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#ネタバレ 映画「ルース・エドガー」

「ルース・エドガー」
2019年作品
それはレイプと同じ
2020/6/9 17:40 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

良質のミステリーです。

リアルでも、まれに絵にかいたような模範生がいますね。

異性の場合は惚れてしまうし、同性の場合は胡散臭いと思ってしまう、いけない私ですが。

いや、小学生の頃、上級生に主人公・エドガーみたいな優等生がいて、彼がそばを通るだけでドキドキした経験がありました。

LGBTQではありませんが、誰にもそんな時期があるのでしょう。

追記

しかし、エドガーには惚れそうになりました。惚れっぽい老若男女の方はご注意ください。

★★★★☆

追記Ⅱ ( それはレイプと同じ ) 
2020/6/9 17:52 by さくらんぼ

主人公・エドガーは、アフリカの戦火の地よりアメリカに移民し、白人夫妻の養子として育ちました。

現在でこそ、絵にかいたような模範生ですが、映画の中で、養子になった当時のことが少しだけ語られます。

野生児のよう印象を受けました。そんな彼を、養親が、極めて悪い表現を使えば、調教したのです。

それは、ある意味レイプと同じ。人格無視の行為でした。

それを、養親は教育だと信じていたし、エドガーも正解だと信じて生きて来たのです。

しかし、「金太郎あめ」的人間を創ることには問題がありました。

そのストレスが17歳になって噴き出したのです。

追記Ⅲ ( それはレイプと同じ② ) 
2020/6/9 17:58 by さくらんぼ

主人公・エドガーの恋人役として、韓国系!?の女子が出てきます。

彼女はコンパでレイプされそうになったようで、その心の傷を涙ながらに語るシーンがありました。

しかし、その涙は、同時に主人公・エドガーの胸に潜む涙でもあったのでしょう。

彼女を使って彼を説明したのです。

追記Ⅳ ( それはレイプと同じ③ ) 
2020/6/9 18:13 by さくらんぼ

日本が台湾を統治していた頃、日本は「台湾を理想の日本」にしようとしてたようです。あの両親のように。

その「功罪」の、「功」の部分が評価されて、現在、良好な日台関係がありますが、もし「罪」の部分だけを取り上げて増幅するならば、主人公・エドガーの怒りの部分に近いものになるのかもしれないと思います。

追記Ⅴ ( あるいは洗脳と同じ ) 
2020/6/9 20:21 by さくらんぼ

エドガーは白人社会に溶け込むため演技をしていました。実際、彼はそう白状したのです。

養親はその演技に騙されましたが、学校の黒人女性教師によって、化けの皮が剥がされそうになったのです。同じ黒人同士としてピンとくるものがあったのでしょう。

「演技は許されない」。

「洗脳される」。

あろうことか、そう怯えたエドガーは、その教師と闘う決意をしました。

ちなみに、その教師の家族の一人が心を病み、教師によって精神病院に強制入院させられそうになり、怒って学校へ押しかけ、玄関先で素っ裸になって、黒いヌードをさらすシーンがありますが、あれこそエドガーの恐怖を視覚化したシーンだと思います。

ここでも、彼女を使って彼を説明したのでしょう。

追記Ⅵ ( 水槽の魚 ) 
2020/6/10 10:26 by さくらんぼ

>野生児のよう印象を受けました。そんな彼を養親が、極めて悪い表現を使えば、調教したのです。(追記Ⅱより)

しかし、「水槽に入れた魚を取り出し、物のように乱暴に投げ捨てた」という養母がしたエドガーの幼い日の(怖い)話は、魚に白人社会に順応しても生きようとする自分を重ね、「自己嫌悪」になった彼の自殺の姿なのかもしれません。つまり、一見、乱暴者のような彼は、実はデリケートな感性を持っていたのです。

そんな彼は映画の後半、小さな水槽に入れた一匹の魚を養母に笑顔で見せるのです。ホラーですね。

ちなみに、日本でも数年前に社会的弱者を大量に殺めた者がいました。謎の犯行理由をめぐって議論がありましたが、私は自己肯定感の低いというか、自虐的な加害者が、社会的弱者に自己を投影し、その加害者になることで、自殺の代償行動をしたのかもしれないと思っています。自己を投影したのですから、差別感情とは逆の心理なのかもしれません。

追記Ⅷ ( 新しい名前 ) 
2020/6/10 15:55 by さくらんぼ

エドガーが、「私の名前は発音が難しいので、養父が新しい名前をくれました」みたいなスピーチをするシーンがあります。

しかし、人名でも社名でも地名でも、安易に変えるものではありません。名は歴史を引きずっているからです。

変更は分断を意味する場合があります。ですから、スマイルで語ってはいましたが、あれはエドガーの悲鳴だったのかもしれません。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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