大判クラブ①
4×5カメラとDSLR(デジタル一眼レフカメラ )を組み合わせるのは、フランジバックとの闘いだ。最近は市販でもさまざまなものが開発されているようで、ホースマン Axella SX では「最短フランジバック44㎜*」などとうたわれているが、どうやらこれは(*デジタルバック使用時)のようで、撮像素子が前面にきたデジタルバックの場合で、市販のニコンやキヤノン等のDSLRを使用する場合はその取り付けマウント+DSLRそのものが持っているフランジが加算されることになる。加えてこの段階で大枚 390,000円(税別・ニコンFマウント用) も出すわけにはいかないし、手持ちの4×5カメラとDSLRを活かすことにする。
ホースマン Axella SX o-pi.co.jp/horseman/digital/AxellaSX/index.html
改造に取り組むカメラはかつて愛用してきた国産のトヨビュー4×5G だ。これならほぼほぼちゃんと稼動する一台と、やや難ありだが部品は使える一台があり、このチャレンジにはもってこいだ。難点は重量が5.5㎏ととてつもなく重いのとフランジも最短99mmと長い。もっとも当時のシステムビューカメラとしては標準的なもので、ジナーの高級機などは7kgくらいはあったと思う。
重さはかつてのように屋外やロケに頻繁に持ち出すこともないと思われるので、致し方ないとしよう。問題はフランジバックだ。当スタジオで主に使用しているニコンの場合、例えば引用した下図のようにボディ側だけでフランジは46.5mmもあるという。(※D850 の場合:https://onlinemanual.nikonimglib.com/d850/ja/08_focus_02.html)
ベース機のトヨビューのフランジバックが99mmとして、これにマウントアダプターの分が加わる。実はまず手堅く既製品の【Fotodiox Pro レンズマウントアダプター】(下写真)を購入していたのだが、これだと厚みが30mmもある。単純計算で、99mm(トヨビュー)+30mm(Fotodiox Pro)+46.5mm(D850)=175.5mm! これだと180mm以上のレンズでないと使えないことになってしまう!
私が大判カメラを改造してまで使いたい理由は、ほとんどが近接撮影なので、無限遠より蛇腹は伸びる筈なので、まぁその下の150mmレンズぐらいならある程度は使えるが、DSLRの商品撮影で180mmや150mmのレンズを使うというのは(やったことがある方は分かる筈だが)現実的ではない。レンズの焦点距離に従ってワーキングディスタンスが増えるので、例えばワインの瓶一本撮るのに2メートルくらいは離れることになる。いくら何でももう少しは広いものも撮らないと仕事に活かすメリットはないだろう。実は今回の動機として一般のマクロ撮影領域を超えた超マクロな商品撮影を行ってみたいという要望があり、これらの目的に一番使いたかったレンズはかつての4×5時代に小物撮影で愛用したニッコールAM120mmEDなのだ。
ニッコールAM ED120mmF5.6S
等倍使用時に最良の光学性能が得られる近接撮影用大判レンズ 特長
とくに等倍使用時に最良の光学性能が得られるよう設計された、新しいタイプの近接撮影用大判レンズ。
色収差をはじめ、諸収差を良好に補正するED(特殊低分散)ガラスを採用。シャープな解像力と豊かな描写力で対象を捉え、フレアやゴーストの少ない鮮明な画像が得られる。
時計・貴金属・アクセサリーなど小物品の近接撮影に、その特性を充分に発揮。(https://www.nikon-image.com/products/nikkor/other_lens/am_ed120mmf56s/)
この小物商品撮影に取り組む撮影家の心をくすぐる謳い文句を、何としても現在のDSLRで実証してみたいではないか! かくして、現在の関心といくばくかの今後の仕事への応用という野心を目的に、あらたなカメラ改造に取り組もう。
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