『物語としての旧約聖書: 人類史に何をもたらしたのか』月本 昭男 (NHKブックス)
神の似姿に作られた人間は、大地を「耕す」と現在では翻訳されているのだが、「アバード」は「土を耕す」の意味よりも「仕える」「仕事する」という意味であり、それは神の奴隷となって仕えるということなのだそうだ。そして、それに逆らったために土地から呪われて代々の人間に不幸が訪れるのだという。まさしく神の僕(しのべ)とはそういう意味であり今ならブラック企業の従業員というところだろうか?
旧約は古代イスラエルの創世神話以前のオリエントの神話が混じっていると書かれてあるがこの本は古代イスラエル中心の物語をなぞっていく話であまり面白くない。というのは文学に出てく
る聖書とかに興味があって読んだのだが、ヨナ書が最後にちょこっと出てきたぐらいで、ヨナ書が旧約とは反する物語だと知った。
「バベルの塔」がバビロニアのことで、そうか、それで「バビル2世」はネブカドネザル二世(バビロニアの王)がモデルだったのだと知ったのだがそのぐらいで知りたいと思っていたヨナ書がなかなか出てこない。
その他ヨブ記も好きなんだがこれも最後のほうでコーヘレト書(コヘレト書は最近注目されている)に触れていて、これは空の思想で面白い。そのぐらいだったな。
最後の方で取って付けたように旧約の複眼性について触れている。