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台風で。〜小さな親切、大きなお世話

今回の台風は、なかなかの被害が起きた。

私の住んでいるところは大丈夫だったのだが、周りは少し被害が大きかった。

こういう時、私はすぐに行動を起こそうとするのだが、今回は躊躇してしまった。

『小さな親切、大きなお世話』

この言葉が頭をよぎったのだ。

実は前に、大きな台風が来た時、私がお世話になっている会社の系列店が浸水被害を受けたことを知り、いてもたってもいられなくなった。
私はちょうど休みだったこともあり、そこへと急いで向かったのだ。

そこにはやはり本部からの人がたくさん来ており、後片付けに追われていた。

私はすぐにその本部の方に挨拶をし、
「お手伝いすることはありますでしょうか」と声をかけた。

「よく来てくれたね!すまないが、あちらの片付けをお願いできるか」
そう言われ手伝いを開始した。

私は正社員で働いていたこともあり、本部の人とはほとんど顔見知りである。
しかし、そこの会社の人(特にパートさん)たちは私の存在を知らない人も多く、誰だろうあの人と言う顔で見られていた。

もちろんそう思われていても構わなかったし、気にもならなかったのだが、
「これはどちらに置いたらいいですか」など、話しかけた時の反応がいまいちなのであった。

同じようなことを本部の人に言っても、普通に返ってくるのに、パートさん達の塊には、素っ気ない返事をされたり、少しキツめの態度だったり、ヒソヒソと何かを言っているようだった。

もちろん、指示を仰いで動いていたので、勝手な行動をしたり、迷惑になるような事はしていなかったと思う。
でしゃばったりもせず、てきぱきと動いていたはずだ。

パートさん達の態度が気になったが、今はそれどころではない。片付けのめどが立つまで、少しでも早く作業が終わるようにと気にせずに動いていた。

作業が終わり、帰る前にそのパートさん達に「お疲れ様でした」と声をかけて帰ったのだが、最後の挨拶までも素っ気ない。

本部の方たちにも挨拶をして帰ったのだが、「今日はありがとう、お疲れ様!」と、いつも通りの反応だったのだ。

片付いて良かったという安堵の中、車で帰りながらふと思った。

もしかしてこれは大きなお世話だったのではないかと。

いてもたってもいられない→その場に行って作業をする→自己満足。

これだったのではないかと。

それだとしたら、他の方たちには、私は偽善者にしか映っていなかったであろう。
それならば嫌悪感を持たれても仕方がない。

余計なことをしてしまったなと思った。

それに、嫌な思いをさせてしまうということに気づかずに行動してしまったことに、自己嫌悪になった。

助けを求められたわけではないのに、勝手に行動してしまったことを反省した。

あれから数年が経っている。

忘れていたわけではないが、
今回の台風で浸水したという情報が入った時、つい即座に行動に移そうとしている自分がいた。

瞬時にあの時のことを思い出す。

『小さな親切、大きなお世話』

けど、何もできないというわけではない。
微々たるものにはなるかもしれないが、
募金だけはさせていただこうと思う。
1日でも早く平穏な日常が送れることを願って。

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(素敵なイラストお借りしました。ありがとうございますm(__)m)