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#ネタバレ TV「ドラゴン桜2」

「ドラゴン桜2」
高原へ・・・
2023.12.5

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

(2023.12.3)

TV「ドラゴン桜2」を一挙再放送をしていましたので録画して観ています。そうしたら、主人公の演説から、1976年のTV「高原へいらっしゃい」を連想しました。オマージュかはまだ分かりません。TV「高原へいらっしゃい」は、ホテルの再起を目指す男が、話術を武器に戦うお話です。

ドラゴン桜は劣等生が東大へ行くお話ですが、同時に、仕事につまずいた元暴走族の弁護士が、再起をかけて仕事をする物語です。そして、彼の武器も法律というよりも話術が中心だったと思います。

高原へいらっしゃいのテーマ曲に込められた精神は、立ち上がろうとしている人々に共通するものだと思います。

又、TV「高原へいらっしゃい」でオープニングのテーマ曲と共にずっと映っていたのは、走る電車の先頭から見たレールでした。その動き続ける映像から、TV「ドラゴン桜」の主人公が元暴走族である事も連想できそうな気がします。そして、テーマ曲の歌詞にある「声をかぎりに叫んでた」という下りも、暴走族の爆音を連想させます。

(追記)

>TV「高原へいらっしゃい」でオープニングのテーマ曲と共にずっと映っていたのは、走る電車の先頭から見たレールでした。その動き続ける映像から、TV「ドラゴン桜」の主人公が元暴走族である事も連想できそうな気がします。

本文でそう書きました。しかし、これは連想する側の話であり、TV「高原へいらっしゃい」での、製作者側の映像の真意は、レールの下にある敷石を、延々と映すことだったのでしょう。ご承知の通り、線路には「バラスト」と呼ばれる敷石が敷いてあります。これは、TV「高原へいらっしゃい」のテーマ曲にある、「踏まれて、声をかぎりに叫ぶ石ころ」に符合します。

そして連想ゲームに戻りますが、TV「ドラゴン桜2」には、金が無いので、堤防で魚を釣って鍋にしていた主人公に、絡んできた釣り人が、脇に捨ててあった魚の頭をうっかり踏んずけてしまうシーンがありました。それをきっかけに二人はトラブルになります。私はなぜ魚の頭が出て来るのか不思議でしたが、あれも「踏んづけられた石ころ」の記号だと思えば、主人公の神経を逆なでする行為だったことが分かります。

少年の日の主人公は、不運の中で暴走族に入りました。そこで、このままではいけないという事に気づき、一念発起して東大に入り(5話あたりに、「東大へは行っていない」旨の、本人のセリフがありましたので、私の誤解です)、弁護士になるのです。

彼の計算では、それで人生の大逆転が起こるはずだったのですが、東大を落ちた教え子の自殺騒ぎで、自分の過去が暴走族であったことまで、週刊誌で問題視され、弁護士としての仕事が無くなってしまったようです。その為、安アパートにしか居場所はなくなったのに、そこの水道も止められ、今は生活保護を受けてもおかしくない生活をしています。その失意の中で、違法な釣りをしていた男からバカにされ、頭を踏みつけられたのです。

主人公は、東大を出ても、弁護士になっても、計算通り人生の成功者にはなれませんでした。「そんなはずはない」これだけ頑張ったのだから、「もう、おれは石ころではない」というのが彼の本音でしょう。主人公が生徒たちに向かって行う演説は、実は、自分への、「そんなはずはない」という叫びだったのだと思います。

ちなみに、石ころについては、こんなエピソードもありました。生徒のなかにクワガタか何かの虫が大好きな、一見、知恵遅れ風の少年がいました。しかし、彼は、寝転がって虫ばかり見ているのに、「今日は○時から雨が降るので気をつけて」と、晴天の中で主人公に注意したのです。そして、その通りになりました。

先日のNHK・TVでは、「フンコロガシ」が天の川を見て、糞を転がす方向を決めている事が、プラネタリウムでの実験映像と共に紹介されていました。なので、虫が空模様を占うとしても不思議ではありません。少年はクワガタという「石ころ」に興味を示しながらも、「アリの一穴からダムの決壊時刻を予想し、住民に避難を呼びかけることが出来る、リーダーになりうる資質を持っていた」のです。

追記2 2023.12.5 ( 「高原」と「話術」の意味は )

「高原へいらっしゃい」というタイトルの意味は、もしかしたら、「出世(高いポジション)しなさい」だったのかもしれません。

そして、この場合の話術とは、「言語化された夢」だったのでしょう。

追記3 2023.12.5 ( 主人公が罪を被った理由 )

主人公は女子高生の万引きを目にします。そして、万引きの証拠となるビデオを削除しますが、逆に脅されると思った女子高生は、主人公が住み込んでいる教室に放火するのです。主人公を罪人にして追放するために。しかし、それを目撃したボーイフレンドは、女子高生の罪を被ります。彼女を守るために。

しかし、放火が重罪だと知っている弁護士である主人公は、自分の過失失火であると警察で証言して罪を被りました。過失なら罪は軽いし、すでに元暴走族の烙印があるからです。私はこのシナリオが生徒の甘やかしだと思っていましたが、主人公が暴走族だった過去などの為に、出世できないでいるので、その同じ痛みを、将来ある子どもたちには与えたくないという親心だったのなら・・・。

追記Ⅳ 2023.12.9 ( 虫はドラマの中心か )

生徒のなかにクワガタか何かの虫が大好きな、一見、知恵遅れ風の少年がいた話ですが、彼は虫が飛翔するようすに興味がありました。だから標本は嫌いです。

ドラマの記号として考えれば、標本になった虫は石ころの記号でしょうし、飛翔する虫は、出世していく記号なのでしょう。



( これは2023.12.3のパレット記事を加筆再掲したものです。)


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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