#ネタバレ 映画「第9地区」
「第9地区」
2009年作品
隔離も欲望には勝てない
2010/5/2 11:30 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
ボーダーレス、無国籍料理、クロスオーバー、ハイブリッドカー。そんな言葉を思い出しました。もともとは別々の物が、壁を乗り越えて合体しようとするエネルギーは、どこにも生まれるようです。
あれは映画「シンドラーのリスト」だったでしょうか。もしかしたら違う映画だったかもしれませんが、強制収容所の所長が、迫害すべきユダヤ人女性の1人を愛してしまい、自己矛盾に苦しむ様子が描かれていたことも思い出しました。
さて「第9地区」。この映画では宇宙人隔離政策の顛末を描いていましたが、案の定、人間と宇宙人は、憎みあい、対立しあいながらも、様々な理由、打算で、惹かれていくのです。
そしてヴィカスの悲劇。Hをしないで人間と宇宙人との交配が行われました。
人間の、武器の商人は、宇宙人になりかけたヴィカスを一口食べました。ヴィカスを追いかけていた兵士も宇宙人に食べられます。宇宙人も、迫害されたまま一生を終えるなら、地球人を食べて遺伝子を取り込み、地球人に成ったほうが良いと思ったのかもしれません。
そしてラストシーン。宇宙人に成ってしまったヴィカスが、一輪の花を持ってたたずむワンカットの詩情は、チャップリンの映画「街の灯」を想い出させました。浮浪者だったチャップリン同様、宇宙人のヴィカスも隠れてしか愛は語れないのでした。
この映画はグロテスクな宇宙人とでさえ愛憎の愛を交歓できる可能性を描き、異文化、異民族、を隔離することの愚かさを語っていたのかも知れません。
★★★★
追記 ( 無題 )
2016/3/5 9:37 by さくらんぼ
「カラスも藪のにぎわい」
( 映画帰りの公園にて…。)
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)