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#ネタバレ 映画「チョコレート・ファイター」
「チョコレート・ファイター」
2008年作品
私は不完全なものを愛する
2009/6/5 11:45 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
キワモノだと思っていましたが、あちこちで良い評判を聞くので、好奇心で観てきました。
感想はと言うと、まずアクションが素晴らしい。時にカメラがついて行かないほどのスピード感があります。あえて言えばジャッキーではなく、ブルース・リーの映画「燃えよドラゴン」を初めて観た時の様な感動です。
でも、それだけではない、なにか、こう、さらに特別な魅力を感じたのです。主役の女性は特別美人でもないし、スマイルもなく、ヌードも無ければ、ドレスアップもしていない。それどころか汚い。
それなのに、なんだろうこのザワツイタ気持ちは・・・。
これは映画「イノセンス」に出てきた球体関節人形に妖しい色気を感じたときの気持ちに似ています。萌える、を通り越して、アブナイ感じです。倒錯という言葉さえ思い出してしまいました。
映画の中に「私は不完全なものを愛する」というセリフが出てきました。
もともと日本人は左右対称ではなく、いびつな、不完全なものの中に美を発見する民族ですが、セリフの意味はそれだけではないでしょう。監督は確信犯だと思います。球体関節人形は、ある意味不完全な人間(死体)を思い起こさせます。だから妖しい。
映画「チョコレート・ファイター」の主人公には知的障害があるようで、ときには人形のように見えなくも無いのです。そのあたりが球体関節人形を思い出した由縁です。(この障害に対して偏見は持っていません、あくまでも映画の世界の話としてご理解ください。)
しかも彼女は戦います。
肉弾戦とは心理的にはセックスを意味している場合もあるようです。こうなるとますます倒錯的世界に入っていきます。ちょっとオーバーに言います。映画「チョコレート・ファイター」とは、彗星のごとく現れた禁断の佳作なのかもしれません。
★★★★
追記
2009/6/9 20:40 by さくらんぼ
私は映画の主題を探すのが好きです。
幸いにもそれが分かったと誤解したときには、見出しに書く事があります。又、主題はネタバレに近接していると心配(主題=ネタバレの場合もあるかもしれない)していますので、私の書き込みは原則としてネタバレの旗を揚げて注意喚起します。
この映画では「私は不完全なものを愛する」と書きました。でも、これは、あまりに感激したため横道にそれた余談のタイトルでした。主題ではないと思っています。
では、主題はなんだったのでしょうか。それは「愛が債権になることもある」とでもしましょうか。主人公は債権回収をしていましたが、父が愛の出し惜しみをするならば、それも債権になるのでしょう。
タイランドでは最近もニュースになりましたが、昔から、日本人の単身赴任者と現地女性との間に出来た子供の問題が、少なくない件数でくすぶっているようです。日本人男性は単身赴任が終わって帰国したら、それきりにしてしまう人もいるらしいのです。
この映画は意外と重いメッセージを含んでいるのかもしれません。
追記Ⅱ ( 映画「ローマの休日」へのオマージュか )
2017/3/27 21:46 by さくらんぼ
もしかしたら、この映画「チョコレート・ファイター」は、映画「ローマの休日」へのオマージュの可能性があります。
ヒロイン・ゼンは幼馴染み・ムンの運転する、スーパーカブではなくレトロなスクーターに乗って、イタリア?と錯覚するような塔の前を駆け抜けるワンシーンがありました。
追記Ⅲ ( 映画「ローマの休日」へのオマージュか ② )
2017/4/4 17:36 by さくらんぼ
「某国の王室」→「日本のヤクザ」に置きかえられているのでしょうか。
だから「王女」→「ヤクザの娘・ゼン」。
「アン王女は王宮から見ていただけの外界へ入って行った」→「ゼンはTVや窓から見ていただけのカフーを始めた」。
「アン王女と新聞記者」→「ゼンとムン」。
「アン王女は途中から髪を短く切った」→「ゼンも途中から髪を短く切った」。
「真実の口で手が無くなった!?新聞記者」→「玉拾いの曲芸で飛んできたナイフをつかみケガしたゼン」。
「感情豊かだが世間知らずのアン王女が泥酔していた」→「感情豊かだが知的障害のあるゼン。ときには倒れることもある」。
「アン王女と新聞記者はデートのようにローマを周遊し、当局から逃れるために喧嘩もした」→「ゼンとムンは母の病院代(愛)になる借金の回収をして回った。カンフーを使って」。
「アン王女の秘密のバカンスは、王室には内緒です」→「ゼンがカンフーでお金を稼いでいることは母には内緒です」。
「アン王女はたくさんの人の注目を浴びて記者会見をした」→「ゼンはたくさんの人の注目を浴びて曲芸をした」。
「アン王女は証拠写真の回収を願った」→「ゼンはお金の回収を願った」。
「やがてアン王女は王室へ帰って行きます」→「やがてゼンはヤクザの父の元へ帰ります」。
ゼンはパニックになるぐらいハエが大嫌いでした。たぶん王女だからでしょう。
その他にも、色々あると思いますが、再度観ないと書けませんので、今回はこれぐらいで…。
追記Ⅳ ( 「真実の口」 )
2017/4/4 21:49 by さくらんぼ
>「真実の口で手が無くなった!?新聞記者」→「玉拾いの曲芸で飛んできたナイフをつかみケガしたゼン」。
ゼンがなぜマーブルチョコを、池の鯉みたいに口をパクパクさせながら一個づつ食べているのかが不思議でした。でも、あのキーはチョコではなく口の方であり、口パク動作で「真実の口」を表現していたのかもしれないのです。
さらには、そのチョコの中から切断された指が転がり出てくるエピソードもありましたし。
又、ゼンの母が貸した金を、ゼンが証文を突きつけて回収しようとしましたが、「こんな紙っきれ信用できるか!」と難癖(ウソをついて)をつけて払わない男たち。それを実力行使で払わせたゼンは、やはり「真実の口の神」だったのかもしれません。
追記Ⅴ ( 天才少年棋士 )
2017/6/30 21:48 by さくらんぼ
ヒロイン・ゼンは自閉症の女の子です。
彼女はいつもTVでカンフーやムエタイを観ていました。TVを観ないときは、窓から隣家にある道場の練習風景を観ていました。映画のクライマックスに出てくる、貞子と言うか、壊れたラッパーみたいな敵の動きも、その場でマスターして倍返しにする天才でした。
今話題の天才少年棋士も、聞くところではコンピューター囲碁と人間囲碁の両方に学んだようです。たぶん無意識に構築されたであろうそのハイブリットな思考スタイルが、従来の人間囲碁中心の選手を翻弄しているのでしょう。
この両者はどこか似ている、と言ったら失礼になるでしょうか。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)