#ネタバレ 映画「スマホを落としただけなのに」
「スマホを落としただけなのに」
2018年作品
人の心は割れているものである
2018/11/22 9:47 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
(2018.11.18)
あちこちで書いてきたので、すでにご承知の方も多いと思いますが、私はケータイの類は持たない主義です。なにより電話が苦手ですし、糸の切れた凧になりたかったから。
でも、この頃、少し気持ちが変わってきました。
思えば、両親が亡くなった時、深夜に出かけた葬儀場に公衆電話は無く、帰りのタクシーを呼ぶのに不便でした。
スーパー銭湯にも公衆電話はありません。タクシー会社へのホットラインはありましたが。
さらに山の温泉へ出かけるとき、旅館へのシャトルバスが、待ち時間を30分経過しても来ないことがありました。ケータイを持っている人には「雪の渋滞で遅れます」とのメールが入っていたようですが、ケータイを持たない私たちは、吹きっさらしのバス停で、「もしかしたら、置いてきぼり?…」と不安が爆発しそうでした。
そして今年の夏の、台風と停電。光電話のわが家では停電になると電話も使えません。PCが電池で動いてもネットに接続できません。そんな時は公衆電話を使おうと思っていましたが、暴風雨では表に出られません。
そんな経験をしてみると、やはり、一家に一台ぐらいはスマホが必要なのかもしれないと、思い至ったのです。いつのまにか、どれを買おうかと、思案中になりました。なるべく簡単で、電池の持ちが良い物を。
(2018.11.19)
私は多くても年に数回しか電話をかけません。年に数回しか必要な電話もかかってきません。必要なメールも送受信合わせて月に数本です。
それらは、ほぼ固定電話とPCで間に合います。ケータイの類が必要だと感じるのは、数年に一度ぐらいでしょうか。
さらに外で音楽を聴く趣味はなく、写真は哀しい想い出を作り、小説もあまり読まず、ゲームもやりません。
それなのに毎月スマホ代を数千円も払い、カバンを重くし、充電の日課を作るというのは、いかがなものでしょう。
そのお金で、シニア料金の映画をタダにした方がよいのでは。
さらにネットを見ると、ケータイに関する、いろんな情報が飛び交っていて、オプションの勧誘だとか、複雑な料金体系だとか、安物買いの銭失いだとか、安くて十分だとか。
もう少し時期を待ちましょうか。
★★★★☆
追記 ( 「すぐに警察に電話した方が…」 )
2018/11/22 9:53 by さくらんぼ
そんなわけで、向学のためにと、この映画を観てきました。
失礼ながら、思っていた以上に、質の良いサスペンス(少しホラー)映画でした。語り口に、どこか、しっとりとした落ち着きもありましたし。
ラストは、映画「ビブリア古書堂の事件手帖」と同じく、「すぐに警察に電話した方が…」と思いましたが、それを除けば、大きな欠点も感じられません。
皆さまにお勧めできると思います。
追記Ⅱ ( 割れたスマホの画面に顔が )
2018/11/22 10:28 by さくらんぼ
映画の冒頭、誠(田中圭さん)が、(プロポーズを予定している)デートの誘いをメールしていますが、文言をどうするか、いろいろ迷っています。
彼には、昔、家庭教師をした女学生から惚れられた経験があるようで、その写真を大切にしています。もしかしたら、今回のプロポーズが失敗に終わったら、そちらへ乗り換えるつもりが、あったのかもしれません。
一番まともそうな、デートの相手であるヒロイン・麻美(北川景子さん)にも、死んだ親友になり代わったという、驚愕の秘密があります。
そして犯人には、幼い頃「お前なんか産むんじゃなかった」と母に言われ、愛情に飢えた哀しい過去があります。彼は母とおなじように、長い黒髪の女に憎しみを持っている一方、母に愛されたいという気持ちからか、自らも長い黒髪のウィッグをかぶって、母と同一化し、犯行に及ぶのです。
その一方で、コンピュータ犯罪からコンピュータを守るエンジニアの仕事もしています。
犯人を追うコンピュータ・オタクの新米刑事も、実は、犯人と似た過去を持っていて、黒髪の女性を見ると、幼児帰りしてしまうのです。しかし、彼は犯行までは起こさず(痴漢の危険はありそうですが)、刑事として生きる決意をしたのです。
こう見てくると、人の心は分裂しているものだという事が分かります。
犯人が被害者から奪い取ったスマホを、鉄アレイで壊すシーンがあります。
チラシには、割れたスマホの画面に、登場人物たちの顔が。
この映画の主題は、「人の心は割れているものである」だったのかもしれません。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)