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#ネタバレ 映画「歌謡曲だよ、人生は」
「歌謡曲だよ、人生は」
2017-02-26 10:14 byさくらんぼ
男の純情
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
映画「羊たちの沈黙」を若いころに映画館で観ました。
そして先日、TVで前半を少しだけ、FBIアカデミーの訓練生クラリスが、ハンニバル・レクター博士を初めて尋問するところを観ました。
この映画はおじさんになってから観ると、少し分かるような気がします。全体を再観すれば、また感想が変わってくるかもしれませんが、とりあえず、それを書いておきます。
ハンニバル・レクター博士のような、人生に汚れてしまったおじさん、もう若くはないおじさんは、世間様から、若い女性から、つまはじきの刑にあうこともあります。
でも「まだ俺の中にも、お前たちの知らない純なところ、紳士的なところはあるさ」と密かに思っています。それがプライド。
そして、それを評価してくれる(怯えながらも、理解しようと必死に努力してくれる)若い女性が現れると、「この人の前では紳士でいなければ」「この人だけは裏切ってはならない」と思う事もあるかもしれません。
そのときの彼女は「聖なる乙女」。
若く純情な女性・クラリスを、ハンニバル・レクター博士は紳士のように直立不動で出迎えました。
そしてお見合いのようにお互い自己紹介をし、人間関係を作ろうとしたのです。
独房の中での彼は、自分の裏表、すべてを知ったうえで、(形式的にせよ)自分を人間として、紳士として見てくれる人を渇望していたのです。
ところで、映画「歌謡曲だよ、人生は」、大学の映画研究会が作ったようなラフな短編が、なつかしい歌謡曲とともに描かれていました。
その一つに、「女のみち」(宮史郎とぴんからトリオ)にのせて、前科者で全身刺青の男(宮史郎さん)が、自分のすべてを知ったうえで、それでも大切にしてくれる、娘のような若い愛人に歌をささげる純情話がありました。それが、ふと重なったのです。
★★★
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)