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#ネタバレ 映画「レンタネコ」
「レンタネコ」
2011年作品
マルチタレントな生き方
2016/7/2 6:42 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
映画「ふきげんな過去」と映画「レンタネコ」は、ある意味、対照的な作品だったのかもしれません。
映画「レンタネコ」では象徴的に「川」が使われています。「川」には運河と違い「流れ」があります。程度の差こそあれ澱んではいません。この「流れ」は主人公・サヨコ(市川実日子さん)の「心の流れ・人生の生き方」の記号だと思います。
サヨコに時々ちょっかいをかける謎の隣人おばさん(小林克也さん)が出てきます。なぜ男優が女性を演じているのか。たぶん「体は男性で心は女性」の人という設定なのでしょう。
それに気がつくとサヨコがボーイッシュな顔つきの理由が想像できます。サヨコは逆に「体は女性で心は男性」だからなのでしょう。
おばさんは「中年女性の心」なので「ボーイッシュなサヨコに若い男性の魅力」を感じ、たぶん惚れているのです。だから愛情表現として、ちょっかいをかけてくる。
一方、サヨコは「若い男性の心」なので「中年おばさんからちょっかい出されても嬉しくない」のです。又、そのちょっかいの出され方も変化球なものだから、「小バカにされている」と感じてしまい反発するのです。
だからこの映画「レンタネコ」のネッコ(深層)にあるのは、「サヨコの心に吹くすき間風」は、「LGBT問題」なのかもしれません。
しかしサヨコは澱んではいません。サヨコの生き方は流れています。
サヨコは子供の頃から株に才能がありました。株で十分な生活費を稼いでいるのです。そして音楽にも才能があり軽音楽の作曲でも稼いでいます。だから「レンタネコ」は言わばボランティア。ほんとうは金など貰わなくても良いぐらいなのです。
サヨコの所には野良猫が集まってきます。それも才能の一つ。それを生かすために「レンタネコ」を始めたわけです。そしてサヨコの場合、金を稼ぐだけでは心のすきまを埋めるだけの幸福感が得られなかったのでしょう。(失礼ながら)どちらかと言えば「ひきこもり」的な仕事だから。でも「レンタネコ」をすれば「行商しながら人助け」ができるのです。「人々との交流・感謝のキックバックが期待できる」からです。その喜びは「生きる糧」になります。
自分の才能を一つに限定しないで、序列をつけないで、オープンにして社会と関わって生きていく。それがサヨコの生き方。これはそんな作品だったのかもしれません。
★★★★
追記 ( 「一番おもしろかったで賞」 )
2016/7/2 21:11 by さくらんぼ
山田真歩さんが、レンタカー営業所の、メガネのよく似合う、一人ぼっちの店長・従業員を演じています。お客さんが来なくて潰れそうなお店。彼女も心に満たされぬものを抱えていますが、運河のように澱んだ生き方をしています。クルマを借りに来た主人公との掛け合いが面白い。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)