接取り付けることが出来れば、今までのマウントアダプターより16mmのフランジ節約になる。加えて無視できないのが元々のカメラ後枠の厚みで約10mmもある。ビューカメラの利点で(表も裏もないので)、後枠にも前枠用の平らなレンズ用のボードをはめてしまえばよい。しかも、ここがポイントだが、リンホフ用のボードを介してはめる構造にすれば(元々、リンホフ用の厚みが凹んでいる構造なので、Wパネルによる距離の変化はない)、今回試すニコンFマウント用以外にも、他のマウント用を作って行けば、他社のカメラも使える訳だ。あるいは使うカメラのサイズによって、もっと薄いマウントも使用できるかもしれない。
【Fotodiox Proとリンホフボードの厚み比較図】
リンホフボードの改造
リンホフボードは#0、1、3とシャッター用の穴が開いて売られているのが標準で、穴の大きさは
No0 34mm
No1 41mm
No3 65mm
となっている。ニコンFマウントの内径は36mmなので、今回はNo1:41mm穴のものを使用する。購入したリンホフボードは2mm厚でここにPK-12を取り付ける訳だが、本来レンズを取り付ける側のマウントが4本ネジで止まっているので、その穴をを利用することにする。マウントを固定しているネジを外していくがかなり細いネジでうっかりするとどこかに紛れてしまう。机の上を片付けて慎重に作業する。
【外したPK-12のレンズ側マウント部 使用されていたネジは1.4×6mmのようだ】
外したマウント部を裏返して、リンホフボードの穴が中央に来るようにセットし、ネジ穴の位置を決める。これまでいろいろな撮影用の仕掛けを作ったり、一時は鉄道模型をやったりで、工作には多少の自信があったが、今回はこのネジの大きさからして寸分の狂いも許されない、しかも2mm厚のリンホフボードだ。いつになく緊張して作業を進める。
【めでたく取付用の4つの穴が開いた!】
一汗拭って、今度はボードの裏側からネジ止めでマウントの固定に作業にかかる。1本のネジで今度はボード分の厚みを加えた長さのネジで止めていく訳だが、用意しておいたネジは「時計修理用」としてセットで購入したもので、同径では6mm長のものまでしかない。最初にはめてみたところ、ネジが利きだして二回りもないうちに止まってしまい、なんとも不安だ。何しろこの細いネジ4本でD850 のボディ1005g(バッテリーおよびXQDカードを含む)を支えるのだ。慎重を期すためにいったんネジを外し、「少しでもネジ利きのリーチを稼ぐため」2.5mmのドリルで0.5ミリ程度の皿もみをやってみる。もう一度組んでみるが、気のせいか?わずかな「カクカク感」が感じられるような気もする。不安だ!
自転車を飛ばし秋葉原へ
ネットでネジの販売をググって見るが、元々規格がよくわかないのと、第一直ぐ届くとも限らない。ホームセンターは今回の前に行ってみたが、通常のホームセンター程度ではこんな小さなネジは売っていない。ここは秋葉原だ!
幸い晴れた土曜日の午後、久しぶりの自転車を飛ばして秋葉原へGO!
少年時代に通ったラジオ会館などは様変わりしていたが、少し外れたところに専門店があった。やはりアキバだ!都心に近い強みだ!
専門店ではやはり困った風に細かいパーツを探す兄ちゃんたちがウロウロ、ここは恥を忍んで番頭さんみないなベテラン店員に「これより少し長いネジが欲しい!」と教えを請うた。
『ウチにあるのはこれだけだよ』と見せてくれたのは予想に反して黒いネジ。しかし考えてみれば、全ての作業が終了したら、内面反射防止のために金属部は黒く塗ろうと思っていたので一石二鳥。
当初予想の6mm→8mmに加え、もう一回り長い10mmも購入して締めて880円(税込・交通費ゼロ)
【アキバの底ヂカラに助けられた!(西川電子部品)】
自作マウント(パーツはそれぞれ既成だけど)の完成
再度慎重に組み上げるが、マウント内部の引っ掛かりや“細部の浮き”もないようで、8mmでなく、10mmネジでも支障はないようだ。ということで、1005gを支える保険として10mmを採用。(強度は関係ないと思うが、万一抜け始めたとき、リーチが長い方が引っかかる? というせこい理由)
組みあがった新マウント機種は、予想通り120mmレンズの使用は全く問題ないようで(レンズ側に凹みボードを使用すれば、90mmまで行けるかもしれない?)、次回以降でようやくテストがお伝えできると思う。
【完成写真】
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