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#ネタバレ 映画「エンパイア・オブ・ライト」
「エンパイア・オブ・ライト」
サム・メンデス監督作!『エンパイア・オブ・ライト』予告編 - YouTube
2022年製作 PG12 イギリス・アメリカ合作
2023.3.11
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
映画「希望の灯り」を連想するような、しみじみとした、お仕事映画です。
特にオープニング何分間の映像は情緒たっぷりで、「これだけで帰れる。元が取れた」と思ったぐらい(でも帰ってはいけません)。
それにしても、舞台となった海辺の土地と、そこにあるレトロ感あふれ、しかも、半分廃墟になっている映画館の味わい深さは、クセになりそう。
この映画、探してもなかなか無い佳作です。
ぜひ、映画館の大スクリーンで、この映画館に棲みついて下さい。
追記 2023.3.11 ( 「映画館は暗やみのサナトリウムである」 )
古巣にいた時に、マイページの冒頭に、このような(どこかで読んだ)キャッチコピーを長く載せていたことがあります。
在職中の私は、まさに、映画館に逃げ込んで救われていたから、実感でした。
この映画からも同じ思想が聴こえてきそうです。
そして、映画「チャンス」が劇中劇として挿入されていました。
こちらも、深く関係しているようです。
追記Ⅱ 2023.3.12 ( それぞれの「セグメント」を生きる )
映画「エンパイア・オブ・ライト」には、映画館の最上階にある廃墟のようなフロアで、棲みついていた羽を痛めたハトを、主人公たち二人が治療するエピソードがありました。
この一件で、年下の新入社員である黒人青年・スティーブンの優しさに、先輩の白人従業員・ヒラリーが恋するのですが、ハトの治療に「病院」の記号が込められていました。
部屋は心の記号ですから、廃墟の部屋は病んだ心の奥底を意味しているのでしょう。メンタルも癒される病院のつもりです。
スティーブンは人種差別の社会に悩んでいましたし、ヒラリーは精神を病んで入退院を繰り返していました。この映画館はヒラリーのような人を特別枠で雇ってもいました。
しかし、このカップルは成立しないのですね。
ヒラリーが入院している内に、スティーブンには年下の新しい恋人が出来てしまいます。と言いますか、二人は、少なくともスティーブンは「ちょっとした大人の遊び」のつもりだったのでしょう。その証拠に、退院して事実を知ったヒラリーとの修羅場はありません。
「セグメントの違い」いう言葉が適当なのでしょうか。
住む世界が違う者同士の恋愛は、古今東西、上手く行きにくいもののようです。だから、ヒラリーの恋は落ち着くところに落ち着いたのでしょう。これは人生の再出発を意味しています。
映画館には色々なプログラムがかかり、観客は、それぞれが、琴線に触れる作品を選択するように、生き方の選択は大切なことですね。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)