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#ネタバレ 映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

「シェイプ・オブ・ウォーター」
2017年作品
深層的には
映画「2001年宇宙の旅」 映画「プレードランナー」
2018/3/2 22:21 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」と映画「スリー・ビルボード」、さあっどっちだ!

みたいな広告が目につく今日この頃ですが、めずらしく両方観た私としては、黒澤監督の映画「生きる」へのオマージュらしい「スリー・ビルボード」の方が、腑に落ちると言うか、面白いと感じました。女性が観れば、また違った感想になるかもしれませんが。

「シェイプ・オブ・ウォーター」は、とても丁寧に作ってありましたが、なぜか、もうひとつ感情移入できなかったのです。あのグロテスクな水中生物との恋愛センスは、(「環境ビデオ」を比較した経験から)欧米人のもののような気もします。よく見れば、オメメが可愛くて、昔飼っていた愛犬を思いだしましたが。

★★★★

追記 ( これは映画「2001年宇宙の旅」+映画「プレードランナー」か ) 2018/3/2 22:41 by さくらんぼ

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」とは何だったのか。

ある新聞によると、昔の映画のリメイクらしいですが、その映画は観ていませんので、別の角度から解釈します。

これは、表層的には大人版の映画「E.T.」でしょう。それも女性向けの。

そして、深層的には映画「2001年宇宙の旅」+映画「プレードランナー」だと思います。この場合のウエイトは、6:4ぐらいで映画「2001年宇宙の旅」にあり、オマージュの可能性があります。

あの水中生物はHALでありレプリカントの記号でしょう。

これは、機械の進歩と、人間の医療進歩が、未来にはクロスし、境界線がおぼろになり、かぎりなく一体化していくお話しかもしれません。

2次元との恋愛が可能なら、ロボットとも恋愛ができるかもしれませんが、そのときの人間の恋心を、ロボットは人間とおなじように、痛みとか震えとかを持って、感じてくれるのでしょうか。

追記Ⅱ ( 映画「崖の上のポニョ」 ) 
2018/3/3 10:05 by さくらんぼ

肉食狩猟民族ではなく、どちらかと言えば淡泊な農耕民族である日本人的な水中生物なら、愛らしい映画「崖の上のポニョ」を思いだします。

追記Ⅲ ( 電気羊は「胸キュン」の夢を見るのか ) 
2018/3/3 10:10 by さくらんぼ

>2次元との恋愛が可能なら、ロボットとも恋愛ができるかもしれませんが、そのときの人間の恋心を、ロボットは人間とおなじように、痛みとか震えとかを持って、感じてくれるのでしょうか。(追記より)

これは、ヒロイン・イライザが、連れだした水中生物と仲むつまじくテーブルで食事をしている時、ふと漏らした不安な気持ちですね。

すでに、二人は仲良しになっていたのだけれど、自分が感じている恋の痛みを、相手は分かってくれているのだろうか。この水中生物の中に、はたして人間と同じ、恋愛という高度な観念は存在するのだろうか。それとも生存本能だけなのか。

ちなみに、恋して胸キュンになるのは、胸の中央にある第4チャクラ(愛のチャクラ)が活性化するためだと言われています。このチャクラが健全か否か事も、その人の幸福感に影響を与えるようです。

すると第4チャクラが存在しないロボットは、いかに進歩しようとも、胸キュンになる事はないのです。頭キュンになる事があっても。でも、それって頭痛とどう違うのか。

追記Ⅳ ( 電気羊は、羊なのか、ロボットなのか ) 
2018/3/3 10:20 by さくらんぼ

>これは、機械の進歩と、人間の医療進歩が、未来にはクロスし、境界線がおぼろになり、かぎりなく一体化していくお話しです。(追記より)

映画の終わり、ヒロイン・イライザにもエラが生え、水中でも呼吸ができるようになる場面があります。ポスターにもなっている水中で抱き合うシーンですね。あれは、ロボットと人間が、限りなく近づいて行くことを暗示しているのでしょう。

追記Ⅴ ( 「電気ショックの警備棒」とは ) 
2018/3/3 11:03 by さくらんぼ

「電気ショックの警備棒」をもち、水中生物を拷問する男がいます。彼は反撃した水中生物から指を二本噛み切られました。あわてて縫合しましたが、上手くいかず、やがて腐って落ちます。

あの警備棒は、映画「2001年宇宙の旅」に出てきた「猿が放り投げた骨」のつもりでしょう。指が無くなるのは、道具の発達によって人間の体は退化するからでしょう。

彼は水中生物と同じくグリーンのクルマを買います。カーマニアですね。そのマシンをこよなく愛していました。これは、ヒロイン・イライザがレプリカントを愛したのと相似形になっています。

水中生物はHALでありモノリスでもあります。私の解釈ではモノリスとはコンピュータのことです。

コンピュータにはデジタル信号が流れています。映画「2001年宇宙の旅」のラストには、「すごい、降るような星だ!」という謎のセリフが出てきましたが、あれはコンピュータのデジタル信号を視覚化して「星」で表現したのでしょう。

そして今回、映画「シェイプ・オブ・ウォーター」では、水中生物の体に、ときどき「クリスマスイルミネーション」のような青白い光が点滅するのです。これもデジタル信号ですね。

さらに、ヒロイン・イライザのアパートの階下には映画館があって、そこに逃げだした水中生物が一人立っているシーンがあります。周囲にはシートの四角い背もたれた林立していて。

そして、スクリーンには古代ローマ時代に、石切り場で働いている人々のような映像が。

あの、スクリーンの内と外で、サルたちの中に出現したモノリスを描いていたように思います。

そして何よりも、この映画の舞台設定そのものが、宇宙旅行を見据え、それに耐えられるよう人間の改造を研究している機関の話なのです。

追記Ⅵ ( 「ある日突然」 ) 
2018/3/4 9:13 by さくらんぼ

>すでに、二人は仲良しになっていたのだけれど、自分が感じている恋の痛みを、相手は分かってくれているのだろうか。この水中生物の中に、はたして人間と同じ、恋愛という高度な観念は存在するのだろうか。それとも生存本能だけなのか。(追記Ⅲより)

そして、この映画からは、トワ・エ・モアさんのヒット曲・「ある日突然」が思いだされました。

水中生物の瞳の奥を覗くイライザ。

あの写真から。

「 ある日突然 二人だまるの

あんなにおしゃべり していたけれど

いつかそんな 時が来ると

私には わかっていたの

ある日じっと 見つめ合うのよ

二人はたがいの 瞳の奥を

そこに何があるか 急に知りたくて

おたがいを 見る 」

( 「ある日突然」 歌:トワ・エ・モア 作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦 より抜粋 )


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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