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#ネタバレ 映画「ラスト・ターゲット」
「ラスト・ターゲット」
2010年作品
ファーザーの深い孤独
2011/7/16 9:58 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
ローマ法王が東日本大震災を経験した少女の「どうして日本の子どもは怖くて悲しい思いをしなければならないの」との質問に答え、「私も自問しており、答えはないかもしれない。キリストも無実の苦しみを味わっており、神は常にあなたのそばにいる」と答えました。
神にどんな計画があったのか、私のような凡人に想像できないのは当たり前でしょうが、法王にも神は答えなかったのです。ならば無名のファーザーたちも知らないのでしょう。
「ラスト・ターゲット」にも無名のファーザーが出てきます。彼はジャックに神との幸福な関係を熱心に語りますが、実は、あれはファーザー自身の、寡黙な神の前での孤独な姿を、無意識に告白した言葉なのではないでしょうか。
聖職者として人々の尊敬を集めるファーザーは、意外にも、人知れず一人孤独の中に苦しんでいたのです。人々はファーザーを慕い、ファーザーはそれに答えますが、今度はファーザーが神を慕っても、神は答えてくれないのでした。
一方のジャックは娼婦と日常的に交流しています。一人生きなければならない殺し屋の精神的な渇きを、一時的に肉でまぎらわしていたのでしょう。同様にファーザーも、神ではなく人(肉)に癒やしを求めたのです。もちろん肉といっても同性愛のことではありません。念のため。
あのときファーザーは、街で偶然に、自分と同じ孤独の影をまとっている一人の男を見つけました。ジャックです。現在進行形の殺し屋であるジャックはファーザーに心を開くことはできません。でも、これがジャックの引退宣言につながっていくのです。
このドラマが終わり、ジャックがいなくなって本当に悲しむのは、あの娼婦か、それともファーザーなのか、大変微妙なところです。ジャックの様な殺し屋なんて、そうはいませんから。
ジャックがキャンディーのケースに入った弾丸を女に渡すカフェのシーンの緊張感も印象的でした。
★★★
追記 ( 蝶 )
2016/5/25 21:51 by さくらんぼ
シロツメクサに蝶がとまって、
こっちを見てます。
シロツメクサって、
モスラの顔に似てる。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)