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#ネタバレ 映画 「サバービコン 仮面を被った街」

「サバービコン 仮面を被った街」
2017年作品
誰がヘビを持ち込んだ
2018/5/9 21:49 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

表層はヒッチコックを思わせるようなサスペンス。

深層は旧約聖書の「失楽園の物語」の可能性があります。

ハラハラ、ドキドキして、ラストにあるのは希望か絶望か。

ブラックで、なかなか面白い作品でした。

★★★★☆

追記 ( 楽園のヘビ ) 
2018/5/10 8:58 by さくらんぼ

もちろん私も「人種差別反対」ですし、当然にこの映画もそれを訴えているはずなのですが、ヘビを持ち込んだのは隣の黒人少年でした。そして白人のニッキー少年にプレゼントしたのです。

さらに、母親に止められても、「ヘビのエサを探すんだ」と、虫取りに余念がない黒人少年のシーンも追加されています。

どうやら、この映画、ヘビにこだわりがあります。

その後、白人・ニッキー少年が敵に襲われた時、部屋に置いてあったビンが倒れ、ヘビが床をはうシーンがアップになります。絶体絶命の危機とヘビの登場。

結局、危ういところを、駆けつけた伯父さんに助けられるのですが、はたして、この映画において、ヘビは悪運の記号だったのか、それとも幸運の記号なのか。

追記Ⅱ ( 楽園のリンゴ ) 
2018/5/10 9:13 by さくらんぼ

ヘビと言えば、次に来るのはリンゴですね。

ぼ~としてたので、本物のリンゴが出てきたのかハッキリ憶えていません。もしかしたら、食事のシーンにあった可能性もありますが。

でも、父・ガードナーの白シャツが鮮血で染まるシーン、あの赤もリンゴの記号でしょうか。

さらに地下室で、父がHのときに使っていた(ムチ代わりにパチパチ女を叩いていた)、赤いラバーの卓球ラケット。あれもリンゴだったのかもしれません。

追記Ⅲ ( イジメの構図 ) 
2018/5/10 9:31 by さくらんぼ

ラストシーン。

家族が全員死んでしまった白人のニッキー少年は、死体を放置したまま、唯一の友だちである、隣の黒人少年とキャッチボールを始めます。

もしかしたら、ニッキーは黒人一家に引き取られるのでしょうか。黒人にとっても、白人の仲間が出来ることにはメリットがあるでしょうし。

しかし、高級住宅地に引っ越してきた、あの黒人一家に対する風当たりは、暴動のような恐ろしさがありました。もし、その家族になると、ニッキーにも、今後、世間の厳しい目が向けられる心配があります。純なニッキーに、そんな打算はありませんが。

追記Ⅳ ( 仮面親子 ) 
2018/5/10 9:42 by さくらんぼ

世に「仮面夫婦」という言葉がありますが、「仮面親子」も少なからず在るのではないでしょうか。

ニッキーは父たちとの関係が冷え切っていました。

そこに、とどめを刺すような寒々とした会話シーンが、映画のクライマックスには用意されています。

追記Ⅴ ( 黒人たちの願い ) 
2018/5/10 21:42 by さくらんぼ

>もしかしたら、ニッキーは黒人一家に引き取られるのでしょうか。黒人にとっても、白人の仲間が出来ることにはメリットがあるでしょうし。(追記Ⅲより)

そう言えば、ニッキーの父親は、「黒人は白人と結婚して、白人社会に溶けこむ事を、狙っているんだ」、そんな意味の話をしていました。

追記Ⅵ ( 父の陰謀 ) 
2018/5/11 8:52 by さくらんぼ

ちなみに(映画の表層)は…

故意か過失か、父が運転するクルマが事故を起こし、乗っていた妻は、車イス生活になってしまいました。

妻に不満を抱くようになった父は、ギャングと結託し、障害者になった妻を葬りました。強盗殺人を装って、保険金殺人をしたのです。

実は、妻には双子の姉妹がいて、妻と三角関係になっていました。そうやって父は、健常者になった妻(外見だけ)と、多額の保険金を手に入れようと企んだのです。

目まいがするほど、おぞましいですね。

追記Ⅶ ( キャッチコピー ) 
2018/5/11 8:57 by さくらんぼ

「 人間不信 エンタテイメント! 」

( 映画のチラシより抜粋 )

追記Ⅷ ( CMは語る ) 
2018/5/11 14:46 by さくらんぼ

美男子ジョージ・クルーニーさんの、ネスプレッソCMが、YouTubeでも見られます。

あれには、「ジョージさんと親密になるより、ネスプレッソを飲む方が良い」という美女が、たくさん登場しますね。

そのたびに、ジョージさんの人間不信は深まっていったのです。

ジョークはさておいて…

アーティストは自分のテーマを持っている事があります。ジョージさんにとっては、 これだったのかもしれませんね。

追記Ⅸ ( これは人種差別反対の映画 ) 
2018/5/13 9:40 by さくらんぼ

夫婦が並び立っていて、ピンクの服を着た妻が、コーヒーカップを持っているチラシがあります。

妻の右下には、息子のニッキーも。

しかし米国版なのか、ニッキーの代わりに、「頭にゴルフクラブが突き刺さった死体」が写っているチラシもあるみたいです。刺激が強いから、日本版ではニッキーに差し替えられたのかもしれませんね。

そのゴルフクラブですが、「ヘビ」の記号だと思います。「ヘビが頭にかみつき」敵を倒したのです。このカットが在ることで、ヘビは番犬のような救世主である事が分かりました。

するとニッキーが襲われた時、ヘビのアップになりましたが、あのヘビも幸運の記号。敵は駆けつけた伯父さんが倒しました。

そう言えば黒人少年が、ヘビをニッキーにプレゼントしたとき、「ヘビは幸運をもたらす」みたいな話をしていたような…はっきり覚えていませんが、そんな気もします。もし有ったとしても、その時点では、私は疑いを持っていましたが。

映画「ターミネーター2」で、敵だと思っていたロボットが、実は味方だったように、この映画も、ヘビは悪役顔をした救世主だったのです。ニッキー少年にとって。

だから、この映画は、人種差別反対の作品。黒人と仲良くした者は、ラッキーだったというお話でした。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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