#ネタバレ 映画「あかね空」
「あかね空」
新しい桃源郷をさがしましょうか
2015/7/26 7:36 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
小学校から帰り、
玄関に入ったときに、
それは終わりました。
空いっぱいに無数の錦鯉が泳いでいるような、あかね空みたいな合成写真を、どこかで見ました。
それで、私も幼稚園のころ、あんな絵を描いていたのを思いだしたのです。
今、思えば、あの色が、あのころの私の桃源郷だった。
あそこに、いつも逃げ込んでいたのです。
あの秘密の花園を、きれいだと言って、みんなも喜んでくれました。
うれしかった。
だから、私は小学校に入ってからも、そのモチーフを書き続けました。小学校でもみんなから称賛をもらいたくて…
しかし、ある日、私が学校から帰ってくると、幼稚園の先生が遊びに来ていて、玄関で母と二人、私のスケッチブックを開いていました。
二人は、私の秘密の花園を見ていたのです。無断で。
当然に、その絵には、進歩がありませんでした。
私はそれを見て、称賛を求めていた自分の心を見透かされたようで、さらし者にされたようで、恥ずかしさと、怒りが湧いてきました。
だから、あの光景は、昨日のことの様に覚えています。
あれから、私は秘密の花園を書くのをやめました。
映画「あかね空」。
あれは、京都風の豆腐を、江戸で売りだそうとして、苦労する話でした。
いわゆる異文化のぶつかり合いですね。
むかし観た映画なので、詳細は忘れましたが、主人公たちも京都の文化(桃源郷)に誇りを持っていました。
思えは、アーティストたちは、自分のスタイルに皆自信を持っているのですね。たとえ世界中が理解してくれなくとも。
さてと…
私も新しい桃源郷をさがしましょうか。
★★★★
追記 ( ドーナツ屋さんの花園 )
2016/2/16 21:52 by さくらんぼ
公園に行くと緑の樹々が迎えてくれますが、花は意外と少ないのです。
私には花壇を作る趣味がないので知りませんが、きっと手入れに手間がかかる、からなのでしょうね。
そんな私が花を愛でる場所の一つとして、近所のドーナツ屋さんがあります。
「ドーナツ屋さんに花が咲いているのか?」ですって。
これが咲いているのですよ。ドーナツの花が。
レジの順番を待つ間に、ショーケースにならんだカラフルなドーナツをいつも愛でています。
最近のドーナツは新製品の花盛り、形も丸であり、まるで食べられる花みたいなのです。
そして伊達にカラフルなのではありません。
虚飾ではなく、味に裏打ちされた美なのです。
言ってみれば“フランス料理の美”みたいなもの。
ひとつ、ひとつがポエム。
昨日は都心で、お寿司やさんの隣にあるドーナツ屋さんも見つけました。
ショーケースに並んだドーナツは、お寿司やさんのカラフルなメニュー写真と見間違うほどに鮮烈でした。もしかしたら張りあってる!?
いちど皆さまも、ドーナツ屋さんに、一足早い花見に行ってください。
そして気にいったら一つ買ってみてください。
専門店で買うドーナツは作りたてですよ。
揚げたての唐揚げが美味しいことを知っている人は、作りたてのドーナツの味も想像できるはずです。できれば店内ですぐ食べましょう。
追記
忘れてはいけませんでした。
店員さんたちスマイルは“生け花”ですね。もちろん世界にひとつだけの。
そして、よく冬にコタツに置いてあるミカン。あの正体も“ミカンという名の花”だったのかもしれませんね。
潤いのある黄色が美しい。
追記Ⅱ ( 「怖いものは食え」 )
2017/5/21 8:49 by さくらんぼ
2002年に江戸・深川が舞台の時代小説「あかね空」で直木賞を受賞した作家・山本一力さんの話が新聞に載っていました。
山本さんは昔、「近畿日本ツーリスト」で働いていたそうです。その時、のちに近畿日本ツーリストの代表取締役副社長になる先輩から、厳しい指導を受けていました。
その時教わったことの一つに、「『怖いものは食え』。逃げるな、食ったら怖くなくなる」がありました。
これは単なる食の意味だけではありません。山本さんは、「一生の杖になる言葉と出会えた幸せに感謝している」そうです。
( 参考:朝日新聞2017.5.18(夕) コラム「一期一会」の「怖いものは食え」 )
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)