ヒルマ・アフ・クリントの名前は覚えておいたほうがいいかも
『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』(2019/ドイツ)監督:ハリナ・ディルシュカ 出演:イーリス・ミュラー=ヴェスターマン/ユリア・フォス/ジョシュア・マケルヘニー/ヨハン・アフ・クリント/エルンスト・ペーター・フィッシャー/アンナ・マリア・ベルニッツ
解説/あらすじ
画家の名はヒルマ・アフ・クリント。1862 年、スウェーデンに生まれた彼女は王立美術院で学び、伝統的な絵画で成功を収めたが、妹の死などを経て神秘主義に傾倒し、独創的な絵画を手掛けるようになる。その独創性は同じ思想を持つ 4 人の女性芸術家と結成した「5 人」の活動やルドルフ・シュタイナーとの出会いで、輝きを増していく。しかし、同時代の画家たちが新たな芸術作品を発表する中、彼女は自身の革新的な作品を世に出さず、自分の死後 20 年間は公表を禁じてこの世を去った…。月日は流れ、現代。突如、世界に発見された彼女は、各地で評判を呼び、2019年 NY のグッゲンハイム美術館の回顧展では、同館史上最高の来場数(約 60 万人)を記録し大きな話題となった。世界中の人々の心を鷲掴みにする彼女の絵は、なぜ 20 年を経ても世に出なかったのか。そして、自分で道をつくり、その道を歩んだ彼女が、目に見えるものを超えて見つめていた世界とは。キュレーター、美術史家、科学史家、遺族などの証言と、彼女が残した絵と言葉から解き明かす。
このドキュメンタリーはすごい良かった。まだ一部しか知られていない抽象画家ヒルマ・アフ・クリントのドキュメンタリー。カンデンスキーより先に抽象画を書いたとされるのが20世紀初め、女性でスウェーデンという絵画の中心から外れていたので、MoMAでも突然現れた女性画家を評価できず、NYの展覧会で知られることになった。
何よりも彼女の作品が売られず(注目されなかった)そのまま残っているということ。その作品郡の素晴らしさ。シュタイナーの神智主義に影響を受けているので、警戒するむきもあるんだろうけど、その幾何学的絵画は宇宙と自然の神秘主義的な絵画。彼女はそれを原子と言っているのだが、不思議な世界だった。絶対日本で展覧会をやったら人気が出るだろう。
カンデンスキーよりわかりやすいような。というか曼荼羅の世界のような吸い込まれていく絵画でちょっと怖い感じがする。それもけっこう神経が行き届いて感じで適当という感じではしない。彼女の父が海軍の教官だったようで、航海術で海図とか星座の見方を習ったらしい。なるほど頷ける。
ドキュメンタリー映画でこういう知られていない世界を見せてくれることは、その方面にも興味を引くし解説がわかりやすくて興味が持てた。何気なく選挙後に涼みに入った映画館での一本がとても良かった。