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#ネタバレ 映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」

「男はつらいよ お帰り 寅さん」
2019年作品
寅さんを偲ぶ会
2019/12/31 23:08 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

最近TVで、美空ひばりさんをCGで蘇らせ、新しい歌を歌わせる試みがありましたが、勝手に私は、映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」を、そのような作品だと思っていました。

寅さんの、過去の膨大なフィルムから引用したり、CG加工したりしたものを、新しく撮影した寅さんファミリーのお芝居と合成すれば、寅さんの新作ドラマができるかもしれません。

しかし、実際は違っていました。

これは、寅さんの甥の満男が中心となり、寅さんを偲ぶ物語なのです。

スピンオフ・ドラマと言っても良いのかもしれません。

ですから、ほとんどの場合、寅さんは過去の記憶として登場するだけです(あまりに完成度が高いため、私が気づいていないだけかもしれませんが)。

しかし、映画の途中には、大声で笑う人もいらっしゃいましたし、帰りがけ、劇場係員に「良かった!」と感謝の言葉をかける人もいました。

そんなことは、珍しいので、やはり、コアな寅さんファンには、たまらない一本だったのでしょう。

追記

私も、この映画を観たら、たまらなく、オリジナルの寅さんドラマが観たくなったことは確かです。

その気持ちは、「再放送が観たい」から、「故人に逢いたい」に変質していました。

いつのまにか、私も監督の手中にはまったのかもしれませんね。

★★★

追記 ( 寅さんを偲ぶ会 ) 
2020/1/2 17:10 by さくらんぼ

不在者・生死不明者の家族、友人、知人たちは、宙ぶらりんの気持ちの中で生きることになります。

もちろん、戸籍も抹消できず、行政事務も、それから派生する民間の事務も、ストップしてしまいます。

ですから、いつまでも宙ぶらりんでいるわけにも…。

特別編も作られましたが、1995年12月23日 映画「男はつらいよ 寅次郎紅の花」が、寅さん生前の、最後の作品になりました。

渥美清さんのお葬式がどのようなものだったのか、申し訳ありませんが、私に当時の記憶はありません。

寅さんのお葬式があったのかどうか、それも、覚えていません。

ですから、少なくとも私の中では、渥美清さんとも、寅さんとも、お別れしていなかったのです。

それが、この映画で叶いました。

これは、お葬式であり、ある意味、山田洋二監督がおこなった失踪宣告でもあったのでしょう。

「 失踪宣告(しっそうせんこく)とは、不在者、生死不明の者(死体が確認できていない者など)を死亡したものとみなし、その者にかかわる法律関係をいったん確定させるための制度である。」

( Wikipedia「失踪宣告」より抜粋 )

「 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。」

( Wikipedia「民法第30条」条文 失踪の宣告 より抜粋 )

追記Ⅱ ( だから「取っ手」と会話する ) 
2020/1/3 16:31 by さくらんぼ

私はずっと、寅さんのように片手にカバンを持って通勤していました(もっと小ぶりですが)。

サラリーマンは皮のカバンを持って通勤するのが当たり前の時代でした。

やがて合成樹脂製のショルダーバッグが一般的になりましたが、肩にかけて楽をするのは許されない気がして、いつも片手に持っていました。

仕事をリタイアしてからは、ショルダーの類になりましたが、今日、ひさしぶりに手で持ってきたら、とても安心感がわいてきたのです。

手のひらに感じる「取っ手」の安心感は、「旅は道連れ」の安心感につながっていたのだと気がつきました。

だから、寅さんがいつもカバンを手に持っている理由の一つには、「寂しさ」があったのでしょう。

追記Ⅲ ( 映画「旅情」のムービーカメラ ) 
2020/1/3 16:39 by さくらんぼ

( 以下、映画「旅情」のネタバレです。)

「 > 一人旅には期待と不安が入り混じる。そんな彼女の旅のお供はムービーカメラである。… 彼女は素敵なものを見つけたら「すてきね!」と、旅の相棒でもあるカメラに語りかけるつもりなのだろう。

そんな彼女は旅先で思いがけないロマンスに出合う。

ところで彼女はそのロマンスを、相棒でもあったムービーカメラで撮る事は、ほとんどしていなかったような気がする。旅先では幸せすぎてもやはり写真は撮れないらしい。新婚旅行の様に安定した幸せではない心理が、今は写真どころではない気分にさせたのかもしれない。

この映画は「彼女・カメラ・彼」の、三角関係の話でもあります。その結果「彼女と彼」が恋に落ち、カメラは負けたのです。 」

( 映画「旅情」追記Ⅱ 2017/10/15 9:49 by さくらんぼ より抜粋 )

追記Ⅳ ( 昔、火鉢の思い出も ) 
2020/1/4 10:24 by さくらんぼ

「 初釜やひそかに灰の美しく 」

これは俳句を詠む「AI一茶くん」の作とのことです。

(2020.1.4 朝日新聞(朝)1面 「天声人語」)で、「当方が心奪われた一茶くんの作品だ。新年の茶の湯という華やかな場で、あえて灰の美を読む。」(抜粋)と書かれていました。

映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、お正月映画だというのに、お葬式の話です。

その違和感が、★の評価を下げさせましたが、私もAIに教えられたようです。

追記Ⅴ ( 二代目寅さんが20代の女性だったら ) 
2020/1/24 10:11 by さくらんぼ

映画「記憶屋 あなたを忘れない」のネタバレにも触れています。

映画「記憶屋 あなたを忘れない」は、生まれつき、人の記憶を消す能力を持った人間(記憶屋)の物語です。

しかし、悩んでいる人の記憶を消すことが、いつも正解だとは限りません。そして消した記憶は、記憶屋の頭にコピーされてしまうのです。そのため、誰にも言えぬ苦しみ、悲しみの中で、生きることになります。

そんな、映画「記憶屋 あなたを忘れない」を観ていたら、遠くにふと、寅さん映画を連想しました。

寅さんは旅の先々で、たまたま道連れになった旅人たちの、わりきれない話(悩み事)を聞いてやります。すると旅人は、寅さんの実家にまで押しかけてきて、時には泊りがけで話をするのです。

その中には恋路話も混じっていることがあり、それは寅さんを傷つけ、寅さんは頭の中を「ぐちゃぐちゃ」にして、また一人旅に出るのです。

寅さん亡き後、NHK・TVでは「贋作…」が放送されるなど、国民は寅さんの後継者を探しています。

後継者は寅さんと同年代のおじさんだと決めつけずに、例えば20代の女の子であっても良いのかもしれません。寅さんだって第一作目は若かったのですから。

追記Ⅵ ( 二代目寅さんが20代の女性だったら② ) 
2020/1/24 13:34 by さくらんぼ

映画「記憶屋 あなたを忘れない」は寅さん映画へのオマージュなのか。

それについても、少しだけ考えてみましたが、現時点では良く分かりません。

ただ、映画のラスト、ヒロイン役の芳根京子さんが一人去っていくシーンで、彼女が持っていたキャリーバッグが、スチール製や合成樹脂のハイカラではなく、寅さんが持っていたような、オールドファッションなカバン・スタイルを、キャリー化した物だったのです。

追記Ⅶ ( 二代目寅さんが20代の女性だったら③ ) 
2020/1/24 13:51 by さくらんぼ

あの傑作TVドラマ「チャンネルはそのまま!」には、「バカ枠」で放送局に受かった女性と、「バカ係」に任命された同期の男性が出てきます。

そして女性が社内で問題を起こし、男性始め、同僚たちが呆れたり、怒ったり、感化されたりして仕事をする姿が描かれています。

しかし、取材先(旅先)で出会う、ターゲットになる人たちには、なぜか皆、その女性が人気で、頼れる人に映っているようなのです。

(寅さんをバカだとは思いませんが)話の成り行きで、仮に「バカ枠」だと仮定すると、「バカ係」はさくらになります。そして、家族たちが呆れたり、怒ったり、感化されたりする姿が、寅さん映画には描かれています。

しかし、仕事先(旅先)で出会う人々には、なぜか皆、寅さんが人気で、頼れる人に映っているようなのです。

そういう意味でも、寅さん映画 → TVドラマ「チャンネルはそのまま!」 → 映画「記憶屋 あなたを忘れない」には、何か流れを感じるのです。

追記Ⅷ ( 二代目寅さんが20代の女性だったら④ ) 
2020/1/25 15:29 by さくらんぼ

都市伝説かもしれませんが、「寅さんは異母兄弟のさくらに惚れていた」という話を聞いたことがあります。

寅さんが旅に出るようになった理由一つにも、それがあるとか。

そして、映画「記憶屋 あなたを忘れない」のラストに、ヒロインが寅さんトランクを持って旅に出るシーンがあって、やはり幼なじみに失恋したからなのです。

記憶屋は自分の記憶は消せないのですね。

追記Ⅸ ( 「福岡伸一の動的平衡」 ) 
2020/4/10 9:36 by さくらんぼ

「 進化の結果、高等生物が登場したあと、はじめてウイルスは現れた。高等生物の遺伝子の一部が、外部に飛び出したものとして。つまり、ウイルスはもともと私たちのものだった。それが家出し、また、どこかから流れてきた家出人を宿主は優しく迎え入れているのだ。

なぜそんなことをするのか。それはおそらくウイルスこそが進化を加速してくれるからだ。親から子に遺伝する情報は垂直方向にしか伝わらない。しかしウイルスのような存在があれば、情報は水平方向に、場合によっては種を超えてさえ伝達しうる。

それゆえにウイルスという存在が進化のプロセスで温存されたのだ。

… 中略 …

ときにウイルスが病気や死をもたらすことですら利他的な行為といえるかもしれない。

… 中略 …

生態系全体の動的平衡を促進する行為である。

かくしてウイルスは私たちの生命の不可避的な一部であるがゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。私たちはこれまでも、これからもウイルスを受けい入れ、共に動的平衡を生きていくしかない。 」

( 2020.4.3「朝日新聞」20面 「福岡伸一の動的平衡 ウイルスという存在 生命の進化に不可避的な一部 より抜粋 )

追記Ⅹ ( 本物の「古き良き時代」 ) 
2020/4/10 9:41 by さくらんぼ

寅さんみたいな人が親戚にいると、あるいは、寅さんが旅先で知り合った女性たちのような友人・知人が一人でもいると、ノー天気に「遊びに行く」と言われても、露骨に「来るな」とは言えず…。

「今はダメ、コロナがおさまったらね」と念を押しても、どの時点でおさまったとみるのかは、個人差があり、微妙で…。

気がつくと、いつ寅さんが帰郷するかとビクビクしている、おいちゃんみたいな心境に。

追記11 ( 二代目寅さんが20代の女性だったら⑤ ) 
2020/5/2 7:10 by さくらんぼ

①往年の人気TVドラマ「木枯し紋次郎」が、同じく人気TVドラマ「ハケンの品格」として生まれ変わっていたのだとしたら(詳細は映画「帰って来た木枯し紋次郎」の追記Ⅳ以降に)、

やはり男(おじさん)の寅さんが、20代の女性として生まれ変わっても良いのだと思いました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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