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#ネタバレ 映画「愛と青春の旅だち」

「愛と青春の旅だち」
1982年作品
教官の「ルーチン」と、男女の「夢」
2017/6/14 8:28 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

士官候補生が入ると訓練教官の黒人軍曹フォーリー(ルイス・ゴセット・ジュニアさん)が徹底的に罵倒しながらしごくのです。

私も含め、今の若い人ならこの段階で精神的に参ってしまうかもしれません。会社組織でも陽性か陰性かの違いはあるでしょうが、「しごかれる」ものだと思います。

でもこれは、教官の「ルーチン」なのですね。彼は仕事上の演技をしているだけなのです。ある意味、店員さんがお客様にスマイルするのと同じ。

映画のラスト、めでたく卒業して仕官になった主人公・ザック(リチャード・ギアさん)が、バイクにまたがって後輩たちを指導する教官を眺めています。教官は馬鹿の一つ覚えのように「ルーチン」の罵倒をしていました。苦笑いして走り去るザック。

あれは、おじさんになった私が新人時代を思いだすときの気分に、少し似ているのかもしれません。ガンバレ新人!!!。

そして、もう一つ。

士官候補生は女性にモテモテなのですね。

白い制服が王子様を連想させるからでしょうか。

しかしザックの友人が脱落すると恋人は去って行くのです。

なぐさめて欲しいのに。

士官候補生ではなくなると、女にとって魅力半減。

残酷ですね。

仕官と恋人、二つの「男の夢」を同時に失った彼は・・・。

チャップリンの映画「街の灯」で、盲目の彼女が愛したのは金持ちであり、浮浪者ではないのですね。たぶんそれが「女の夢」。そんな事も思いだしました。

★★★★★

追記 ( 映画「ロッキー」 ) 
2019/7/17 16:56 by さくらんぼ

>でもこれは、教官の「ルーチン」なのですね。彼は仕事上の演技をしているだけなのです。ある意味、店員さんがお客様にスマイルするのと同じ。(本文より)

100%「ルーチン」「演技」だったかと言えば、今思えば、そうでは無かったような気もします。

基礎が「ルーチン」「演技」であるのは間違いないでしょう。

しかし、その上に、教官のプライドが乗っているのです。そして、その比重はかなり大きい。

教官は、この士官候補生たちが、やがて自分の上官になる事を、当然に知っています。

だから、上官として自分が仕えても良い人物だけを、無意識に選別している可能性が大きい。「こいつはダメな奴だ!」と烙印を押されたら、徹底的にしごかれて、追いだされるでしょう。

でも、どんなにしごいても逃げださず、最後までリングに立っていたら、対戦相手もその闘志に敬意を表して、一目置くようになる事がある。

その敬意が、最後に来る感動的な敬礼に結実しているのです。

だから、教官の敬礼は本気の可能性があります。

「よくもまあ、俺のしごきに耐えたなぁ…」という。

追記Ⅱ ( 映画「世界で一番ゴッホを描いた男」 ) 
2020/2/13 8:56 by さくらんぼ

よろしければ、熱き心を描いた、映画「世界で一番ゴッホを描いた男」のレビューもご覧ください。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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