マッチ一本歌事のもと(第四話)
上条フミコの歌論は、「もだえ神」の巫女になることだ。まず「もだえ神」というのは俺だったら寺山修司。俺がすべてを捧げられる人物(神)をイメージする。そしてそれを世界に布教したいと行動するのが「もだえ神」に仕える巫女としての役目だという。だから「もだえ神」にとってこの世界は悪魔の棲む世界なんだ、と上条フミコの論理。
そして、上条フミコの「もだえ神」は中条ふみ子となる。その方法だが「本歌取り」という和歌(短歌の前身)の方法論があるという。徹底的に好きな歌を真似て物にしてしまう。それで自己を消していかないと単なるマスターベーションになると言うのだった。それには他者(悪魔)が必要ということだった。それで今日から上条フミコは魔女になるというのだった。わけがわからんけど。師匠にして魔女ということだ。
一日目の特訓はその儀式だったのだ。俺の身体に刻まれた刺青(赤ペンだけど)には、
と書いてあった。この返歌を考えてこいというのが上条フミコの宿題だった。「本歌取り」の手法を使っての返歌(ラヴレター)だとか。
少女というのが上条フミコなのか?逆だな。俺が処女(短歌初心者)みたいなもんだな。上条フミコの帽子は魔女の帽子だろうけど。それで鞭を持っていたらSMの女王様ではないか?
とメールをしたら、「いう」を「いふ」に訂正された。中七は字足らずだが、お前の今の状態だからそれはそのままにしておくと(短小小僧っていうことかあ?)。その他は訂正がなかったので合格としておく。続いての返信には、
なんともチンプンカンプンなメールだった。
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