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#ネタバレ 映画 「ル・ジタン」
「ル・ジタン」
心の通う映画館
2014-08-28 06:19byさくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
ある日、刺身が昔ほどには旨くないことに気がつきました。
その原因は、なんと「わさび」でした。
昔は家で水で溶く「粉わさび」をつかっていたのに、今は「チューブ入りのわさび」を使っているからです。
もちろんチューブ入りのわさびも良い製品です。でも、微妙な味、香り、舌触りの違いが、子供のころになじんだ、郷愁の「粉わさび」とは別物だから、旨い刺身を食べた気がしないのです。わさびにも、おふくろの味があるのです。
ケーキもそうですね。昔は無塩バターをつかった濃厚なバター・クリームのケーキでした。だから、昨今の水ぶくれしたような生クリームのケーキは、やっぱりケーキを食べた気がしないのです。私的には、生クリームは苺ショート・ケーキなどに使うものです。まあるくて大きなクリスマス・ケーキなどには似合いません。
でも、懐かしい、あのバター・クリーム・ケーキは、今ではクリスマスにケーキ屋さんに行っても、ほとんど手に入りませんね。
映画でもそうです。昔の映画館は音がライブな劇場(今は音がデッドな暗室)ですから、よく音が響きましたね。家庭用のAVアンプには人工的にエコーを付加する装置がついているものもありますので、家庭では昔の映画館の音を再現できるのかもしれませんが、今の映画館はやってない!?みたいです。
かえって○○文化会館みたいなところで映画をイベント上映するときがねらい目です。劇場ですから、そのままでも音が良く響いて、そのバイアス効果で、一瞬にして映画に酔わされてしまいます。上映作品が、吉永小百合さんとか石原裕次郎さんとか、そんな映画スターが出演する名画なら言う事はありません。
前置きが長くなりましたが、そんな音がよく響く映画館の記憶をたどると、思い出すのがこの映画「ル・ジタン」なのでした。
あれは仕事に疲れた週末でした。私もまだ若かった頃、アラン・ドロンさんのブランドと、「ル・ジタン」というカッコいい響きだけで観に行きました。でも、疲れで、ぼ~としてしまって(アラン・ドロンさんにではありませんよ)、結局、もう一度観ない事には意味不明になってしまった映画です。
でも、その映画館は、風呂場のように音の響く劇場でした。現在もしも残っていたら、あそこは貴重な映画館になったはずですね。もしかしたら、同様の劇場は地方にはまだ残っているかも。
人間関係と同じで、良い人なのに、話をしても自分とは心が通わない人っていうのがいますが、毎月映画館へ行っていても、いまひとつ心が通わない映画館もつまらないです。
昨今の映画館みたいな暗室でも良いので、映画館側でデジタル・エコーをかけた音声を流せば、ホームシアターみたいに往年の劇場に早変わりです。劇場主のみなさま、映画「ローマの休日」みたいな往年の名作を流すときや、それに類する新作を上映するときなど、メニューと、タイムテーブルを選んで実験的にやってみませんか。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)