#ネタバレ 映画「建築学概論」
「建築学概論」
2012年作品
略奪愛は成功したのか
2018/8/13 9:16 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
建築家スンミンは、初恋の相手・ソヨンに心を残したまま、体だけ今の婚約者と結婚するのです。
部屋が心の象徴なら、ソヨンはスンミンの心と結婚したことになります。その為にスンミンにわがままを言って、オリジナルの家を設計させたのです。
引き裂かれてしまったスンミンは、きっと南北に分断された、韓国の心なのでしょう。
★★★★
追記 ( ハルキストはどう見たのか )
2018/8/14 9:55 by さくらんぼ
建築家スンミンは、どこか村上春樹さんに似ています。だから、なにか不思議な気分で観ていました。
追記Ⅱ ( ピアノ )
2018/8/14 15:44 by さくらんぼ
ソヨンは、家を建築中、急に「ピアノを弾く部屋が欲しい」と、無理な設計変更を言い出しました。
これは、スンミンに婚約者がいたことが発覚し、「もう復縁は困難だ」と踏んだからかもしれません。
スンミンと結婚できなければ、ソヨンは生活費にも困るため、ピアノ教室の先生をして生計を立てようという算段でしょう。ソヨンの気持ちとしては、「結婚してくれないスンミンが悪い」から、設計変更によるスンミンの迷惑など、自業自得だと思っているはず。
そして、映画「ピアノ・レッスン」で淀川さんが解説したように、「ピアノ」は「女にとって男の代わり」でもありました。だから、「触れられるスンミンの体」であったわけです。
でも、ピアノルームを作ったせいで、一階にはソヨンの部屋が作れなくなり、屋上にぽつんとできました。あの部屋は寂しいソヨンの心のような気がします。
そして、同居することになったソヨンの父も、一階の自分の部屋にいるよりも、庭の方が好きだと言っていました。父もまた、ソヨンを押しのけたような感じで、一人一階に居ることに違和感を感じていたのでしょう。居場所がないのです。
追記Ⅲ ( 小包 )
2018/8/14 16:01 by さくらんぼ
4人が写っているチラシの写真を見てください。
向かって一番左に写っている、村上春樹さんみたいなスンミンが、手に持っているのはCDです。
左から3番目がソヨンであり、手に持っているのは、CDジャケットサイズの、CDプレーヤーです。
二人が学生の頃、初恋の中で、音楽を聴いていた道具です。2つのイヤホンを、仲良く1つづつ使って。
その懐かしい道具は、スンミンが持っていましたが、スンミンが結婚してしばらくしてから、ソヨンの元へ送られてきました。
これは何の合図なのでしょう。
「僕は結婚して…別の道を歩む決心をしたから…(君を忘れて再出発するために)君との懐かしい思い出は、君に返すよ…」と言う意味でしょうか。
スンミンのソヨンに対する気持ち(心)も、こうして今、ソヨンの家に帰ってきたのです。
追記Ⅳ ( そして男と女 )
2018/8/14 16:07 by さくらんぼ
「思い出」と「心」
「音楽」と「CD」
「CD」と「CDプレーヤー」
「家財道具」と「家」、
「人」と「家」、
みな、相似形のように思います。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)
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