#ネタバレ 映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」
「ALWAYS 続・三丁目の夕日」
2007年作品
デジタル時代のアナログ礼賛
2016/2/21 22:04 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
少し映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の話をします。
駄菓子屋を営む茶川竜之介が、居酒屋店主のヒロミに、婚約指輪を贈ろうとするシーンが出てきました。
でも、申し訳なさそうにヒロミに前でリングケースの蓋をあけると…中は空っぽなんですね。
驚くヒロミ。
ところが次の瞬間、すべてを察知したヒロミは、説明しようとした茶川の言葉をさえぎり「着けて」と自らの指を差し出したのでした。
これは、健さんの映画「駅 STATION 」に出てくる、居酒屋にも匹敵する名シーンではないでしょうか。
そして、ときに私たちが口にする「愛」も、告白した時点では、みな「空のリングケース」みたいなものなのだと気づかせてくれました。
二人はそれを信じて共に進んでいくのです。その後の努力で、リングの実体を証明していくのですね。
ところで、この“見えない指輪”とは、言ってみればグレーゾーンであり“アナログの記号”でもあったわけです。言い換えると、在り無しがハッキリ分かれているのがデジタルの記号であり、おぼろなものがアナログです。
この「デジタル時代のアナログ礼賛」が、少なくとも映画「ALWAYS 三丁目の夕日」と映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」に共通して流れている基調低音の様な主題なのでしょう。
小説家を目指す茶川(吉岡秀雄さん)が、裏金を使っても芥川賞を取れなかったのに、踊り子のヒロミ(小雪さん)と結婚でき、淳之介とも暮らせるようになったのは、いかにもアナログ(浪花節)的な展開でしょう。
「おまえとは、縁もゆかりもない…」と言って抱きしめるのは代表的なアナログ決めゼリフですね。さらに大きなところでは「夕日」それ自体も壮大なアナログ。だから人はサンセットを楽しめるのです。他にも、アナログライクなエピソードはありますので探してみるのも面白いです。
それではデジタルなエピソードはと言うと、淳之介が宝物にしていた万年筆を、実父が捨てさせるシーンでしょうか。それに、そんな淳之介の実父の存在、あれは現代人の記号でしょうが、あれこそが代表的なデジタルの記号なのでしょう。
そして、その延長線上にはデジタル・ゴジラ(着ぐるみでない)が在り。対して髪の毛を逆立てて怒るアナログ・則文(生身の堤真一さん)がいました。
★★★★★
追記 ( ゴジラにも孤独な幼少期があった )
2016/2/22 13:22 by さくらんぼ
>そして、その延長線上にはデジタル・ゴジラ(着ぐるみでない)が在り。対して髪の毛を逆立てて怒るアナログ・則文(生身の堤真一)がいました。
そして、このゴジラは、第一作目の映画「ALWAYS 三丁目の夕日」には、トカゲ(あるいはヤモリ)!?として前半にワンカットだけアップで登場していました。
だからゴジラは、映画「 ALWAYS 続・三丁目の夕日」に唐突に置かれた客寄せパンダではなく、周到に準備された因縁の塊だったのでしょう。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)