#ネタバレ 映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」
「ジェネラル・ルージュの凱旋」
2009年作品
優先順位のふぞろいなチームは破綻する
2009/3/20 9:33 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
大病院の内部にはいろいろな部署があり、それぞれが、それぞれの事情をかかえて動いている。当たり前といえば、当たり前ですが、あらためて見せてもらうと唸ってしまう様なドラマになりました。
しかし、異なる部署でも優先順位は同じであってほしいものです。優先順位のふぞろいなチームは破綻するのです。
映画のクライマックスで大事故が起きた時、主人公が後輩に「お前の判断は、おれの判断だ。迷うな!」たしかそんな言葉を掛けました。だから、それはまったく正しいのでしょう。
そして、この映画には優先順位のカードを偽装しようとした患者がでてきました。やはり患者もチームの一員でなければいけないのでしょう。
そして大は病院どうし、急患をどこが受け入れるかの優先順位も・・・。
★★★★☆
追記 ( 「トリアージ」迫られる法整備 )
2019/3/20 17:19 by さくらんぼ
新人や後輩は、真面目な人ほど、「この判断、尊敬する先輩は、どう思うだろうか…」と、最初は悩んだりするものだと思います。
人は神にも、神の代理人にもなれません。
しかし有事には、勇気を振り絞って、その役目を果たさなければならない場合もあるのかもしれません。この映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」が語っていた様に。
「 災害時のトリアージめぐり訴訟に 学会は法整備視野 」
( 2019年3月18日14時00分「朝日新聞デジタル」 )
「 厚労省が委託するDMTA(災害派遣医療チーム)の事務局長で、日本災害医学会代表理事の小井土雄一医師は『 極めて短時間で診断ツールも使えないなか、100%正しい判断は困難。間違いの責任をと言われると、トリアージができなくなってしまう』と訴える。
医療訴訟に長く関わってきた明治大学学長特任補佐の鈴木利広弁護士は『患者に犠牲を強いてしまった場合の公的救済制度を整えたうえで、医師や病院の免責を法律で明記する必要がある』と語る。」
( 2019.3.18朝日新聞34面 「『トリアージ』迫られる法整備 東日本大震災の遺族 病院を提訴 萎縮を防ぐため 免責規定を」より抜粋 )
追記Ⅱ ( 昔から在った「トリアージ」の概念 )
2019/3/21 17:37 by さくらんぼ
今から半世紀以上前、私の親戚には、勤めていた工場が爆発事故を起こして、亡くなった人がいます。
当時の彼は20歳ぐらい。幼い頃、私は親せきから、その話を聞いたことがありました。
彼は全身に大やけどを負って、道端に寝かされていたそうです。そこへ救急車がやってきましたが、重傷の彼は、一番後回しにされたのだとか。
当時はまだ「トリアージ」などという言葉は無かったと思いますが、それに似た概念がすでに現場には在ったのでしょう。
しかし、素人の親族たちは、「重症患者だからこそ、真っ先に病院へ運んでほしかった」と、そのときは思っていました。
しかし同時に、「助かる人を先に運ぶため、そうでない人は後回しになる事がある」という優先順位を、現場で教えられたのです。
追記Ⅲ ( 「不条理」な海 )
2019/3/21 17:59 by さくらんぼ
「 『不条理』という概念は自然から生まれた。例えば海は人に恵みを与えてくれるが、時に津波となって災いをもたらす。これが『不条理』の原型だ。
だから人は、この世に『不条理』が存在することを知っている。そして、津波が無くならないように、世の『不条理』が無くならないことも。
そんな我々が出来ることは、なるべく『不条理』を少なくする努力だけだ。 」
先日、喫茶店で見た、どこかの新聞のコラムに、そんな事が書いてありました。詳しく書こうとして、ネットで調べてみましたが分かりませんでしたし、あまり覚えていませんので、文章・内容は正確ではありません。
でも、日本が「防災」から「減災」へシフトしたように、「私たちは、海から生まれた『不条理』の中を、生きざるを得ない」というリアリズムに、ちょっと感動したので、書いておきます。
追記Ⅳ ( 映画「空母いぶき」 )
2019/5/30 22:55 by さくらんぼ
映画「空母いぶき」を観ました。
( 以下ネタバレです。)
とても良い作品でした。
その主人公である、いぶき艦長がときどき見せる微笑みは、映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」の主人公が、青ざめた自らの唇に塗ったルージュなのかもしれないとも思いました。ですから艦長も応援します。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)