#ネタバレ 映画 「かもめ食堂」
「かもめ食堂」
2005年作品
観察された時は
2006/4/15 11:02 by 未登録ユーザ さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
かもめ食堂のウインドウの外には、中を観察する人たちが、次々と訪れました。ほとんどの人は無表情です。中には怖い顔をして、にらむ人さえました。
でも、店主は誰にでもスマイルを返しました。入ってきた人には「いらっしゃい!」と声をかけました。
思えば、店主がこの国で店を開いたのは、何らかの閃きがあったからです。客がこの店の扉を押したのも、何らかの閃きがあったからです。
閃きがあった者どうし、後はもう、それぞれ自分たちが持っているオリジナリティーを信じ、それでお相手すればよいのです。相手はそれに魅力を感じ、敬意を持ってくれるようです。根無し草はいけません。
ちょうど今は4月です。
職場にはフレッシュマンがやってきます。
彼らもまた先輩たちから観察される運命にあります。そういう先輩たちもまた、フレッシュマンから観察されています。来る人も迎える人たちも緊張を感じるシーズンです。
でも、大丈夫ですよね。この映画を信じて飛び込んでいけば。
この映画は食堂が舞台ですが、描いている事は、人々の出会いの姿だったのかもしれません。
追記
2006/4/16 16:01 by 未登録ユーザさくらんぼ
店主は合気道をしていましたね。映画の中でも少しだけ合気道の説明がありました。詳しくは覚えていないのですが、合気道とは相手と自分との気をあわせて・・・の様な話だったと思います。
そういえば、人と人との出会いも、気が合うとか、合わないとか、言いますね。どうやら合気道のエピソードは、日本人のアイデンティティーの意味だけでは、なかったようです。
映画中で「いらっしゃい」を練習する3人。挨拶とは、合気道の気合にも通じる意味があったのかもしれません。
追記Ⅱ
2006/4/21 22:37 by 未登録ユーザさくらんぼ
主人公の「いらっしゃい!」が、いわゆる気合の一つだとしたら。
店員になった女性の「ガッチャマンの歌を日本語で瞬時に書き出す特技」も、人に感銘を与える気合の一つです。ならば女性客が「酔っ払い客の杯を平然と受け、返杯までする」のも気合の姿だったのかも知れません。
何の気合でしょうか。
それは、「人と人とが知り合う為の、キッカケの気合」です。
この映画に「観察された時は」と言うタイトルを付けましたが、「自己紹介(さまざまな気合)」という、タイトルの方が良かったのかも知れません。
そう言えば、社会人とした生きていても、(もちろん通り一遍の挨拶ぐらいはしたけれど)「出会いの気合」は忘れていたなぁ。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)