#ネタバレ 映画 「うさぎドロップ」
「うさぎドロップ」
そして萌える時代へ
2014-12-11 22:19byさくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
映画「ちょんまげぷりん」では、現代へタイムスリップしたお侍が「男は外向きの仕事、女は奥向き(家内)の仕事、と決まっている」などと言うセリフを言いました。
今は男も女も、一生涯、外で働いてよい時代なのですが、それでも、古い考えは、まだ現代男性の、頭の片隅にも少々潜んでいそうです。
だから男の中には「妻が外で働くのは別にかまわないけれど、それは家庭内のことをキチンとやって、それでもまだ余力があれば、許されるもの」などと、思っている人もいることでしょう。
淑女たちの反論がこわいですね
でもこれは、昔の侍DNAを引き継いだ男の話であり、私の話ではありませんので、念のため。
ところで、そんな侍的男世界が今でもあったとしたら、映画「うさぎドロップ」は、その世界に、説教をするために生まれた映画のようです。
主人公・大吉のやっていることは、さも大変そうですが、これは、みんな普通のお母さんたちが日常的にやっていることなのです。それを男性の大吉がやれば、こんなに大変だと、ドラマになってしまう。
そして、大吉が引き取った6歳の、薄幸の少女の実母は、あの子育てをしない実母は、普通のお父さんが普段やっている姿なのです。それをお母さんがやれば、鬼母のドラマになってしまう。
夫と妻が入れ替わっただけなのに、です。
そして二つ目。
会社では、子育てが大変な場合、降格を申し出たり、残業の無い仕事へ異動希望をしたり、わりと臨機応変に対応できそうです。
それに対し、家庭では、夫の手助けがなければ、妻にほとんど逃げ場はありません。
だから、子育てをする母や父に、会社の方が便宜を図るべきだと言っています。
三つ目
よく、子どもの写真を年賀状などに印刷してくる人がいますが、あれは、単に「わが子可愛さ」だけでなく、親の深層心理的には「たいへんでも、立派に子育てをして、親の責任を果たしています。そんな自分を、大人として、親として認めてね」という、認知希望的な気持ちもあるのでしょう。それがラストのケータイ写真ですね。
ところで、ここも大事ですが、6歳の少女を育児放棄した母は、ほんとうは少女を愛していましたね。
名字で子供を気遣い、写真に一粒の涙を流し…。
でも、漫画家(アーティスト)という職業上、仕事の代役は無いし、始終、締め切りに追われ、休業も困難だし、ましてや降格などありえない。
そんな今、もし子供を選択すれば、事実上、母は失業してしまい、子供を育てにくくなってしまう。でも仕事を取れば、子供を失ってしまう…。
タイトルは忘れましたが、この間読んだエッセイに、貧しい国の中には、通りすがりの、見ず知らずの日本人旅行者(裕福に見えるらしい)に、自分の乳飲み子をもらってくれと、せがむ親もいると、書いてありました。
自分が育てられずに餓死させてしまうぐらいならと、子供を生かすことを第一に考えての行動らしいのです。なにか、それを思いだしました。だから単純に母を責められないのです。
日本でも昔は「口減らし」という習慣がありましたし。また「座敷童」という言葉もありますので、あまり人のことは言えません。
ところで、タイムリーにもTVのワイドショーで感動的な動画を紹介していました。
IT企業の「サイボウズ」さんが作った「大丈夫」という3分間の作品です。たしか12月20日からはTVでに1分バージョンがCM放送されるとか。
たかがCMと、あなどれない、なかなかの力作短編ですので、この機会にぜひご覧ください。ゆだんするとウルっときますよ。
「サイボウズ CM 大丈夫」で検索するとネットでも観られます。
★★★★
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)