大家が3人?!
テラス席許可の問題も解決策が見えない日々の中、一本の電話が鳴った。
「もしもし」という僕のことは全く無視していきなり電話口の相手は
「今月から家賃は私に払うように!」
と言い放った。
へ?意味がわからない。。。
メキシコにいると「意味がわからない」ことが沢山あるけど、大抵の場合はスペイン語がわからなくて言っている内容がわからない。だけど、この時は本当に「意味がわからなかった」
電話の主は僕のお店が入っている建物のオーナーらしい。
そして、彼女が言うには
「あんたが借りている店舗部分の大家」
でもあると言う。僕が借りている店舗の大家はディアナという20代の女性とその母親で、電話口のオバサンではない。でも、どうなにを説明しても彼女は
「今月から家賃は私に払うこと。嫌なら出ていけ」
と言うではないか。。とりあえず、「大家のディアナに連絡してみる」と彼女に伝えると。
「!=?”$(・&”&”&”!!!!」 とまくしたてられ、電話を切られた。。 すぐに僕はディアナに電話して経緯を伝える。
「心配するな」と一言。
メキシコではこの「心配するな」が特効薬の様に使われまくる。何があっても「No te preocupes!心配するな」だ。ことある毎に聞かされるこの「No te preocupes」は覚えておいて損はない便利な言葉である。
ディアナはまったく詳細も教えてくれることはなく、とにかく「心配するな」の一点張りだ。そして、とくに驚きもなく、むしろその突然の電話を覚悟していたようだったその口調が僕には不気味だった。
電話を切って頭を整理しようとしていたのも束の間、また電話が鳴った。。
今度は低い声の男性が、さっきの電話を盗聴していたかのように
「俺が本当の大家だから、絶対にさっきのオバサンの言うことは聞くな!その物件を借りたいヤツは沢山いるんだ、借りたいなら俺が大家だから俺に家賃を払えよ」
いかにもガラの悪そうなオヤジからの電話だ。その知らないオヤジは早口でまくしたてる。「自分が大家」だと主張している。
本当に意味がわからない。
僕が「賃貸契約書にはディアナが大家と記載されているし、家賃はディアナに払うから」と伝えると何を言っているかわからなかったけれど、おそらく「覚えていろよ!」というような捨て台詞を残して彼は電話を切った。
「意味がわからない」出来事が起こるとき、僕は無理に意味をわかろうとをしない。小さなことで言えば本当に意味のわからないことは無数にあるメキシコ生活で意味を見出すことには正に意味はない。ただ、受け入れて流れにまかせるか、解決策を見つけるかどっちかしかないような気がしていた。
テラス席は無許可で撤去、警告されるし、一日で大家と名乗る人間が3人現れる。
「No te preocupes。。心配するな」そう言ったディアナの言葉を信じてみようとした時、また電話が鳴った。。
つづく