【40話】ガサ入れ【まだ人間？】
-前回の続き-
去年の秋、家にガサが入った。
これだけギャンブルの記事を書いてきたが、ガサはギャンブルとは全く関係の無いものだった。
仕事も休みで家でゆっくりしていた13時頃、家のチャイムが鳴った。
宅急便も頼んだ記憶が無かったので、NHKとかだと面倒だなと思い居留守を決め込んでいると、何度もチャイムを鳴らされ、しまいにはドアをガンガンされ、温厚が取り柄の俺も流石にイラっときた。
昔ちょっとしたトラブルがあった時に買った護身用のマチェットを片手にドアを思いっきり相手にぶつけるように開けて
「何？」
と出ると、私服のオジサン４人組が立っていた。この瞬間にガサを確信したが、予想通り名前を聞かれ、ドラマで見るように令状を見せつけられた。
（普通ガサって早朝に入るんじゃないのかよ...）
「〇〇さんですね、裁判所の命令で令状出てるので、家上がらせてもらいますね」
先頭のO野と名乗る刑事が話し出し、後ろに居た坊主で一番ガタイが良くてイカツイ奴（名前忘れた）が前に出てきた
「手に持ってるの何？それで切られたら俺達危ないから離れた所に一旦置いて貰って良い?（笑）」
言われた通り、漫画だらけの本棚の上にマチェットを避難させられた。
流石に自宅の中では銃刀法違反の現行犯にはならないようだ。
部屋着姿で頭もグシャグシャの状態でソファに座らされる。
容疑は「大麻取締法違反容疑」
ちょっと待て、なんで今更？
どうやら地元で過去につるんでいた連中が最近軒並み逮捕され、当時の関係者として俺の名前が挙がったらしい。しかも俺が関わっていたのはざっと計算して16年前の事。
後にわかる事になるのだが、当時俺が開発した精製大麻（チョコ）のレシピが、今も大事に受け継がれて、絶賛販売中だったとの事...アホか...
どうやら３カ月近くも内偵がついていたようだが、俺があまりにも家に居ないので相当苦労したようだ。職場にも来ていたようだが、さすがに仕事中に踏み込む事はしなかったらしい。
令状に書いてある押収物は「PCと携帯電話」
当時の連中とはずっと連絡をとっていないので、LINEにも通話にも履歴は存在しない。当然俺は販売等やっていないのでPCのHDDを探した所で出てくるのはエロ動画くらいだ。
いや待て、見られては困るやり取りが...
もちろん俺が不安だったのはギャンブル関連。
単純賭博を超えた内容が履歴に残っている...これはマズい。
当時は客数も少なかったが若干のベットの受付や、誰かの盆に関する連絡のやり取り等があったのでそれだけが怖かった。
当時メイン携帯しか無かったので、それとPCを差し出し、その後任意で警察署へ調書を巻きに行った。
「あのー、携帯だけは仕事で使うので早く返して欲しいのですが...」
とりあえずガサ中に俺自身は薬物の売買と全く関わりが無い旨を説明し、警察も雰囲気から察してほぼほぼ信用したようで、薬物に関するやりとりの履歴が無ければ携帯はすぐ返すとの事。
※事実として当時でさえ俺は個人的に楽しむ範囲でしか製造していなかった
しかしPCは復元したりしてかなり作業が必要になるから少し時間がかかるようだった。（警察はPC購入当初まで遡って俺がダウンロードしては消してを繰り返したアダルト動画をサルベージするつもりなのか...）
ちなみに俺が好きなセクシー女優は「宝田もなみ」さんだ。Youtubeもチャンネル登録している
結果、翌日警察署に呼ばれ、仕事を抜け出してスーツで赴き、携帯は返してもらった。
「麻雀好きなの？ほどほどにね」
携帯の中身を見て言われたのはこれくらい。そもそも別件なので興味が無かったのか、
「インテル15」
「ローマ5」
「ウルヴァーハンプトン5」
「了解です」
みたいなやり取りが、何の呪文なのかさっぱりだったのかもしれない。
ただ一つだけ
「インカジの調査してるんだけどどこか知ってる場所無いかな」
みたいな事だけ聞かれた。
まぁ知ってても教える訳無いけど、大規模なインカジなんて本当に知らないし、「ゲーム喫茶ならやってましたけど？」みたいな与太話も時効とはいえわざわざするつもりもない。
適当にお茶を濁して本件終了。
後日検察庁に行って警察に話したのと同じ話をさせられて、どうせ起訴猶予だろうと余裕をぶっこいていたら罰金40万の納付所が来た。
ガサまで入れて立件できないのは警察もメンツが廃るようだ。
まぁ色々めくれないで済んだので喜んで払おう40万。納付書が届いたその日に郵便局で払ってきてやった。
友人Fのお陰で前科を免れてきた俺も、下らない事で前科一犯。
まぁ警察のガサも大した事無いわけで
ガサの時に寝巻で俺が座っていたソファに備え付けのオットマンチェア
あれが開閉式になっている事に気付ければ、後輩からたまたま貰ったジョイント一回分程度の乾燥大麻が出てきたのにね
ばーか
-続く-