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#ネタバレ 映画 「シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~」

「シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~」
パートナーとはハーモニーである
2013-01-09 11:05byさくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

会社で重役を務めていたAさんと、別会社でヒラの営業マンを勤めていたBさんが、ともに定年退職して趣味のサークルに入りました。そこで、初めて知り合った二人ですが、なんとなく馬が合うような気がして、すぐに友達になりました。

Aさんは、まだ営業マンの人なつこい雰囲気を残していたBさんを、かつての、お気に入りの部下のごとく思ったのです。Bさんは、まだ重役の雰囲気を残していたAさんを、かつての、お気に入りの上司のごとく思ったのです。

だから、二人はハーモニーしました。本当の会社にいるのなら、それで幸せだったのです。しかし、第二の人生では、在職中の肩書きからの脱皮も必要です。

ところがAさんは、Bさんが最初に部下を演じて(無意識に)くれたために、いまだ重役の雰囲気が抜けず、いつまでも威張り癖も抜けなかった。

やがて1年が過ぎたころ、Bさんは、そろそろヒラの営業マンの肩書きからの脱皮をはかりました。第二の人生に新しく生まれたものとして、ペコペコせずに「だれとも対等に接しよう」と、思い始めたのです(意識化)。そうすると、だんだんとAさんの威張り癖が鼻についてきました。

覚醒してみると、Aさんは、いつもBさんに対して上から目線でした。挨拶をしても、メールを送っても、ろくに返事がないことが多く、喫茶に行っても自分の話を聞かせるだけで、人の話を傾聴しようとする態度がない。「俺の相手をしろ」という態度はあっても、Bさんにたいする敬意が感じられないのです。Bさんは、そんなAさんに、ときどき侮辱されたような気がして、それを、いつも我慢していた事にも気がつきました。サラリーマン時代の様に。

友人にしても、夫婦にしても、年齢その他で、上下関係ができる事は致し方ないにしても、お互い「相手に対する敬意」がなくては長期間の安定的な友好的な関係はなりたちません。

きっとAさんは第二の人生では人知れず孤独なのでしょう。しかし、だからといってBさんが一生涯、Aさんの部下で過ごすわけにも、いかないのです。

この映画「シェフ」の二人の主役を観ていて、そんなことを思ってしまいました。

この映画の主題は、劇中のワインのエピソードに凝縮されているようです。ジャッキーがお客さんに「この料理だったらこのワインしかダメ、どうしても違うワインを飲みたいなら、料理を別のものに変える」と言うくだりです。

料理とワインというパートナーどうしは、お互いに敬意を持ち、きれいなハーモニーを奏でるものでなければならないと思います。どっちが勝ちすぎても、きれいなハーモニーにはなりません。人間関係もしかりなのでしょう。

映画「グラン・ブルー」でもそうですが、洋画には、ときに日本人をピエロにしたシーンが出てきて興ざめする事がありますが、今回のちょんまげと芸者!?は、まあ、ゆるします。フランスが勝ちすぎてはいませんから。

★★★


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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