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#ネタバレ 映画 「愛・アマチュア」

「愛・アマチュア」
ステージを変えると物語も変わる
2014-09-15 06:32byさくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

喫茶店やファミレスでお仕事をされる方もいらっしゃると思います。私の第二書斎もドーナツ屋さんですので、気持ちは良くわかります。

第一書斎(自宅)があるのに、なぜ外へ出かけるのか。もちろん飲食の誘惑もあると思いますが、それだけではなく、ステージを変えたいからですね。

昔、先輩に人生相談をしたら「引っ越せ」と言われて少々困惑した覚えがあります。遠距離恋愛の問題でもないのに、なんで「人生相談=引っ越しで解決」になるのか理解できませんでしたが、あれも、ステージを変えることで問題解決を図る一方法だったんですね。

スピリチュアルな世界でも、人知の及ばない悪運(オバケばかりではなく)から逃れるために、引っ越す決断をする人もいるでしょう。こういう話をすると、小バカにする方も居られると思いますが、家を建てるときでも地鎮祭などいらない、パワースポットも、穢れ地も信じない、運の良し悪しは単なる確率論に過ぎない。そんな人ばかりではないはずです。

ところで、映画「愛・アマチュア」は昔、映画館で観ました。

ラストシーンのセリフ「私はこの人を知っています」が、意味深長で、印象的な作品でしたね。子供は子供なりに、大人は大人なりに、いろいろ解釈できる名セリフでした。ある意味、映画「シェーンを思い出します。大人は裏に描かれた不倫の恋模様を味わうことができましたから。

ところで、ヒロインのイザベルは修道院にいましたが、今はそこを出てポルノ小説を書いています。イザベルもカフェを第二書斎として使っていたみたいです。

愛には「アガペー」とか「エロス」とか色々種類があるようですが、要するにイザベルは、精神的な愛の伝道者から、性愛作家に活動ステージを変えたのでしょう。

これは、簡単に言うと「崇高な神の愛ではなく」、「今は抱いてくれる男が欲しかった」という意味なのですね(たぶん)。だから、代償行動として、とりあえずポルノを書き始めた。

また、ヒーローのトーマスも、記憶喪失のために、泣く子も黙る大悪党から、おとなしいジェントルマンへと、活動ステージが変化しました。

これは直感ですが。どうもトーマスは、根はジェントルマンらしいですね。世間の荒波にもまれているうちに、いつしか悪党になってしまったけれど、心の奥底では、本当は足を洗いたかったのかもしれません。

そんな彼が窓から落とされた。これ、ステージ変化の記号ですね。

普通は階段や、エレベーターなどが記号として使われると思いますが、記号が手荒いのは、彼が悪党だったからですかね。

そして、そんな、二人が出逢ったのです。

保護して欲しそうな男が空から降ってきたと言うか、向こうから第二書斎に入ってきたのですから、まさに「たなからぼたもち」。これが恋愛に発展しないわけがありません。

残されたソフィアやエドワードも、今まではギャングの裏方として、おとなしく妻や経理係の役目を果たしていましたが、トーマスを追い出してからは、不倫をしたり、組織をゆすろうとしたり、警官を撃ったり、やりたいほうだいで、ギャングのステージに浸食してきました。

しかし、悪時に対してはシロウトな二人が、すぐにうまくいくわけがありません。とうぜん破滅の道を歩み始めます。子供がパパの自動車を運転するようなものですから。

このように、ステージを変えると、良くも悪くも、物語が変化するのでした。

そして、その後日談を夢想すると…

いつかトーマスが記憶を目覚めさせるときが来るでしょう。ひょっとしたら、今度のケガから目覚めたときが、その時かもしれません。

その時トーマスはどうするのか。

また、新しいステージになりますので、主題上、物語が変化します。

たぶんトーマスは、いったん悪の道に戻ろうとするでしょう。しかし、善人としての心も覚醒させてしまいましたので、すぐに、それとの葛藤が始まり、イザベルの献身的なサポートもあって、やがて、イザベルとの元の鞘におさまるのでしょう。彼は善人になります。

禅で言うところの本当の自分自身「主人公」にトーマスは出会ったのです。これは映画「わたしを離さないで」にも繋がる話です。

それは、そうと・・・

私も一度でいいから、好きな女性から「私はこの人を知っています」と言ってもらいたい。

いや、それ以上に、本当に相性の良い男女なら、身の上話など何もしなくとも、初対面、ただ見つめ合うだけで、一瞬にして理解しあえるものだと思いたい。

いつか、それが誤解だったと気づくときが来るにしても、その誤解の中に、ひと時の幸福を感じていたい、そんな初秋なのでした。

★★★★


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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