#ネタバレ 映画「パンとバスと2度目のハツコイ」
「パンとバスと2度目のハツコイ」
2017年作品
パンを立ち食いしながらバスの洗車を見る女
2020/5/16 9:57 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
深川麻衣さんという女優さんを初めて自覚したのは、TVドラマ「日本ボロ宿紀行」でした。
深川さんのふわふわとしたユルサと、高橋和也さんの鋼のような固さが良いコンビでした。元・乃木坂46という事は知りませんでした。
この映画「パンとバスと2度目のハツコイ」も深川さんの名前でチョイスしたものです。まだ途中までしか観ていませんが、これもユルイ映画のようで、わるくありません。
パン屋で働くヒロイン・市井ふみ(深川麻衣さん)が仕事を終えて帰るとき、パンの入った紙袋を持っていくのです。説明はありませんが、きっと売れ残ったパンを捨てる前に、従業員に配っているのでしょう。
ふみは、帰宅途中にいつもバスの洗車場に立ち寄り、パンを食べながら、洗車の様子をあきることなく眺めていました。
そうしたら、強い風が吹いて、パンを入れていた袋が飛んで…。
この後は、まだ観ていません。
追記 ( 布袋に入れた積み木 )
2020/5/18 10:10 by さくらんぼ
何の映画でしたか、以前、レビューに「布袋に入れた積み木を、袋の外から手で触っているような感覚を感じる。ゴツゴツしているが、中は見えない」みたいな話を書きました。
この映画「パンとバスと2度目のハツコイ」からも、そのゴツゴツとしたものを感じるのです。そして、同様に中は見えません。
一見穏やかな日常を描いただけの作品でも、実は行間に色々な思いが込められていることがあります。これもそんな作品のような気がします。
しかし、哀しいかな、日常の中に置かれたTVで、何回かに分けて観ていると、行間までは感じ取りにくいのです。繰り返し鑑賞すると、そのあたりが観えてくるような気がしますが。
しかし、ヒロインたちが小山の上で、大声で本音を叫ぶシーンが痛かった(はずかしかった)のも確かです。
★★★☆
追記Ⅱ ( ヒロインの緑内障 )
2020/5/18 10:21 by さくらんぼ
一つ思った事は、ヒロイン・市井ふみは緑内障で毎日の点眼がかかせない事です。
目薬さえ忘れなければ失明はしないと映画で語っていますが、わざわざ語ることで、ヒロインが逆に(点眼を忘れて)失明することを恐れていると、示唆していたような気がします。
ヒロインが恋愛感情をこじらせている理由の一つには、それがあるのかもしれません。
又、ヒロインは「一生好きでいられる自信がない」とか言って恋愛から逃げています。
その不安定感こそ、ヒロインが緑内障に感じている気持ちとイコールなのかもしれません。
追記Ⅲ ( 「朝日」と「夕日」 )
2020/5/19 8:57 by さくらんぼ
『 パン屋で働く市井ふみは「ずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」という結婚観を持っていた。ある日、ふみは中学時代の初恋相手で、現在はバスの運転手をしている湯浅たもつと再会。ふみは、再度たもつに惹かれていくが…… 』
( ぴあ映画生活『パンとバスと2度目のハツコイ』あらすじ より )
市井ふみは「朝日」が好きです。
働いているパン屋さんへの道すがら、毎日、朝日を楽しみにしていました。
パン屋さんは仕込みのせいで朝が早いようですね。しかし、朝日は記号でもあり、彼女の将来への夢を物語っていたのかもしれません。逆説的ですが、将来への夢が強いからこそ、将来が不安なのです。
それに対して、市井ふみと相思相愛の幼なじみ湯浅たもつは「夕日」が好きです。彼はバツイチで子供もいました。そんな彼の人生観はもはや朝日ではなく夕日なのでしょう。
彼は市井ふみと再婚したそうでしたが、彼女は「友だちなら良いけれど、好きにならないで」と釘を刺すのです。それなら止めると言う彼。
「朝日」と「夕日」、まったく違うようですが、ある瞬間の光量においては似たようなものなのかもしれません。
その瞬間に異常接近した二人。
はたして二人の将来は。。。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)