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月並みの月を集めや闇照せ(月百句+詩)

「夏井いつき俳句チャンネル」の月で百句詠むの一環で12ヶ月の月を詠みました。


第1句 立秋の月を追いかけマメを得る


第2句 粗大ごみ無月なる日に捨てに行く


第3句 天満宮月にかわってお仕置きよ


第4句 天満宮月にかわってお仕置きよ


第5句 朧月香川の月はいつもの奴

ネイティブアメリカンが満月に付けた呼び名から(第6~18句)

1月の満月「ウルフムーン(狼月)」
2月の満月「スノームーン(雪月)」「ハンガームーン(飢餓月)」
3月の満月「ワームムーン(芋虫月)」
4月の満月「ピンクムーン(桃色月)」
5月の満月「フラワームーン(花月)」
6月の満月「ストロベリームーン(苺月)」
7月の満月「バックムーン(牡鹿月)」
8月の満月「スタージョンムーン(チョウザメに由来)」
9月の満月「ハーベストムーン(収穫月)」「中秋の名月」
10月の満月「ハンターズムーン(狩猟月)」
11月の満月「ビーバームーン(ビーバー月)」
12月の満月「コールドムーン(寒月)」


暦月俳句

1月句 満月の遠吠えの狼Waouuu...…

2月句 飢餓月の闇に埋もれた猫土産

3月句 芋虫月わらわら集会ケムンパス

4月句 かぐや姫桃色吐息 月御殿

5月句 満月にイタコ呼びだす五月祭

6月句 月追って「ストロベリー・フィールド・フォーエヴァー」

7月句 牡鹿月バッククラッシュ角落とし

8月句 満月に海に生まれて海月かな

9月句 名月も月並みの句も同じ月

10月句 神無月狐と踊れ月を狩る

11月句 寒月や缶カラ転げ追いかける

12月句 こいこいと坊主呼び込み月見酒

第19句 柔らかな月見団子は言葉だけ(飾っている間に硬くなってしまう)

第20句 満月や妊娠検査薬は陰

第21句 新月や迷い猫町裁判所

第22句 名月や風邪で寝込んで月知らず

第23句 スキだけが生存のパワー寝待月

第24句 敬老の月スマイルカットに苦い顔

第25句 新月や深爪痛く野わけ跡

第26句 新月や大道芸の野毛小路

第27句 新月やピエロは月を消したまま

第28句 月天心ルーブル・ダッシュ新記録

第29句 月光の祈りの象は檻の中

第30句 そろりそろりと老人の月歩き(ムーンウォーク)

第31句 十三夜アミメキリンの舌の先

第32句 五円玉賽銭前に月覗く

第33句 都市の月四方のビルに昏(くら)くなり

第34句 月影に犬っころ草と戯れて

第35句 立ち止まり曇り空から隠れ月

第36句 ぺったんと遅れた我は月兎(げっと)眺め

第37句 井戸の月落とした石こだまする

第38句 月照らす黄金の木の葉を散らす

第39句 セロニアス・モンクのピアノ月歩き

第40句 古池にかわず飛び込み月兎(つきうさぎ)

第41句 神殺しツクヨミ隠す月影に

第42句 永遠と睨み合うかな月と陽と

第43句 とくとくと盃に月飲み干すか

第44句 月を抱く蛙は水に沈みけり

第45句 砂浜に月下の恋人『金色夜叉』

第46句 月光よ月より綺麗『白雪姫』

第47句 『外套』はペテルブルグの橋の上

第48句 戦闘機月を曇らす爆撃か

第49句 ウクライナ赤い半月血膨れて

第50句 はじめてのお使い月と五百円

第51句 月の石浜辺に落ちて探すかな

第52句 ラアラアと月に管巻く中也かな

第53句 赤ワイン月食領主に勧められ

第54句 上る月車椅子の砂浜で

第55句 三日月や終電に遅れ苦笑い

第56句 月待ちて句合いの月無月かな

第57句 寒いから屋台のうどん月見酒

第58句 十月の月は忌む神十字架に

第59句 十三夜少女は窓に腰掛ける

第60句 『明月』と『名月』拒む作家かな(川端康成『明月』を読んで)

第61句 雨月
    金木犀の木の下
    深呼吸

第62句 粗大ごみ月を見に行くついでにと

第63句 ルナティック月百句まで廃人に

第64句 危ういか葛原妙子の月の歌

硝子戸に鍵のかけてゐるふとむなし月の夜硝子に鍵かけること  葛原妙子

穂村弘『ぼくの短歌ノート』

第65句 月天心 心太(ところてん)押し 月ひかり

月天心貧しき町を通りけり 与謝野蕪村(『自筆句帳』)

『芭蕉・蕪村 春夏秋冬を詠む 秋冬編』

第66句 無月にムーンライダーズ夜明けまで

第67句 ゴミ捨てに空を仰ぎ上弦の月

第68句 天高く弓張月の「バーフバリー」

第69句 腹減りて午前三時の冬満月

第70句 月仰ぎ階段上り足に豆

第71句 遠い月ライブの客照らす月
    ライブでは遠すぎる月照らす吾

第72句 都市の月四方のビルに昏くなり

第73句 狼月も監獄ガザの黙示録

第74句 手毬唄(手毬唄)狼の月夜空へ

第75句  狼月ひたひたと我に迫りたり

第76句 狼煙見て戦場(いくさば)へ行く狼月

第77句 狼月瞬きすれば物の怪

第78句 大睦月(おおむつき)月月月につきはなし

第79句 待つ人よ月の雫はすぐそこよ

第80句 癖三酔月の雫を眺めゐる

第81句 月の雫が落ちてゐた  宿仮

第82句 月読命はひとり照らしてクリスマス

第83句 桂男仰ぎ見る月「パーフェクト・デイ」

第84句 臘月 蝋梅の花ひつそりと

第85句 月光が増すほど走る静電気

第86句 こんこんと月夜は寂しい狐憑き

第87句 十五夜の月に疲れた夜更かしさん

第88詩

新月
十五夜ににわかツクヨミが申すには
月が出ないのに新月という闇の世界があるのだと
闇から始まる夜から一五夜
闇夜がなければ月も出ない
太陽だけが燦燦と耀く

第89詩

月の詩
月を探しながらの
帰り道は迷子に注意
都会は灯りが多すぎて
月も見失う
いつも前にあるとは限らない

第90詩

無月

ほんとうに書くのだろうか
有為ならざる日々の果て
ほんとうにお前は生きているのだろうか
お前はお前の言葉を探している

ほんとうに下りてしまったのだろうか
無為なる傍観者の夢
ほんとうにこれでいいのだろうか
お前はお前の道を歩いている

躓くのが怖くて歩けない
それは実感
立ち上がるとふらつく
それは恐れ

夜間工事で眠れない日々
これ以上何を舗装しろというのか
逆光線 秋雨濡れ君はダダ…

第91詩 風船海月

第91句 雪の月君の白髪輝いて  宿仮

第92句 満月に髪を結んで祈祷する  宿仮

第93句 餃子月酔ひを冷ましてラーメン屋  宿仮

第94句 狼月(ろうげつ)は晦日過ぎたら雪の月

第95句 除夜の鐘吾を統ぶ月 臘月や  宿仮

第96句 白兎月も輝く春が来た  宿仮

第97句 新月の路上ライブ無我夢中  宿仮

第98句 如月や井戸の底揺れ月鏡  宿仮

第99句 月影をまたいで通る二月かな  宿仮

第100句 銀幕の地下シアター雪の月  宿仮

第101句 三日月や亡き人思ふ更科の月 宿仮

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