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小さな部材を安全で正確に加工するには…

ルータ(トリマ)テーブルという工具があります。(冒頭の写真)

ルータもしくはトリマという電動工具を座卓のような小さなテーブルの天板の裏面にひっくり返して取り付けたような道具で、木工屋さんにはおなじみの工具です。

今回は、これを使って小さな部材をどうやって加工するかっていうお話。


こういうことやっちやダメですよ! 指が無くなりますよ!

ルータやトリマは、部材の角の部分を丸く(面を取ると言います)したり、溝を掘ったりするのに使うのですが、とても便利な反面、使い方によっては非常に危険な工具なんです。

ちなみにルータもトリマも基本的に同じ加工をする工具で、大きさで名称が異なっています。大型がルータ、小型のものはトリマと呼ばれています。

左がルータ、右がトリマ。改めて大きさの違いに驚く。

使ったり、使っているのを近くで見た経験のある方だったら分かると思うのですが、電動工具って総じて動作音が喧しく、また、耳障りな金属音を発するものが多いので、使う前から腰が引けてる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?

ルータやトリマも同様で、危険な工具として悪名高い電動丸鋸並みにうるさいです。

基本、手持ちで使うのですが、刃物(ビット)自体は小さいので

「これなら、全然余裕じゃん!」

って思う方もいらっしゃるかもしれませんが…。

でも、大抵はこの動作音で「ウッ!」ときます。

(メーカのカタログやDIY関連の雑誌なんかで、女性がにこやかに笑いながら使っていたりするんですが、「あり得ん」だろうと思う)

そして実際に使ってみると、コントロールが難しい…

工具本体が勝手に自走したり、あらぬ方向に材料を引き込んだり、加工中に妙な振動やら異音がしたり、果てはキックバックで材料がすっ飛んだり、材料がでかすぎると逆にルータがすっ飛んだりします。

高速回転するビットが折れて飛んできた…なんていう話も聞いたことがある… 

30,000rpmで高速回転する超硬の刃物…
マジで怖い… 怖すぎる…💦

「旦那、そりゃ銃弾と同じでっせ!」

ルータテーブルを使うと、ルータ(またはトリマ)自体はテーブルに固定されるので、材料だけを保持すればよく、ちょっと安心… 

(でもないんだよなぁ、これが… 事故の話も聞くし)

いずれにしても、

怖いんだけど、上手に使えば応用範囲はそれこそ無限にあって、実に便利な道具なんです。

なので、我慢して使ってます。

※ ルータもトリマも加工時の挙動やセッティングが独特で、安易に使うと重大事故の原因になります。なので、初心者向けの工具ではありません。
雑誌や動画等を見ると簡単に使えるかのように感じられるかもしれませんが、ある程度、電動工具や木工作業に慣れてからのご使用を強く推奨します。(怖い経験を幾つもしてきましたので老婆心ながら…)



本題に戻って、

今回、ルータテーブルを使って2cm × 14cm 厚み8mmの木片に、12.5Rの丸溝を掘る作業をしました。

どんなのかって言うと、

こういう部材に
こんな風に丸溝を掘る。

こういう加工は通常の作業環境だと、ルータ以外では難しいので加工方法は一択になります。

中央付近に回転する丸溝ビットがあります。それに向かって部材を押し込んでいきます。

部材を切り込んで行くとき、素直に削れてくれれば良いのですが、ビットの直径が25mmもあるので、かなり抵抗があります。

また、ある時は材料を引き込んだり、逆に反発したり挙動が安定しない。

部材が軽いので切削抵抗に負けてバタつきます。

おかげで切削面はガタガタ
   ☞ 使い物になりません。😿

プッシュブロック(黄色い奴)で抑え込みながら送材するのですが、部材が小さいので、均等に力をかけるのが難しい。

抑え込み過ぎると摩擦で部材が動かない。
…かといって力を入れないと動きを制御できない。

直接、手で押さえればもう少し微調整も効くのでしょうが、高速回転するビット(刃物)に触れるくらいの至近距離を手が通るので、怖すぎます。

実は、木工で小さな部材を加工するのって想像以上に厄介で危険を伴うことが多いんです。
その状況は機械でも手道具でも変わりません。手道具の方が、相当にましですが。

モノが小さくても、刃物の切削抵抗は変わらないから、部材の固定は必須です。
でも、小さいがゆえに作業台などに固定する手段が限られてきます。

また、重量が軽くなる分、ちょっとした挙動の変化で刃物に弾き飛ばされることが多くなります。
手と刃物の距離が近くなるため、恐怖感も激増します。

「小さいから簡単でしょ!」 

と思われるかも知れませんが、そうではないんです。

…で、どうしたもんか、

暫く腕組んで考えていたんですが、なんとなく目に入ったのが、

蝶ネジで両側から閉めつけます。平行に締め付けられるようにΦ15のアルミのパイプを仕込んであります。

カンナで小さな部材を削ったりするときに使う簡易な万力です。
これで部材を締めこんで送材してやれば、安定して削れるという訳です。

こんな感じで部材を挟み込んでやります。面位置が揃うように注意
そのままだと反対側の蝶ネジがフェンスにぶつかるので、薄板のスペーサを挟んであります。
万力を手で掴んで送材してもそれほど怖くありません。プッシュブロックの使用も、もちろん有り。

結果、

まぁ、よろしいんじゃないでしょうか。

そこそこ、満足できる仕上がりになりました。
それでも一回では切削量が多すぎて危険なので、数回に分けて削りました。

プッシュブロックだけでやってた時の写真を撮ってないんですが、正直、ガタガタでした。

それに比べれば雲泥の差。

これ以外でも、ルータテーブルで小さい部材を削る際に、色々と応用が効くんではないかと思います。

こういったやり方で加工している事例を見た事が無いので、参考にしていただければと思います。

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