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それで思い出したのは、愛犬の事です

早朝、ラジオ深夜便をつけたら、ある女優さんが話をしていました。お姑さんとの摩擦や、認知症の苦労のことなどを。

女優さんは長年苦しみましたが、お姑さんが病院で亡くなる直前に、とてもきれいな顔になり、「ありがとう」とお礼を言ってくれたのだそうです。

一般論としても、亡くなる直前の人はきれいな顔になる事があるそうですね。

それで思い出したのは、愛犬の事です。

部屋で飼っていましたので、とりわけ家族みたいなもので、喜怒哀楽の表情は見慣れていました。

しかし、彼女(雌)が病気になり、亡くなる間際にも、病院に連れて行った時の話です。

その回は私が運転し、彼女は助手席で横になっていました。

信号待ちの時に、ふと彼女の方を見ると、まん丸の眼をこちらに向けています。

その表情の穏やかで美しい事。

彼女と暮らした中で、あのように、悟りを開いたような静謐なまなざしを見た事はありませんでした。

ドキリとしました。

彼女は(ときにふざけすぎる)私の事をあまり好きではなかったのかもしれませんが、最後に和解できたのかもしれません。

私は頭をなでて、再びクルマを走らせました。

その数日後に、彼女は亡くなりました。


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