成金ジャズだったガドー・バルビエリ
ガトー・バルビエリ『チャプター・ワン』( Impulse!/1973)
Gato Barbieri (ts)
Raul Mercado (quena) #1-3
Amadeo Monges (Indian harp) #1-3
Ricardo Lew (elg) #1,3
Quelo Palacios (g) #1-3
Isoca Fumero (charango) #1,3
Antonio Pantoja (anapa, erke, siku, quena, erkencho) #1-3
Adalberto Cevasco (elb) #1-4
Dino Saluzzi (bandoneon) #4
Domingo Cura (bombo indio) #1-3
Pocho Lapouble (ds) #1,3
Jorge Padin (perc) #1,3
El Zurdo Roizner (perc) #1-3
Osvaldo Bellingieri (p) #4
今週の「ジャズ・トゥナイト」はゴージャス・ジャズ特集。ビックバンドが多い中で、ガドー・バルビエリのこのアルバムの曲がかかりした。アルゼンチン出身のガドーが地元ミュージシャンを集めて制作したアルバムでガドー以外に著名なミュージシャンはいない。アルゼンチンでは有名なミュージシャンだということですが。アルバムもガドーのテナー・サックスの雄叫びがメインで周りはお囃子役というところでしょうか?
ガドーというと映画『ラストタンゴ・イン・パリ』の音楽がヒットして成金のようなミュージシャンになりました。『ラストタンゴ・イン・パリ』以降は、ほとんど売れ線狙いのフュージョン・ミュージシャンと堕したのですが、このアルバムではまだ地元ミュージシャンを集めてワールド・ミュージック展開しています。元々はフリー・ジャズをやるミュージシャンだったのに、時代を読んだということです。
ガトーと言えば、チャーリー・ヘイデン『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』での解放戦線の人民の叫びのような雄叫びが一番印象深いのですが、これはカーラ・ブレイの指揮するところが大きかった。鞭を持った調教師の如くガドーを手懐けていたのでした。
インパルス時代のガドーは、まだフュージョンに毒されていないのですがフライング・ダッチマン時代になると売れ線狙いのフュージョン化していきます。ガドーもそれはわかっていたのか、晩年はまたストレートなジャズ・スタイルに戻っていたようです。
インパルスのガトーはこれが一番入手しやすいと思います。次の『チャプター2』もお勧めです。むしろ私はこっちの方が好きかな。3は、ちょっとフュージョン寄りで4はフュージョン寄りだけど、まだライブ盤なのでガドーの絶叫スタイルの特徴が出ています。鶴光じゃないけど、男根テナーという感じです。