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#ネタバレ 映画「くろねこルーシー」

「くろねこルーシー」
2012年作品
「忘れられた存在」という楽園
2016/4/27 7:22 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

ひなびた湯治場みたい。

そんな閑散としたボーリング場のかたすみに、占いの屋台が二つ三つ出ている。

主人公の占い師・鴨志(塚地武雅さん)もその中にいた。

お客さんは来ない。

屋台の中はやや薄暗いが、ビル暖房が効いて、しずかで暖かい。

鴨志は手持ちぶさたになり、隣の屋台の女占い師と雑談を始めたが、いつのまにか人生相談になって…。

お客さんが来ないとお金に困ります。

だから大問題。

でも、それはそれとして…あの、ゆる~い空気感が好きです。そのゆるさに絡めとられ、それ観たさだけで、忘れられない作品になりました。

この映画はB級作品でしょう。

でも一癖あります。

主人公は自宅で電気ゴタツに入りますが、布団がないので電熱ランプが見えているのです。

そして主題のヒントは映画の最初にありました。

父の墓参りに来た男は、別居中の妻子が来たので、あわてて墓の裏に隠れます。それに気づいた妻は、気づかぬふりをして、表面的には子供と話をしながら、実は男に語りかけるのです。

この「キー」で物語をこじ開ければ主題が見えるのではないか、そう誤解しているのですが、湯治場では誤解を正す気力も失せてしまうのでした。

追記 ( 萌える玄関先 ) 
2016/4/27 9:13 by さくらんぼ

主人公が住んでいるアパートも良い。

あの“忘れられた場末の長屋感”。

部屋の中よりも玄関先あたりが萌える。

玄関は道路に面していない。

90度横向きに付いて、空き地に面している。

この90度から味わいが生まれます。

そして、そこには華やかなものも無く、雑草も生え、寂寥感が漂っていて…。

ちなみに人と対談するときも、角度はメンタルに微妙な影響を与えるとか。



(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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