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ドルフィーの跡にリゾームのジャズを生成変化させたICP

ICP Orchestra『Jubilee Varia』

ICP Orchestra:
Misha Mengelberg:piano
Michael Moore:clarinet,alto sax
Ab Baars:clarinet,tenor sax
Thomas Heberer:trumpet
Wolter Wierbos:trombone
Ernst Reijseger:cello
Tristan Honsinger:cello
Ernst Glerum:contrabass
Han Bennink:drums

1. JUBILEE VARIA SUITE 
2. JUBILEE VARIA SUITE 
3. JUBILEE VARIA SUITE 
4. JEALOUSY SUITE - A Bit Nervous Jealous?Me?
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6. ROLLO I

ヨーロッパのジャズムーブメントでもっとも注目されるべきことはエリック・ドルフィーがヨーロッパ・フリージャズに与えた影響です。フリージャズがアメリカでは音楽以前に黒人解放運動からの「フリー」ということで拡がってきた側面もあるのですが、そもそもオーネット・コールマンの「フリー・ジャズ」即興演奏のフリーで、純粋に音楽として「フリー」を言ってました。しかしそんなジャズは売れるはずもありません。それでヨーロッパに純粋に音楽としての即興演奏のフリー・ジャズが享受されていくのでした。

ICP(インスタントコンポーサーズプール)はサックス奏者のウィレム・ブロイカーとドラマーのハン・ベニンクとピアノのミシャ・メンゲルベルクが立ち上げたオランダ・アムステルダムのレーベルです。後の二人はエリック・ドルフィー『ラスト・デイト』でのリズムセッションだったこともあり、ドルフィーからの影響でセロニアス・モンクやエリントンにも造詣が深いようです。そもそもドルフィーの『ラスト・デイト』の言葉、

When you hear music, after it’s over,it’s gone in the air.You can never capture it again. (音楽は聴き終えると、空気の中に消えて、もう捕らえることが出来ない)

という一回生の即興演奏であるというドルフィーその精神を受け継いでいるのだと思います。アムステルダムという運河都市がドゥルーズに言わせればリゾーム状の都市だということで、音楽的にも切断(個)と接続(伝承)の繰り返しの即興演奏であるのだと思います。

(ジャズ再入門vol.43)

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