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#ネタバレ 映画「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」

「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」
2014年作品
その花はバックヤードにある
2016/4/3 7:19 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

ホテルで紅茶を出されたイヴリンが、ぬるいお湯とティーバッグを見て「お湯は熱くなくてはダメ。歳を取ると、ぬるいお湯でお茶を入れている時間などないのよ!」と言って、とりかえさせました。

この映画は若い人にも観てもらいたいのですが、隠居した人間がのんびりしているだけかと言えば、決してそうではないのです。

60歳までがむしゃらに働き、やっと定年だと思ったら、平均寿命まで20年しかありません。隠居すると在職中に比べ時間が2倍速に感じることがありますから、実感としては10年しかないはず。健康年齢までなら5年しかありません。さらに若者と違い、だんだんと体力の低下を実感するようになります。

その心境を何に例えたらよいのでしょうか。

きっと“散り始めた桜の下でのお花見”なのでしょう。

シニアたちは、リゾートホテルでのんびりしている様に見えても、心は“もう一花咲かせたい”と、もがいているのです。映画「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」では、“その花はバックヤードにある”と語っているようです。

インド独特の泥臭さがあるカラフル(老人の記号かも)がほっとする映画でした。

★★★★★

追記 ( イヴリンの人生設計 ) 
2016/4/4 10:55 by さくらんぼ

イヴリンは一介の宿泊客のような顔をしていますが、実はホテルの共同経営者なのです。

だから何不自由なく生活することができますし、お客さんとも友達になれます。又、陰の権力者としてパワーを行使することも出来ます。映画「007」のMみたいに。

イヴリンは若いころから何十年も“床磨きを”して生きてきたのだそうです。お給料も高くはなかったと想像します。でも、きっと床磨きをしながら、いろんな勉強を続けたのでしょうね。その教養と下積み人生から学んだ知恵で、成功したのです。

当時の“床磨きの”賃金がいくらかは知りませんが、貯金をして、資産運用もしたのでしょうね。株は値上がりするものを見つけようとするから難しいのです。リーマンショック級の大暴落を待って、底値でたくさん買いこみ、市場が落ち着きを取り戻して“株価が元に戻ったら”売る。彼女ならそんな比較的ローリスクな手法も使ったのかもしれません。

そして、その札束を持ってインドに乗り込んだ。インドの物価は日本の1/3~1/4だそうですから。それもあってボロ・ホテルの共同経営者になれたのかもしれませんね。

単なるアパート経営とは違い“自分もゲストのふりができる”点でおもしろい選択かもしれません。

追記Ⅱ ( イヴリンの計算間違い ) 
2016/4/4 11:13 by さくらんぼ

しかし、そんなイヴリンが、映画のラストでは一人さみしそうにベッドに寝転んでいます。起き上がっても、今度はホテル内のベンチにぽつんと座って…背中がさみしそう。

このラストはいったい何を語っていたのでしょう。しばらく考えてみましたが、もしかしたらイヴリンには配偶者(あるいは恋人)がいない事が原因なのでは。若いころから緻密な人生設計をし、何不自由ない隠居生活を手に入れたはずのイヴリンでしたが、ひとつ計算間違いをしていたのでした。

そう言えばこの映画「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」には、結婚話とカップル誕生話が挿入されています。

その幸せ絶好調の後に、唐突に出てきたイヴリンの哀しみは、やはり隠居生活もお金だけでは解決できないことを語っていたのでしょうか。

追記Ⅲ ( 不治の病 ) 
2016/4/4 16:39 by さくらんぼ

そしてイヴリンは不治の病だったのかもしれません。紅茶のお湯がぬるかったエピソードのほかに、スズメバチの寿命が〇日だとか、そんな“時間が無いんだ”的な話もありましたから。

お互いに好意を抱いていたとされる、ダグラスとの関係を前に進めなかったのも、そのせいだったのかもしれません。



(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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