#ネタバレ 映画「ダンガル きっと、つよくなる」
「ダンガル きっと、つよくなる」
2016年作品
「5月病」を吹き飛ばせ
2018/4/16 18:31 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
チラシとか予告編を見て、キワモノだと思っていましたが、とんでもありませんでした。
これは、ひかえめに言っても、一年に一本の快作です。
本来なら私は、140分などという長尺作品はスルーするのですが、うっかりチェックを忘れて、観てしまいました。
でも、眠りも、退屈もしません。
ずっと、涙を滲ませ、画面に食いついていました。
借金はしてはいけません(わが家の家訓です)。
でも、
「借金してでも観るべき映画」というのは、こんな作品をいうのでしょう。
★★★★★
追記 ( 「師」の悩み、苦しみ )
2018/4/18 9:54 by さくらんぼ
この映画の優れている点の一つは、「師弟」の「弟」だけでなく、「師」の悩み、苦しみも、描いていることです。映画は第三者的視点で描かれています。
映画の前半は「弟」に、後半は「師」に重点が、いや前半にも、かなり「師」の事が描かれていましたから、この映画は「師」に重きを置いた作品だったのかもしれません。これが他のスポ根作品とは違うところです。
チラシを見ても、中央に腕を組んでいる師が、一番オーラを放っていますし。
追記Ⅱ ( 派閥争い )
2018/4/18 10:00 by さくらんぼ
手塩にかけた娘が、試合に勝ち続けるのは良いけれど、途中から父の手を離れ、国の管理選手になり、別のコーチの支配下に入ってしまいます。
そのコーチが俗に言う「いやな奴」なのです。
父が紳士的に挨拶に来たのに、露骨に「あっち行け!」オーラ出すのです。どこの世界にもいます。あんな人が。似たような経験をした事もあるような…。
さらに最悪なのは、指導方針が父とは正反対だったことです。
あんなコーチにまかせていては、娘は金メダルは取れない、父はそう思いました。しかし未熟な娘は、国のコーチの方が、父よりも上だと思って、父を小ばかにする様になっていました。
一方、まだ国の管理選手になっていなかった妹の方は、変わってしまった姉に呆れ、(置き去りにされた自分を投影して)父の哀しみを理解し、姉妹は分裂してしまうのです。
「このまま、ほかってはおけない。しかし、どうしたら…」。あの父の苦しみは、分かるような気がします。
追記Ⅲ ( 親子でスポーツすると )
2018/4/18 10:04 by さくらんぼ
親御さんが趣味でスポーツをしていると、見学に来た子どもさんの中には、「わたしも、やりた~い」と言う人もいます。
そんなとき親は、たいてい喜んでやらせると思います。そして、上手になったわが子が、将来はオリンピック選手…などと夢見たり。
実際、子供の成長、上達は驚くほど速いのです。中学一年で始めたら、高校2年ぐらいになると、親を超えるぐらいになっていても不思議ではありません。
逆に親の方は、子に負けじとがんばっても、加齢で相殺され、実力は現状維持になってしまうことがあります。
そしてある日、子供に負け始めるのです。
そんな時は、親の威厳、プライドが傷つきかねません。
もし子供が、少しでも親を小ばかにするような態度を見せれば、なおさらです。少なくともスポーツでは、もう上から目線で子どもを指導できなくなります。
そして、それは日常生活にも波及するかもしれません。
ここに新たな、親の苦悩が始まります。この映画にも出てきました。
夫婦や、兄弟、恋人同士でスポーツをしても、やがて同じことがありえます。
追記Ⅳ ( 朝ドラ「花子とアン」 )
2018/4/18 10:07 by さくらんぼ
NHK朝ドラ「花子とアン」で、文盲の父は、同居の娘婿(義理の息子)を嫌いました。
読み書きのできる娘婿に対し、父の威厳を保つため、自分の文盲を知られたくなかったのです。だから、近づけないよう、「嫌いだ!」オーラを出しました。
その結果、家にいずらくなった彼は、行商人になり、年中家を空けるように。
二人は、父が老いて死ぬ間際まで、和解できませんでした。
追記Ⅴ ( 戦国時代 )
2018/4/18 10:09 by さくらんぼ
①その昔、電算化前の事務は、同じ会社でも、支社ごとに、少しづつやり方が違っている事があったのです。マニュアルに書いて無いことは先輩の裁量で行いました。他支社の細々とした事務処理方法など知りませんし、気にする必要はなかったからです。古参兵がその不文律を守っていました。
②しかし電算化されると、事務処理方法が全支社で統一されます。古参兵が守っていた不文律は、古参兵のプライドとともに、紙くずと化します。
③しかし、いかに電算化しても、最初から枝葉の問題までは、なかなか見通せないため、マニュアルの完成度も十分ではなく、当分は、日々、新たな問題に直面することになります。
その問題を吸い上げた(知った)本社は、日々、新しいQ&Aを作り、支社に連絡しますが、どうしてもタイムラグがあるので、Q&Aの到着を待てない支社では、独自に、新しい不文律を作ることがあるのです。
その不文律をどうするかで、支社内で議論が起こり、Aさんを支持する人、Bさんを支持する人などの、派閥が生まれます。
自分の可愛いい後輩、昨日まで弟子だった人が、他の派閥に行ってしまうこともあります。
古参兵の洞察力で正しい説を唱えてもダメなときも。その説が深いがゆえに「少数派」になり、後輩には理解してもらえない事があるからです。
もはや、昨日までの先輩の威厳は地に落ち、プライドはズタズタにされます。
戦国時代の始まりです。
そして、このような事は、電算化だけでなく、支社の統合、会社の合併、でも起こります。
追記Ⅵ ( 「天下り」などで )
2018/4/18 10:13 by さくらんぼ
いわゆる「天下り」などで、下請けや関連企業の幹部になった人は、どうしても元の職場と比べるから、「いろいろ物申したい所」が目につくらしいのです。
そこで敏腕をふるい始めると、あわてた社長がやってきて、「あなたは座っていてくれるだけで良いのです。元の会社とのパイプ役になってくれるだけで、お願いですからそうしてください」などと言うのだとか。
なぜなら、どんな会社にもでその社風・仕事のやり方があり、その中で先輩・後輩の秩序があり、会社の安定があるからです。
何も知らない人に、手を突っ込んで不用意にかき回されると、社内の人間関係が壊れかねない。それを社長は恐れるのです。
追記Ⅶ ( 三角関係 )
2018/4/18 10:17 by さくらんぼ
>読み書きのできる娘婿に対し、父の威厳を保つため、自分の文盲を知られたくなかったのです。だから、近づけないよう、「嫌いだ!」オーラを出しました。(追記Ⅳより)
ふたたびNHK朝ドラ「花子とアン」の話ですが…
花子の才能を見抜いた娘婿は、尽力して、花子を都会の女学校へ入れ、英才教育をします。
しかし裏を推測すれば、父と同居していると花子の才能は無視されかねないと、娘婿が危惧したからでしょう。
さらに、「父・花子・娘婿」との三角関係でも、負けるわけにはいかないと思ったのです。だから花子を父から隔離したのだと思います。
追記Ⅷ ( 勝てば官軍 )
2018/4/18 10:49 by さくらんぼ
「一番になると景色が変わる」とか、「優勝すると景色が変わる」とか申します。
一番になった事など、私は無いので、その世界観を知りませんが、一度でも体験したことのある人にとっては、「著しく人生観を変える出来事」であり、以後、それを基準にして思考することが出来るようになるのかもしれませんね。つまり大バクチが平気になるのかも。
この映画の主人公・マハヴィルは、レスリングのインド・国内チャンピオンでした。その経験が彼に教えたものは、もしかしたら「勝てば官軍負ければ賊軍」だったのかもしれません。これが主題かも。
だから、インドで女レスリングをやって、村中から「変人だ」と言われようと、「娘が金メダルを取れば、お前は得をする」と言って、肉屋で値段を1/5に値切ろうと、「雑音なんて、関係ない!」として邁進できたのでしょう。
一方、途中で挫折した者は、「人生の苦しみだけで、ほんとうの果実の味を知らない」のかもしれませんね。だから、次の勝負も、守りに入るのです。
追記Ⅸ ( 羊の皮を着た狼 )
2018/4/19 9:07 by さくらんぼ
>チラシとか予告編を見て、キワモノだと思っていましたが、とんでもありませんでした。
シナリオや、映像・編集の良さからは、映画「アルマゲドン」を連想しました。
どちらかと言えば、あまりチラシは「あかぬけていません」が、本当はとてもセンスの良い映画です。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)