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#ネタバレ 映画「ふきげんな過去」

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

「ふきげんな過去」
「ゴジラ」を待つ人々
2016-06-30 17:02 byさくらんぼ

映画「ふきげんな過去」と映画「レンタネコ」は、ある意味、対照的な作品だったのかもしれません。

映画「ふきげんな過去」では象徴的に「運河」が使われています。運河には「川」のような流れがありません。だから程度の差こそあれ「澱んでいる」。この「澱み」は主人公たちの「心の澱み・人生の停滞」の記号でもあります。

主人公・果子(二階堂ふみさん)は、直感的に、自分の出生に疑念を感じていました。「母は実母なのか」と。そんな中で生きてきて、思春期の終わり18歳頃になると、もう答えを出して澱みから脱し、前に進みたいのでした。彼女は進むために過去にこだわり続けたのです。

もしかしたら、こうやって「就活で成果が出ない、もやもや感」を表現していたのかもしれませんね。

主人公たちも劇中繰り返し言っていますが、これは「わからん映画」の一つです。しかし直感的に「出気は良い」と思います。できればもう一度観て、じっくり考えるのも良いですが、とりあえずザックリと「運河」を使って解釈しておこうと思います。

ラストには、果子が信じていたワニが運河に現れました。驚きと同時に、動かないから死んだと思い、少しがっかりする果子。しかし次の瞬間、ワニは動きだしたのです。それを見て微笑む果子の気持ちが分かったのなら、この映画も分かったのかもしれません。

あのワニは「澱みから立ち上がってきたエネルギーそのもの」であり、それは「果子自身」なのかもしれません。まるで「澱みと戦うには時にゴジラになることも必要」だと言うように。


★★★★☆


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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