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#ネタバレ 映画 「アンストッパブル」
「アンストッパブル」
対話を欠くと正義さえも暴走する
2011-01-20 17:48byさくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
人間と会話するように、言葉で操作できるロボットもあります。
ならば列車の運転席でレバーを操作することは、ある意味、列車と会話しているのと同じはないでしょうか。
( 列車はモラルの象徴としても映画に登場します。沢山の人を乗せ、荷物を載せ、時刻表どおりに、そして、いつも決まった道筋を走るという善をなすからです。)
そんなモラルの象徴も、文字通り、こちらが会話から降りてしまうと、この様に暴走するのです。
列車は燃料や化学薬品、穀物などを載せていました。石油をめぐって、食料をめぐって、世界中が争奪戦を繰り広げています。これらは、ひとつ間違うと戦争にも発展しかねません。戦争を始める者は例外なく自らの行為を聖戦と呼ぶでしょう。自分たちこそ正義だと。
映画のクライマックスで穀物の銃弾がウイルたちを直撃しました。まさに穀物戦争ですね。そして、燃料などが爆発する危険はもちろん戦争勃発の暗喩でもあるのでしょう。
でも、武力衝突には大変な犠牲が伴います。武力で止めるのではなく、なんとしても運転席で、本来の手段(対話・外交)で止めなければなりません。この様な場で活躍する特使とか密使とかいう人たち、彼らはフランクとかウイルですね。
この映画に出てくる、ウイルの妻の浮気疑惑や、フランクのリストラの怒りなど、対話を尽くしていない為の怒りも、同様なモチーフなのだと思います。
本当に目の前を列車が通過しているような、ガタン、ゴトンという振動が伝わる凄い音の映画でした。ですが、映像がブレル演出をしているので翌日も目に疲れが残ってしまいました。それだけは勘弁して欲しかった。
★★★
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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