
#ネタバレ 映画「歓びのトスカーナ」
「歓びのトスカーナ」
2016年作品
パンクロックみたいな大騒ぎ
2017/8/4 5:41 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
チラシの写真を見ると、女性2人が抱き合って寝ているので、これもLGHTかと思いましたが、どうも違うようです。
静謐な映画でもありません。
映画は、トスカーナ地方にある精神病院みたいなところで暮らす先輩・ベアトリーチェに、先生と勘違いした後輩・ドナテッラが悩みを話す所から始まります。
先生のふりをするベアトリーチェですが、すぐにニセモノだと分かって軽蔑。しかし、ドナテッラを気にいったベアトリーチェは、二人で脱走し、本物の先生みたいに彼女を助けようとする異色・佳作のロードムービーです。
映画「テルマ&ルイーズ」みたいなドライブシーンもありました。
ベアトリーチェの気持ちの振幅はすごく大きい。それに振り回されるドナテッラは情緒不安定に。イタリア人たちの開放的なおしゃべり好きと、閉鎖的な精神病院、逃亡、そして困惑のてんこ盛り。
この作品はハイテンションで、全編パンクロックみたいな大騒ぎ、しかし下品にはならないのです。
★★★★☆
追記 ( 夜明けのビーチで )
2017/8/4 5:57 by さくらんぼ
映画「ライフ・イズ・ビューティフル」などを観ると分かりますが、どこかで読んだ本によると、イタリア映画に子供が出てきたときは「救世主」の役目が与えられているのだそうです。あの映画は親が子を守ったのと同時に、子に親が癒された話でした。
この映画「歓びのトスカーナ」もそうですね。ドナテッラを救ったのは引き離された子どもとの再会でした。
そこへ向かって映画は突き進みます。
そしてクライマックス。
里親の家と、近くの海水浴場。
その癒し世界での面会は、まるで自分も一緒に過ごしたかのような気持ちになるはず。この夏、まだ海へ行っていない人も、素敵な海の想い出ができそうです。
追記Ⅱ ( ベアトリーチェも癒された )
2017/8/5 9:58 by さくらんぼ
>映画「ライフ・イズ・ビューティフル」などを観ると分かりますが、どこかで読んだ本によると、イタリア映画に子供が出てきたときは「救世主」の役目が与えられているのだそうです。あの映画は親が子を守ったのと同時に、子に親が癒された話でした。(追記より)
例によって映画「歓びのトスカーナ」のチラシを眺めてみました。二人が抱き合って寝ている写真です。
すると妙なことに気づきました。
抱かれて(癒されて)いるのが先輩・ベアトリーチェで、抱いて(癒している)のがピンクを着た後輩・ドナテッラだからです。主従が映画のストーリーとは逆転しています。向きも逆ですし。
思い起こせばベアトリーチェは長女的性格で、仕切りやさんでした。リーダーシップを発揮している時が一番幸せそう。流行りの言葉で言えば「承認欲求」が満たされた状態になるのかもしれません。
子どもを取り上げられるのも、精神病院へ強制入院させられるのも、「承認欲求」を無視されることになるのでしょう。それがドナテッラを助けるためにリーダーシップを全開にできたのです。だから彼女にとっても癒しになったのでしょう。二人は性格的にも逆だから良かったのですね。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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