#ネタバレ 映画「グランド・ブダペスト・ホテル」
「グランド・ブダペスト・ホテル」
2013年作品
ホテルと言う告解室もある
2014/7/6 5:44 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
ビル街の裏通りに、ちょっとクラシカルで大きな建物があり、その一階が、チェーン店の大きなコーヒー・ショップになっていました。
そこは喧騒から離れ、隠れ家的雰囲気もあるので、私はよく休暇を取って、朝からお茶をしていました。
たいていの客は9時を過ぎると、みんなオフィースヘ行ってしまうので、それ以後は、ひっそり感あふれる貸し切り状態なのです。
当時、ちょうど人生のターニング・ポイントである中年の厄年ごろでもあったので、天井のBOSE101から流れる琥珀色のジャズ聴きながら、禁煙の澄んだ空気の中で、引き立つコーヒーの香りを楽しみながら、いろいろと、物思いにふけっておりました。
もちろん可愛い店員さんもいましたよ。
一人になりたくて入ったお店なのに、一人になって、ひとしきりものを思うと、その後は、なぜか人恋しくなったりするものです。
いつだったか「○月○日の○時から店員さんを囲んでお茶とお話ができます」的な張り紙があって、すぐに「参加したい!」と思いましたが、根がシャイな性格ですし、時間限定ではなかなか行けなくて…いや…気がつくとお店に行っていました。
でも結局、シャイで参加できませんでした。私は、車座になって客と店員さんが談笑しているのを、遠くから、無関心を装いながら、ときおり横目で眺め、ひときわ苦いコーヒーを飲んだだけなのでした。あれは良い企画でした。ほかのチェーン店でもやってくれないかな。
ところで映画「グランド・ブダペスト・ホテル」。
私もリゾートが大好きで、特にビーチ・リゾート大好き人間の一人です。うるさい仕事や、都会の喧騒、わけのわからない人間関係や、ゴキブリのようなストレス。そんなものはぜ~んぶ放り出して、飲んでしまいたいほどの透明な海へ行ってみたい。いつも、そう思っておりました(一度口に含んでみたことがありますが、塩辛くて…あれは、やっぱり飲み物ではありません)。
でも、私の経験では、リゾートへ到着し、ビーチを散歩して5分後(正確にはホテルの玄関を出て、ビーチにつく前)には、ほぼ、完全にストレスはふっとんでいます(そんな程度のストレスしかないの?)。
元気になったその後は、ここで友達できないかなぁ、などと思うばかりなのでした。
行きずりの友達(もちろん水着の似合う美女)と、プールサイドバーで、家族にも親友にも話せなかった打ち明け話を楽しむ。ふと、そんなことを夢想したりもします。
ところでホテルにコンシェルジュ在り、というのは知っていましたが、せいぜい観光案内を頼むぐらいのことだと思っていました。しかし、世の中には、この映画みたいにコンシェルジュを使い倒す(失礼)人たちもいるのでしょうね。
そしてM・J・フォックスさん主演の映画「バラ色の選択」 みたいに、使い倒されたコンシェルジュと客との間に、信頼、友情、貸し借り、みたいなものが生まれると、コンシェルジュも役得ができ、やりがいも、さらに大きいのでしょう。
ところで、この映画では「教会の告解室」と、「ホテルのコンシェルジュ・カウンター」が符号しているみたいです。
私は、なにかの映画のレビューで「シスター代わりの看板娘」という話をしましたが、これは「神父代わりのコンシェルジュ」なのでしょね。
そうして、人間関係ができて、旧友、親友に会いに行くような気持ちで出かけられるホテルがあったら、それだけでも、泊まりに行く価値があるような気がします。
映像は超現実的かつカラフルであり、コミカル感が出るコマ落とし撮影もしているみたいですし、その努力、悪くはなかったのですが、なぜか、アクビが出てきたのは、そこがリゾートだったらでしょうか。
威厳が無くては高級ホテルとして生きてはいけない。
人情家のコンシェルジュがいなくては高級ホテルの資格がない。
★★★★
追記0.5 2023.9.19 ( 冷たい雨の日のおはなし )
>ビル街の裏通りに、ちょっとクラシカルで大きな建物があり、その一階が、チェーン店の大きなコーヒー・ショップになっていました。
あれは、早春か、晩秋か、冷たい雨の降る日でした。
いつものように、休暇を取ってそのカフェに入り、コーヒーを注文して、お金を払おうとしたら、店員さんの指にふれたのです。
そうしたら、「手が冷たいですね」と言われました。
そうです。雨が降っていましたから。
でも、そんな言葉をかけてもらえるとは、夢にも思っていなかったので、不意を突かれて驚きました。雑談をしたのは初めてでしたが、彼女は、そのお店で一番お気に入りの店員さんでしたから、正直、嬉しかったです。
その後ですか?、
なかなか雑談の追加も出来ず、そのお店は、1~2年後に、無くなりました。
追記 ( コンシェルジュになると友人が増える!? )
2017/3/11 14:14 by さくらんぼ
自分でも思いますが、この時期のレビューは饒舌ですね。「風が吹けば桶屋が儲かる」的に書きたいとの野望をもっていたこともありますが、下手な文章が余計下手になりましたし、最近は時短のために要点だけ書くようになってきているので、良くも悪くもカラーが違って来ています。本当は饒舌な方が私好みかもしれないけれど。。。
それはそうと…
人脈のネットワークを作るために世界を旅することができない人は、「高級ホテルのコンシェルジュになる」、という方法もあるかもしれない!?。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)