#ネタバレ 映画「太陽の塔」
「太陽の塔」
2018年作品
各国の威信をかけた、本物だけが集結
2018/11/6 17:34 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
2025年に立候補の大阪万博。
愛知万博ファンは夢見ています。
(言葉の通じる)自国開催の万博は、ネットとも、海外旅行とも違う、極上の感動を与えてくれることがあります。
万博は、世界中の国と地域から、その国の威信をかけた、本物だけが集結してくるのです。たとえ海外旅行へ行っても、それら最高のものを、容易に体験できるとは限りません。
たとえばフラダンスひとつとっても、ハワイへ行っても観られないような、最高の人たちが来てくれるのです。
愛知万博ファンは、その事を、2005年に身をもって知りました。
追記 ( 街中にて )
2018/11/7 8:23 by さくらんぼ
もしかしたら、こんな出会いも、あるかもしれません。
「 その『愛知万博』の7月25日、長久手会場・EXPOドーム において、スペインイベント『パコ・デ・ルシア ギターコンサート』がありました。
これは、ちょうどその前後、名古屋市内でのお話しです。
私は近くの若宮大通(いわゆる100メートル道路)を横断中、『道路の中州にある公園』で凄いものを見つけてしまったのです。
中年の欧米人が座り、クラシックギターでフラメンコのような音楽をガンガンかき鳴らしていました。脇では助手らしき中年男性が一人、CDを数枚箱に並べて売っていました。
PAなし、超絶技巧です。私もフォークギターをかじったことがありますので、すぐにあのテクニックは神業だとわかりました。
私はそんなことを感じつつも、やはり帰りの地下鉄に乗るため、後ろ髪をひかれながら、そこを後にしました。
そしてプラットホームに掲示されていたポスターを見て『あっ』と声を上げそうになったのです。それは『パコ・デ・ルシア ギターコンサート』のもの。そして、そのポスター写真は路上ライブの彼にそっくりだったのです。」
(「パコ・デ・ルシアさんの路上ライブか」より抜粋 )
追記Ⅱ ( ゴジラの背びれみたいな )
2018/11/7 9:16 by さくらんぼ
まだ、この映画は観ていませんが、「太陽の塔」には入ったことがあります。
大阪万博当時、知り合いのクルマに乗せてもらい、日帰りで行ったのです。
子どもだった私は、初めてのロングドライブで、しかも初高速道路に大感激。窓を少し開け、手のひらを出して、時速100キロの風を受け止めていました。風切り音が凄かったので、さぞかしドライバーさんは迷惑したことでしょう(ごめんなさい)。
万博会場は、予想通り美しく、そして賑わっていました。「月の石」など、大行列がある所には入れませんでしたが、「太陽の塔」には入ってきました。たぶん空いていたのでしょう。
その内部には、確かエスカレーターがあり、それで登りながら、生物の進化に関する作品を観るのです。何と呼ぶのか、内部は特殊なライトで照らされており、その光の下では、(自分の服など)白いものがゴジラの背びれみたいな青白い光を発したのが驚きでした。
その「太陽の塔」が、今となっては一番の遺産になっているのですね。
追記Ⅲ ( グッドラック )
2018/11/8 18:02 by さくらんぼ
もしも、「万博会場に散歩がてら行けるような場所」に住んでいる人がいたら、(期間中、周辺が混雑して、ご迷惑をおかけするかもしれませんが)宝くじにでも当たったぐらいラッキーなこと、一生に二度とないチャンスだと思ってもよいです。
特に、リタイアしたシニア層や、それに準ずる自由な人たちは、その気になれば、夏も涼しい朝一で出かけられ、午後には自宅に戻って昼寝して、日が暮れたら、また夜間の部に参戦することが出来ます。パスポート券を買って、毎日のように。
万博期間の6か月間、毎日のように出かけ、世界中の最高のパフォーマンスを体験することが出来たのなら、もちろん入場料の元は十分に取れますし、それどころか、得られる価値から言えば、入場料なんてタダみたいなものだと、感じる人も少なくないはずです。
その他の人との、公平感から言えば、回数券制度にするべきでしょうが、当局は入場者数を増やすことに重きを置きますから、きっと次回もパスポート券が発売されるのだと思います。
追記Ⅳ ( 岡本太郎作の梵鐘 )
2018/11/8 18:17 by さくらんぼ
私も観てきましたが、こじんまりとした、きれいなお寺です。
お寺と岡本太郎さんのカップルは、初めて食べたイチゴ大福みたいに、新鮮でした。
「 久国寺(きゅうこくじ)は、愛知県名古屋市北区にある曹洞宗の寺院。山号は天長山。岡本太郎作の梵鐘があること知られる。」 (ウィキペディア「久国寺」より抜粋)
追記Ⅴ ( 小津映画的風景 )
2018/11/9 10:09 by さくらんぼ
あの休日、愛知万博へ出かけた私は、会場周辺のあまりの混雑に驚きました。後で分かったことですが、あの日は記録的な入場者数がニュースになったほどの日だったのです。
まず電車内の大混雑。つぎは電車からシャトルバスへ乗り換えの大行列。
消耗しながらやっとの思いで会場前までたどり着いたのに、またそこに、うねりながらゲートまで延々と続く大行列。
さすがの私も「今日はやめた方が楽だ。。。」そう思ってUターンしました。一人旅はお気楽です。
帰りの、ガラリと空いた電車の安堵感。
ふと気がつくと、斜向かいには60代と思われる品の良いご夫婦らしき人が、静かに話をされていました。
聴くともなく聴いていると、どうも大阪からの旅行客の方で、子どもさんからプレゼントされた愛知万博旅行に来たけれど、あまりの大渋滞に、あきらめて、私みたいに入場せずUターンしてきたようです。
最後にご主人が言いました。
「子どもたちには、入れなかった事は言わないでおこう…」。
私は、先ほどまでの安堵感は消え、なぜか心の中で頭を下げていました。
( 映画「となりのトトロ」の私のレビュー追記より転記 )
追記Ⅵ ( 万博の遺産 )
2018/11/9 10:36 by さくらんぼ
大阪万博の有形遺産は「太陽の塔」ですが、愛知万博のそれは何でしょう。
現地は、時々イベントが行われる「愛・地球博記念公園」(万博記念公園)になっていて、「サツキとメイの家」と、「グローバル・ループ」(空中回廊)の一部が残っています。
それからアクセスの「リニモ」(リニアモーターカー)も営業運転しています。何年か前に東京からのお客さんが、わざわざ試乗していかれました。
そして、「住みよさランキング2018」で第二位に輝いているのが「愛知県の長久手市」です。ここは愛知万博会場のあったところ。
これは私の想像ですが、長久手市は、愛知万博に来られたお客さんたちによって、再発見されたのかもしれませんね。名古屋市からのアクセスも良い上、自然の豊かなところです。
追記Ⅶ ( 「万博ロス」の処方箋 )
2018/11/9 17:20 by さくらんぼ
遠くの方には信じられないかもしれませんが、愛知万博が終わった時、愛知県やその近隣の方の中には、ペットロスならぬ、「万博ロス」になった人も少なくなかったのです。
私は3回ぐらい行っただけで、地元では(たぶん)平均的な住民でしたが、それでも「祭りの後の寂しさ」は十分感じられました。今までは休日になると、今日は万博へ行こうか、などと毎回考えていましたが、その選択肢が消滅したのですから。
これを機会に、海外で開催される万博にもせっせと通い、地元のニュースに載った人もいたようです。又、私のように、常設万博とも言える「リトルワールド」へ行った人もいたことでしょう。
そして私が最終的に思ったのは、ある意味「映画館も常設万博だった」という事です。
追記Ⅷ ( 「ジブリパーク」になる愛知万博会場 )
2018/11/10 6:44 by さくらんぼ
そのライバルは「ディズニーランド」。
「 愛知県、ジブリパーク基本設計を日本設計に委託
愛知県は愛・地球博記念公園(長久手市)に整備予定の『ジブリパーク』について、基本設計業務をスタジオジブリ(東京都小金井市)と日本設計(東京・新宿)に委託する。スタジオジブリがデザインを監修し、日本設計が図面作製などの基本設計を担う。…
愛知県は2017年にジブリパーク構想を表明。18年4月には22年度中の開業を目指すと発表している。計画では、愛・地球博記念公園に5つのエリアを整備する。18年度中に基本構想・設計を固め、19年度に詳細設計に入る。着工は20年度をめどにしている。 」
( 日経新聞2018/11/9 19:30 より抜粋 )
追記Ⅸ ( 「太陽の塔」と「サツキとメイの家」 )
2018/11/10 22:21 by さくらんぼ
1970大阪万博では、最初からあの大屋根を突き抜けるほど大きく、異彩を放っていた、岡本太郎さんの「太陽の塔」が、そのまま犯しがたい遺産になりました。
外見が、テーマである「人類の進歩と調和」かどうかはともかく、そのパワーと異彩は、「高度経済成長のシンボル」を感じさせました。
2005愛知万博は、最初は森に隠れるほど小さく、目立たなかった、ジブリの「サツキとメイの家」が、一粒の種となり、「ジブリパーク」へと育つのです。
つまり「ジブリパーク」も(遅れてきた)愛知万博の遺産と呼んでも良いでしょう。自然に一歩譲る小さな家が、大自然の前の人間の在り方にも相応しく、テーマである「自然の叡智」になじみますし、これは今の世にもふさわしい展開だと思います。
追記Ⅹ ( 「2025年大阪万博決定」 )
2018/11/24 9:14 by さくらんぼ
おめでとうございます。
そして、関係者の皆様もお疲れ様でした。
今朝は、0時頃から、枕もとのラジオを何度もつけてみましたが、なかなか万博のニュースは流れず、朝の5時にやっと知りました。あまり熟睡はしていないかもしれませんが、嬉しさもあってか、元気です。
2025年、ぜひ行きたいです。
「2005年愛知万博」の時、私のお気に入りは、「アフリカ共同館」でした。
小学校の体育館ぐらいの場所に、アフリカ各国が共同で出店していたのです。雰囲気の混沌と、にぎやかさには、(失礼でしたらお許しください)「驚安の殿堂ドン・キホーテ」みたいなところもあって、大好きでした。
そこへ行けば、その国出身の店員さんが、自慢の民芸品を売っているのです。「何か記念にお土産を」と思っていましたが、「また次回に」と思って、とうとう買わずじまい。今度行ったら、ぜひ買ってきたいと思います。
表では、時々、「アフリカでは知らない者がいない」と言われる「シャネルズ(ラッツ&スター)」みたいなグループのライブがあり、店員さんも飛びだして見ていたほど。今の日本で言えば、「サザンオールスターズ」が路上ライブしているようなものでしょう。日本の大ホールを満員にしてもおかしくないほどの実力がありました。
以下、「2005年愛知万博・アフリカ共同館」の出店国です。( 「愛・地球博」ホームページより抜粋 )
「 アンゴラ共和国、
ウガンダ共和国、
エチオピア連邦民主共和国、
エリトリア国、
ガーナ共和国、
ガボン共和国、
カメルーン共和国、
ギニア共和国、
ケニア共和国、
コートジボワール共和国、
コンゴ共和国、
コンゴ民主共和国、
サントメ・プリンシペ民主共和国、
ザンビア共和国、
ジブチ共和国、
ジンバブエ共和国、
スーダン共和国、
セネガル共和国、
タンザニア連合共和国、
チャド共和国、
ナイジェリア連邦共和国、
ブルキナファソ、
ブルンジ共和国、
ベナン共和国、
マダガスカル共和国、
マリ共和国、
モーリタニア・イスラム共和国、
ルワンダ共和国 」
もちろん、その他の国々も応援していますよ。可能な限り、見てまわりました。
追記11 ( がらんどうのお店 )
2018/11/24 14:41 by さくらんぼ
もう正確には覚えていませんが、「アフリカ共同館」の中に、一国だけ、「がらんどうのお店」がありました。そこには「準備中です」みたいな立て札が。
私が見つけたのは、すでに会期半ばを過ぎていたような気がしますので、ただ事ではないでしょう。少なくとも日本の感覚から言えば。
これは、私の勝手な想像ですが、その国は、日本で万博をやると言うので、とりあえず参加の表明だけはしたのだけれど、どうしても国内事情が整わず、泣く泣く参加が遅れているのだと思いました。
その国が、最後には参加できたのか否かは、もう記憶がありませんが、「各国の威信をかけた万国博覧会の中にある空席」ほど、インパクトがある展示物はありませんでした。
追記12 ( 6カ月の勤務 )
2018/11/24 15:04 by さくらんぼ
又、こんな事も、地元のニュースで流されていました。
愛知県長久手市にあった愛知万博会場には、世界中から集まった、沢山の関係者が働いていましたが、その人たちは、夜になると、隣接する名古屋市のホテルなどに帰っていたのです。
その通勤経路には地下鉄があり、交通の便は良かったのですが、中には、「地下鉄に乗るのは生まれて初めて」というお嬢さんもいました。
国の代表として、愛知万博に6か月間の勤務に来たけれど、見知らぬ異国で心細く、「暗いトンネルの中」を走る地下鉄に乗ると、(たぶんホームシックも重なって)どこへ連れていかれるのかと、不安で泣けてきたのだそうです。
追記13 ( ループ状の空中回廊 )
2018/11/27 8:17 by さくらんぼ
たびたびご紹介していますが、愛知県犬山市にある「野外民族学博物館 リトルワールド」(1983年開館)は、常設万博とも言える施設です。
自然豊かな場内には「ループ状の道」があり、観客はそこをハイキングしながら(循環バスもあり)、点在する各国の施設を楽しむのです。
ふと思いましたが、もしかしたら、その「ループ状の道」もヒントに、「2005年愛知万博」の空中回廊「グローバル・ループ」が生まれたのかもしれません。
「2005年愛知万博」の空中回廊「グローバル・ループ」は、全長2.6キロの(ウッドデッキみたいな)「木で板張りした空中遊歩道」です。来場した観客は、まずそこに上がり、景色を楽しみながら散策して、お目当ての場所で降りるのです。
もちろん地上を移動することも出来ますが、会場はアップダウンのある丘陵なので、歩くのを楽にするために、水平の空中回廊をつくったのです。
それに、高い所から眺めれば、位置関係が良く分かりますし、ループ状の道は迷子にならないのです。
そのグローバルループは板張りですから、足に優しく、落ち着いた感じもしましたし、ちょっと高級感もありました。陽ざしを避ける屋根とか、ところどころにベンチ・売店もありましたし、夏には「ドライミスト」と呼ばれる、濡れない霧の噴射があり、客をほっとさせていました。
循環バスも「グローバルループ」を走っていました。ママチャリよりも遅いスピードで。驚くのは、「バスの前面に、常に先導する担当者が歩いていて」、肉声で「すみませ~ん。バスが通りま~す。」みたいに、頭をペコペコさせていたことです。
私は、いろんな意味で感心していました。
「2025年大阪万博」ではどのような道ができるのかは知りませんが、このような「空中回廊は、津波の避難場所にもなる」のではないでしょうか。事実上、「常時そこに何割かの観客が避難している」というのは大きなメリットです。
そう思ったら、先日見た、NHKニュースの「2025年大阪万博」の「会場イメージCG」にも、空中回廊らしきものが写っていました。
そして「2005年愛知万博」では、累計2,200万人以上の入場者を出すほど大混雑していたのに、いつ行っても、会場内にゴミが落ちていなかったことです。意地悪く探して歩いたこともありましたが、それでもなかなか見当たりませんでした。たとえ清掃担当が頑張ってくれていたとしても、入場者の協力なしでは、あれほどの清潔はとうてい保てないでしょう。
「2005年愛知万博」が大きなトラブルもなく成功したのは、すべての関係者や来場者の、「万博を大切に思う気持ち」があったからこそ、だと思いました。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)