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シン・俳句レッスン63

銀杏。銀杏並木は今年まだ見てなかったな。横浜は見事なんだが億劫になってしまった。去年の写真があったかな。


銀杏。ぎんなんで詠む方が多いのか。いちょうだと銀杏並木ぐらいしかないかな。

銀杏(いちょう)問ふ銀杏(ぎんなん)落として御神木  宿仮

NHK俳句

山田佳乃選者「薬喰」。難しい季語だった。銀杏とかも薬喰とか言うのかな?

御神木銀杏集め薬喰  宿仮

ネット句会。前回はブービーで本気を出したが、一句はまるっきり引っ掛からなかった。モネの雪の絵を見て一句というかなり難題だったので。ただこの句からNHK俳句の「扉」で投稿した。そっちはかなり自信作。

白菜や何を入れてもひとり鍋(10点)
銀幕のシアター出てから雪世界(0点)
フード取りねずみ男の返り花(2点)

フード取りねずみ男の返り花

は「ねずみ男」だと返り花が自分の者になるとか。「や」にはしたくなかったんだと思う。「と」かな。ねずみ男の過去はもしかして貴種流離譚のような感じなのかもと言う読みが良かった。俗と雅な世界を対比させたかった。「返り花」は「帰り花」もあって、意味の違いを学んだ後だった。

それを考慮して、改作。

フード取りねずみ男や帰り花

やっぱ「や」かな。「と」だと離れすぎてしまうような。「に」でもいいか?

銀幕は銀世界としたかったのだが、「銀世界」が季語ではないと知って雪世界にしたのだけど、納得かな。

俳句いまむかし

坪内稔典『俳句いまむかし みたび』から。

さんたさんまいごになったらでんわして  川田聖令愛(せりあ)

凄いキラキラネームだな。作者は立命館の小学1年生だそうだ。子供ならではの俳句かな。

会堂に国旗立てたりクリスマス  正岡子規

正岡子規の反骨精神かな。稔典さんの解釈は国旗は万国旗だというが、絶対日の丸だろう。

御神木クリスマスツリーのお飾りに  宿仮

歳晩のハーレー団どどどどど  成田一子

オノマトペの勝利か?ハーレー以外にないよな。「歳晩」は初めて知る言葉だった。「年末」ということらしい。歳晩の方が重量感はあるかな。

貧楽や釣の書をみる年の暮  幸田露伴

「貧楽」は『論語』にあって貧しさを楽しむこととある。書物整理で思わず釣の書に釣られたとか。面白い。

大粒の寒星闇をととのへる  大谷昌子

「闇をととのえる」という表現か。「ととのえる」はサウナとかで良く使うような。

寒星や神の算盤(そろばん)ただひそか  中村草田男

意味的に前の句と似てたような句だが。「神の算盤」と言ったことが宇宙の真理みたいで面白いか?「神の算段」では当たり前。ご破算にならないか?今だとコンピュータだというのは稔典さん。

雪の日は外の木みんなすましてる  三浦咲季

小学生4年生の句。なんとなく小学生の句だと思ってしまうのは素直すぎるからか?

よく晴れて雪が好きな木嫌ひな木  飯田龍太

松とか椿には雪が良く似合うと思うのだが嫌いな木とは何だろう?熱帯樹林の木かな。ヤシの木とか?サボテンは嫌いそうだが。

きみみかんむいてくれしよすじまでも  川上弘美

ひらがな俳句だけど「くれし」という古語が年の功か?蜜柑を筋まで剥く人は最近の人ではないよな。そもそも人に剥かせるなんて。「楽しさは湯豆腐に浮く豆腐くづ」も同じ作者の句。こっちのほうが好きかな。

累々と徳狐ならず蜜柑かな  夏目漱石

漱石の句もわかりにくい。「徳狐」は論語「徳は狐ならず必ず隣あり」から来ていて道義を説くものは孤立しないということらしい。今はその逆ではないか?蜜柑がこたつにあった時代までのことだな。

手で割りし君への林檎ぶっきらぼう  峰崎成規

ひところ林檎を握力で潰すということが流行ったが、そんな感じの力の誇示なんだろうな。文明の利器を使えよと言いたくなる。林檎の皮を切らずに繋げて剥く人に憧れる。

この皮が切れたらお別れ林檎剥く  宿仮

林檎割る味噌っ歯風の吹く日かな  飯田龍太

こっちのほうが野生人という感じがする。これは好きな俳句。

熱燗の一献明智光秀へ  田彰子

「光秀ゆかりのまち亀岡俳句大賞」の入選句だそうだ。明智光秀が何故出てくるかわからなかったがそういうことだった。

熱燗や虚々実々の話とび  下村非文

「虚々実々」がいい感じか。畳語だよな。

まあ一献オン・ザ・氷柱(つらら)と参ろうか  安遊駈

「一献」は流行りなのだろうか。あまり使わない言葉だった。そうか酒飲みの言葉だった。「オン・ザ・氷柱(つらら)」はCMみたいな感じだ。

月光のつらら折り持ち生き延びる  西東三鬼

「生き延びる」が常時ではない感じだ。戦時とか戦後の句かもしれない。月光のつららだから灯火管制なのかもしれない。焼け野原につららが光っている。いい句だと思う。稔典さんは自分の命をつららに見立てていると詠む。そっちか?でも「折り」が入っているから希求につららを求めたのだろう。「折り」が「祈り」なら稔典さんの解釈でもあるかもだが。

偲んだり食べたり厚着に肩凝ったり  池田澄子

池田澄子は口語俳句の第一人者。「り」のリズムがいい。普通俳句は一句に動詞一つとか言われるのだが、こういう使い方もあるのだった。

重ね着に寒さも知らぬ姿かな  上島鬼貫

鬼貫は越中ふんどししてそうな姿だな。でも重ね着をしっかりしているのか?今の時代は重ね着よりも発汗アンダーウェアで寒さ知らず。真冬の立ち仕事が経験あるから防寒グッズは揃えている。マフラーとか手袋とかニット帽の方が有効だよな。一番はホカロンか?ホカロンは季語じゃないので簡易懐炉とか使い捨て懐炉とか言うのだっけ?

立ちん坊ホカロン常備真冬かな

おめかしの背中にうふふふホッカイロ  武田近子

すでに「ホッカイロ」でも詠んでいる人がいた。

腹稿を暖めて居る懐炉かな  正岡子規

正岡子規は腸が悪いのか腹を温めるのだな。どっちもどっちだけど低温やけどするので足用が一番いいかな。「腹稿」は原稿を温めるということだった。アイデアということなのか。


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