シン・俳句レッスン5
今日の一句
蝉の抜け殻。空蝉(うつせみ)とも言うが「抜け殻(ぬけがら)」の響きの方がスキかもしれない。「空蝉」というと雌の蝉で「抜け殻」というと雄の蝉のような気がする。あくまでも漢字から来るイメージだが。今日の一句。
昨日川柳のつもりで作ったんだが、昼の暑い中鳴く蝉のやけっぱちさを句にしたいと思って。
頭が働かない。
結局、川柳にして。
俳句と川柳の間が曖昧になる今日このごろ。
川野大『現代俳句 下』も借りてきたので気になる俳人から今日は中村草田男。寺山修司が推薦していたので入門書をよんだことがあった。いまいち難しい。
中村草田男
人間探求派。新興俳句の素材主義や皮相なモダニズム、無季俳句の急進的傾向等を激しく批判した。特に日野草城『ミヤコ・ホテル』の作句態度を人格的に軽佻なものとして難じた。「芸と文学」ということを確立させた俳句観。
「乙鳥(つばくろ)」はツバメのこと。つばくろと書けばわかるが「乙鳥」ではなんのことかさっぱりわからん。
「まぶしき鳥」と書いたのが新鮮であるよだ。「つばめ」には若いヒモの意味もあるんで、そっちの意味でも羨ましいのかもしれん。
二物衝動の句だが、上五と下の句は意味がまったく繋がらない。たまたま母校(小学校)を訪問した時の句だという。この句の先例として「獺祭忌明治は遠くになりにけり」があったという。パクリじゃねえか!
「蟾蜍(ひきがえる)」が読めないしわからないと何を言っているのかさっぱりわからん。こういうコトバは中国の古典とかで見つけてくるのかね。新古典主義だよな。
玫瑰(ばいかい)。これも読めないし意味もわからん。植物だそうだ。こういう句はもううんざりする。分かる人だけに分かればいいという感じで好きにはなれん。
加藤楸邨
加藤楸邨も人間探求派なのだが漢字探究派にならないことを望む。
こういう意味深の句も駄目だった。じゃあ最初から書くなと言いたくなる。なんかそのへんがもやる。分かるやつには分かる的な態度が嫌だった。やっぱこの辺の俳人は苦手だ。
渡辺白泉
川野大『渡邊白泉の100句を読む』に戻って
白泉も意味的なものはよくわからないが、読めるからイメージは掴める。霜のあと良く晴れたから元気よく門を潜ったのだろう。小学校とか修学旅行とかだそうだ。ただこの句から暗い影を読み取れるという。それはこの作者に後に戦争の影が忍び寄るからという。単独句でないんだな。
「限りなく」は今の句でも通じるな。白泉は林業の様子を連句的に表現していたのだが、この句だけ単独だと再開発のことを言っているようにも思える。
「昼休み」も無季で労働句だった。これも5連句の中の一つなのだ。5連句なるともう俳句を超えて詩だよな。この当時西東三鬼と付き合いがあって毎日句作をしていたという。自由の発想の句に西東三鬼は驚いたそうだ。「憲兵の前ですべつてころんじやつた」とかこの頃の作品。
「夕青き」は「昼休み」の句と同じ頃の労働句。ただこの頃白泉は赤の色に「リアリズム」を見出そうとしていたようだ。絵画的な句。
「夕青き」と同じ工場の休日に来たときに詠んだ句だという。労働が好きだったのか?いまだと用もないのに工場に来る邪魔なおっさんだけど。
アウトロー俳句
アウトロー俳句から新興俳句を経てアナーキスト俳句にならないか考えている。簡単な話、アウトロー俳句はそれでも有季定型なのだ。そのへんは世間のスジは通すというお考えのようなのであるが、アナーキストは自由律だった。
日記の方にも書いたのだがアウトローは根本的に違うと思う。アナーキストは憧れるが。アナーキスト俳句を目指そうかな?
「肉豆腐」は季語だろうか?小汚い店の定番メニューという詞書。そう想うと季語ではなくいつでも食べられると想うが、このクソ暑い猛暑で肉豆腐はないだろう。やっぱ冬にこそ相応しい。そして降り注ぐものは世間の冷たさの比喩だった。氷雨とかだろうね。
アナーキスト俳句。
「暖か」が季語だった。「春寒」という。
前に薬師丸ひろ子が季語だったことがあるから、ここでも内田裕也が季語だろうか?3月17日没だから「春寒」かもしれない。ロックンロールは冬の季語っぽいし。無季だった。
人名は基本無季なのだけど季語と相性がいいことは知っておくべきかもしれない。
深夜バスなんかでイヤフォンから漏れる音楽がビリー・ホリデイとかだったら泣ける。
「さくらんぼ」は夏の季語だけど一年中飲み物についてくる缶詰のピンクのさくらんぼだよな。でも大抵ソーダー水とか炭酸系が多いのか。この句は上手いよな。「屁理屈も理屈も」はどうでもいい話をしている場面とか、炭酸が抜けきって氷も溶けきって、最後にピンクさくらんぼだけが残っているという情景。そして、ストローでズーとか音を立てている冷房が効いた効いた喫茶店。
今日日炎天で寝ていたら死ぬよな。そういう願望かもしれない。
「アウトロー俳句」は無季であることより季語と組み合わせた方が情緒が出ている気がする。
川柳の本でダジャレは避けるべしと出ていたのだが、どうなんだろう。ここでは青空球児・好児のことなんだが、高校野球を皮肉っていることもある。「球児」は夏の季語か?高校野球は夏の季語。
「アンチ巨人」は川柳みたいな句材だな。「月尖る」がポイントか?季題が立つということだ。「アンチ巨人」は脇。
「六本木ヒルズ」は完全に無季だよな。でも夏の季語のような気もする。こういう場合過去に有名句があるかどうかで決まることがあるんだよな。「六本木ヒルズ」はクリスマスかもしれない。地名の俳句はどうなんだろう?短歌は多いが。
秋の雨。ふしぎと惹かれてしまう句だ。
ラジカセはいいけど「ガムテ」の略語は普通は許されないのだが、村祭という季語のコミュニティがあり「ガムテ」というコミュニティと対になっているのだ。で、ここでも季題「村祭」が立っているのである。言霊として。