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#ネタバレ 映画「太陽」〈2005年〉
「太陽」〈2005年〉
2005年作品
大切な決断は良い気分の時にする
2006/8/18 22:51 by 未登録ユーザ さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
侍従がうやうやしく天皇陛下へ朝食を運ぶシーンから始まります。
健康に関する朝食の考え方には諸説あります。(私は「朝食抜き」ですが)一般的には朝食をしっかり取る事が、一日のスタートに、勉強に、仕事に、大切だと言われているようです。
そして陛下は身なりを整え、御前会議へと向かうのでした。
身なりを整えている間、侍従の、髪が薄くなった頭には、汗が浮かんでいました。陛下はクールにそれを見つめていました。
この汗は、後の御前会議の席で、本土決戦を進言する男の顔にも沢山浮かんでいました。天皇陛下はクールにそれを拒否されました。そういえば、陛下が学者として研究中に、助手が居眠りをしていたシーンもありました。敗戦して、みんな疲れ果てていたんでしょうね。疲れていては仕事もままなりません。
それから、疑惑のチョコレート事件に始まり、呼びつけた学者が朝から何も食べていないと察した陛下は、もらったばかりのチョコレートを一枚贈る心温まるシーンもありました。
それから、マッカーサーとの会談も食事をしながらでした。
気が急いているのか、早々と食事を済ませて葉巻へと移るマッカーサーに対し、「美味しい肉だ」「ワインを飲んでもよいか」「私にも葉巻を」などと、ゆったり食事を楽しむ天皇陛下の姿がありました。
その後、マッカーサーが席を離れた時、陛下は無駄なローソクを消し、なんと踊りだしたのです。それを陰から見ていた日本びいきの通訳は、少し微笑んでドアを閉めました。
天皇陛下は占領軍の最高司令官であるマッカーサーに少しも同ぜず、その席を楽しんですらいたのです。この姿を観て、通訳も会談の結果が最悪のものにはならないと、少し安心したのでしょう。それが、あの「少し微笑んでドアを閉める」シーンになっていたのだと思いました。
あの時期、日本を背負った陛下の御心労は大変なものだと思いましたが、それを支えていたのは、美味しい食事と、当時としては快適な生活環境があったからでしょう。
大切な決断は、疲労の中、額に大粒の汗を浮かべ、眼を血走らせて行うのではなく、心身ともに健康で、快適な環境の中で行うべきものなのです。
苦しみで判断を誤らないために。
( 追記に書いてあった「大喪の礼」と「生前退位」の思い出については別記事になりましたので、リンク先をご覧ください。)
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)