#ネタバレ 映画「町田くんの世界」
「町田くんの世界」
2019年作品
「徳」のある人
2019/6/12 22:28 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
失礼ながら、意外と「見っけもん」かもしれません。
主人公・町田君(細田佳央太さん)のオフビートな演技が笑わせます。
ヒロイン・猪原(関水渚さん)も、「中年クライシス」にも匹敵しそうな、恋と学校に悩む、乙女のデリケートな心情を熱演していました。
そして、脇役も豪華で、主役級のベテランが多数出ていますが、中でも、映画「もらとりあむタマ子」で、その怪物ぶりを披露した前田敦子さんがスゴイ。
なにげなく登場し、ワンフレーズのセリフで、ショーン・コネリーみたいに注目をかっさらっていくさまは、やはり怪物でした。
老若男女が楽しめますが、ラストにファンタジーになるのが評価を分けるかもしれませんね。
★★★★☆
追記 ( 「徳」のある人 )
2019/6/13 10:21 by さくらんぼ
それから太賀さんが良い味を出していました。温かい存在感があるのです。この映画では好きな俳優さんの一人。
ところで、私の初恋は小6~中1ぐらいでしょうか。好きな女の子はいましたが、いつから恋していたのか、よく分からないのです。
でも、高校生の町田君は、まだ初恋を経験していません。しかし博愛精神はイエス様みたいに持っていました。
そんな町田君に恋するクラスメイトのJKが猪原です。
でも、やっと仲良くなっても、恋心の分らない町田君は、彼女だけを特別扱いにはしてくれません。
ほかの女の子にも(もちろん男にも)、手あたり次第やさしいのです。とうぜん嫉妬に苦しむ猪原。しかし、恋を知らない町田君には、嫉妬など理解不能の概念です。二人にはケンカが絶えません。
やがて、そんな町田君にも恋心が芽生える瞬間がやってきます。
その時から、今度は町田君も苦しみだすのです。
博愛精神よりも恋心を優先させて良いのかという、罪の意識に。
追記Ⅱ ( 「徳」のある人 )
2019/6/13 10:30 by さくらんぼ
>ほかの女の子にも(もちろん男にも)、手あたり次第やさしいのです。とうぜん嫉妬に苦しむ猪原。しかし、恋を知らない町田君には、嫉妬など理解不能の概念です。二人にはケンカが絶えません。(追記より)
しかし、これが伏線になっており、ラストに回収されます。
町田君からやさしくしてもらった多くの男や女が、町田君の恋の危機を知り、ファンクラブのように連携して、応援の行動を起こすのです。
何か少し、ほろりとしてしまった美談でした。
この美談が、(人の不幸は蜜の味的な)有名人のスクープをする週刊誌の話と絡めて、同時進行するのです。
追記Ⅲ ( 「愛」 )
2019/6/13 18:32 by さくらんぼ
「愛」は韓国語読みで「エ」らしいです。
そして「エ」をハングルで書くと「 에 」だとか。
だいたい「○-||」こんな感じ)。
その上で、チラシの写真を観てください。
風船と、彼女と、彼の構図を。
「愛」になっています。
私は韓国語は素人ですから、妄想だと言われれば、それまでの話ですが。
追記Ⅳ ( 「十字架」 )
2019/6/13 22:00 by さくらんぼ
映画の中盤、町田君が水を抜いて掃除していたプール内の壁面に、「+」マークが数か所並んでいました。それが数秒間映っていたので、「あ~あれは十字架かな…」と思ったのを覚えています。
町田君の博愛主義や、「愛」の文字、そして「+」マークを加味すると、深層的にもイエス様の物語の可能性がありますね。
追記Ⅴ ( 死と復活 )
2019/6/13 22:14 by さくらんぼ
町田君がイエス様だとすると、枝に引っかかった子どもの風船を取るために樹に登ったのは、「磔の刑」の記号なのかもしれません。
そして、風船と一緒に空へ昇っていったのは、天国へ行った記号であり…
プールへ落下し、「生きてた!」と驚くのは、「復活」の記号なのでしょうか。
追記Ⅵ ( 日韓友好 )
2019/6/14 6:33 by さくらんぼ
この映画「町田くんの世界」も、映画「薔薇とチューリップ」に似ているのかもしれません。
つまり日韓友好を願う作品。
南北問題や反日教育で屈折気味の韓国が、同じく屈折気味の猪原であり、あまり屈折しておらず、全方位平和外交的な日本が町田君なのかもしれません。
最深部はイエス様の復活物語のようですが、中間層は、日韓友好を願う作品だったのかもしれませんね。
追記Ⅶ ( 「情けは人の為ならず」 )
2019/6/14 9:05 by さくらんぼ
>プールへ落下し、「生きてた!」と驚くのは、「復活」の記号なのでしょうか。(追記Ⅴより)
映画の中盤、町田君は廃止される予定の廃墟のようなプールを、一人掃除していました。
人嫌いの猪原が逃げ込む場所だから、きれいにしてあげたかったのでしょうね。ごみを取り除き、きれいな水で満たしました。
( でも「廃墟萌え」という言葉もある通り、現実には、人によって、それがありがた迷惑の場合もあるのです。古い喫茶店や商店街は、リニューアルして客を増やそうとすることがありますが、少なくとも私が常連だった店では、ガッカリしたことの方が多いです(銭湯のリニューアルは嬉しかったですが)。古道具店のような雰囲気が気にいっていたのですから(もちろん「洗練された美は嫌いだ」という意味ではありませんよ)。
話がわき道にそれました。
その、他人様のためにしたことが、回りまわって、自分たちの命を救ったのです。
「情けは人の為ならず」
これが、この映画「町田くんの世界」の、表層部の主題でしょうか。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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