#ネタバレ 映画「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」
「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」
2017年作品
分析力・発信力の重要性
2019/4/4 22:28 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
まったく解説を読んでいなかったので、宇宙人ジョーンズが、いえ、トミー・リー・ジョーンズさんが出てきたことには驚きました。
まさに衝撃と畏怖です。
観客が多い理由の何割かは、宇宙人目当ての人がいたせい、だったのかもしれません。
今回、宇宙人は主役ではありませんが、多くの日本人にとっては、主役も同然です。彼が出てくるだけで、満足してしまいそう。
冗談はともかく…全編を通して、緊迫感のある、面白いドラマでした。
★★★★
追記 ( 分析力・発信力の重要性 )
2019/4/4 22:47 by さくらんぼ
この映画「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」が語っている事は、米国の陰謀ではなく、むしろ邦題の示す通り、記者たちの仕事、すなわち「分析力・発信力の重要性」だったのかもしれません。
私たちが事象から直感的に何かを感じ取ったとしても、新聞記事にするには、裏を取らなければいけません。さらに素人にも分かるよう、簡単に要点を整理して書かなければなりません。それで初めて伝わるのです。
そして、直感を得る事象には、風景のようなものだけでなく、数字の羅列である統計データが重要であることは、つい最近の日本の出来事にもあった通りです。
この映画にも、核の部品として挙げられた金属のパイプが、専門家の話を聞くと、「口径が違うから核の部品には使えない」という結果が出るエピソードがありました。
そんなとき、どこかの国の警察では、証拠を偽装することもあったようですが。
追記Ⅱ ( チラシの写真 )
2019/4/4 22:55 by さくらんぼ
>私たちが事象から直感的に何かを感じ取ったとしても、新聞記事にするには、裏を取らなければいけません。さらに素人にも分かるよう、簡単に要点を整理して書かなければなりません。それで初めて伝わるのです。(追記より)
チラシを見てください。
下に写っている男性二人が悩める主役のようです。
そして、中段にあるタイプライターが、記事にするための仕事を表しています。
追記Ⅲ ( 「事件は現場で起きているんだ」 )
2019/4/5 9:39 by さくらんぼ
映画の冒頭、軍服を着て車イスに乗った、黒人系の若者・アダム・グリーンが、聴聞会で質問を受けるために登場します。
彼は、9.11でアメリカがイラクと戦争を始めると知り、心配する両親の意に反して、愛国心を押さえきれずに志願兵となった一人でした。
しかし、戦争最後の日、彼の乗った軍用車が地雷を踏んだようで、突然爆発し、彼は脊椎損傷の車イス生活者になったのです。
そんな英雄とも言える彼がなぜ聴聞会に。
どうやら、死傷者が出た事で、責任問題に発展しているようです。証言如何では、彼も有罪になりかねない。
話を戻します。
そんなアダム・グリーンが聴聞席につこうとしましたが、イスがあったため、彼は自らそれを動かして、車イスを入れました。
その後、議会委員たちが入ってきます。
議会委員の代表は、「立って宣誓してください」と言いました。立てないアダム・グリーン。一瞬の間があって、それに気づいた代表は詫びました。
大統領もそうでしたが、上の方に立つ者は、末端の人の事は、あまり興味が無いようです。映画「踊る大捜査線」を連想します。
この戦争で見つかった核兵器「0」個、イラク人の死傷者「100万人」という統計データも出てきました。
嘘で戦争を始めた大統領たちの責任問題が、うやむや(!?)になっているのに、愛国心にかられて志願兵になった末端の負傷兵が、聴聞会で厳格に裁かれるという不条理。
心ある新聞記者たちは、その無念を晴らさなければならなかった。
ここにも新聞の使命があるのでしょう。
追記Ⅳ ( 映画「GODZILLA ゴジラ」 )
2019/4/5 18:14 by さくらんぼ
『 もしドイツが、「ホロコーストなんて無かった。アウシュヴィッツ? あれは病院だよ。ドイツはユダヤ人たちを助けていたんだ」などという映画を作ったら、世界中の避難をあびて大変なことになるでしょう。
でも、米国は「ゴジラは核兵器のせいで生まれた」という点を、「核兵器は偶然発見したゴジラを殺すために使用しただけ、でも効き目はなかった」と描いた映画「GODZILLA ゴジラ」(2014年)を作ったのです。歴史の改ざんと言われかねない事を。
それは事実上、「広島・長崎の、核兵器による死傷者は0である」と言ったことになる、かもしれないのです。
死者に対する冒涜。』
( 映画「シン・ゴジラ」追記20 2017/11/17 by さくらんぼ より抜粋 )
追記Ⅴ ( 「人種差別」 )
2019/4/5 18:21 by さくらんぼ
>映画の冒頭、軍服を着て車イスに乗った、黒人系の若者・アダム・グリーンが、聴聞会で質問を受けるために登場します。>そんなアダム・グリーンが聴聞席につこうとしましたが、イスがあったため、彼は自らそれを動かして、車イスを入れました。
>議会委員の代表は、「立って宣誓してください」と言いました。立てないアダム・グリーン。一瞬の間があって、それに気づいた代表は詫びました。>大統領もそうでしたが、上の方に立つ者は、末端の人の事は、あまり興味が無いようです。映画「踊る大捜査線」を連想します。
>この戦争で見つかった核兵器「0」個、イラク人の死傷者「100万人」という統計データも出てきました。
映画の冒頭を飾っているということは、主題級のエピソードだと思います。
そのアダム・グリーンは、なぜ黒人に設定されていたのでしょうか。
ならば、議会委員がアダム・グリーンに興味が無かったのは、一兵士だから、だけでなく、黒人だから、もあったのかもしれません。
その昔、アメリカが日本に核兵器を使ったのは、特に二発目の長崎は、戦争に勝つためでなく、実験のためだったという話もあります。「人種差別」があって、あまり良心は痛まなかったのでしょう。
いや、今でもあまり良心は傷んでいないのかもしれません。映画「GODZILLA ゴジラ」(2014年)が生まれたぐらいですから。
そんな事を加味して考えると、聴聞会のエピソードは、大統領のイラク戦争と相似形になっている可能性があります。「人種差別」という点で。
もし「人種差別」が、イラク人に100万人の死傷者を強いたとしたら。
この映画が、言外で語っている事は、そこなのかもしれません。
追記Ⅵ ( 邦画では )
2019/4/6 9:36 by さくらんぼ
>そのアダム・グリーンは、なぜ黒人に設定されていたのでしょうか。(追記Ⅴより)
これを邦画に当てはめて考えると、「在日の方」が登場したと思えば理解しやすいのかもしれません。
「 第二次世界大戦当時、汚れ仕事を前にしたとき(表現が失礼ですが)、その在日の方には、上官から忠誠を証明するように圧力をかけられた可能性は無かったでしょうか。」
( 映画「私は貝になりたい」1959年 2015/12/15byさくらんぼ より抜粋 )
あるいは…
「 その訛りから、男は『在日(韓国・朝鮮系)の人』だと少年には分かりました。
少年は、後にその『在日の人』の残像からドラマを作りました。それが『男はつらいよ』だったのです。」
( 映画「男はつらいよ」〈1969年〉2018/1/3 by さくらんぼ より抜粋 )
これらの映画も、暗に「人種差別」を語っていたと言っても良いのかもしれません。
詳細は、それぞれのページをご覧ください(無いレビューは順次掲載します)。
追記Ⅶ ( 志願した本当の理由は )
2019/4/6 18:24 by さくらんぼ
>映画の冒頭、軍服を着て車イスに乗った、黒人系の若者・アダム・グリーンが、聴聞会で質問を受けるために登場します。
>彼は、9.11でアメリカがイラクと戦争を始めると知り、心配する両親の意に反して、愛国心を押さえきれずに志願兵となった一人でした。(追記Ⅲより)
>「 第二次世界大戦当時、汚れ仕事を前にしたとき(表現が失礼ですが)、その在日の方には、上官から忠誠を証明するように圧力をかけられた可能性は無かったでしょうか。」
( 映画「私は貝になりたい」〈1959年〉2015/12/15 by さくらんぼ より抜粋 )(追記Ⅵより)
アダム・グリーンが志願兵になった理由を愛国心と書きましたが、もしかしたら、「この機会に周囲に忠誠心を見せつけ、少しでも人種差別から逃れたい」と思っていたのかもしれません。
つまり「人種差別から生まれた戦争に、人種差別から逃れたい若者が志願した」のです。
不条理ですね。
しかし、そんな彼も、少しは報われたようです。
映画のラストに、戦没者墓地のシーンがありまして、アダム・グリーンの隣に、偶然、宇宙人ジョーンズも居たのです。
アダム・グリーンは宇宙人ジョーンズに声をかけ、「ベトナムですか?」と言います。ジョーンズが頷くと、「ありがとう」と言いました。
するとジョーンズも車イスの彼を見て、「君こそ、ありがとう」と返礼したのでした。
対照的な二人でしたが、こわもてのジョーンズも、アダム・グリーンには敬意を表したのです。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?