今頃スパークの遅すぎるスパークス・ブラザーズの凄さ。
『スパークス・ブラザーズ』(イギリス/アメリカ/2021)監督エドガー・ライト 出演ロン・メイル/ラッセル・メイル/ベック/アレックス・カプラノス/トッド・ラングレン/エドガー・ライト
解説/あらすじ
兄ロンと弟ラッセルのメイル兄弟からなる「スパークス」は、デビュー以来、謎に包まれた唯一無二のバンド。レオス・カラックス監督最新作『アネット』で原案・音楽を務めたことでも話題沸騰中!そんな彼らの半世紀にもわたる活動を、貴重なアーカイブ映像やバンドが影響を与えた豪華アーティストたちのインタビューと共に振り返る。スパークスの魅力を語るのは、グラミー賞アーティストのベックをはじめ、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、アレックス・カプラノス(フランツ・フェルディナンド)、トッド・ラングレン、デュラン・デュラン、ニュー・オーダー、ビョーク(声の出演)など 80 組にのぼる。音楽界の“異端児”と呼ばれ、時代と共に革命を起こし続ける<スパークス兄弟>は、なぜこれほどまでに愛され続けるのかー。挑戦的かつ独創的な楽曲、遊び心溢れる映像、さらには彼らの等身大の姿までを捉え、その理由を探る。自らもスパークスの大ファンだと公言するエドガー・ライト監督によるカラフルな世界に酔いしれる!今年の音楽映画決定版!
謎のミュージシャン・スパークスを知るためのドキュメンタリー映画。何故それほど知られていなかったか、というとアメリカ人なのにヨーロッパで評価されたから。アメリカだとコミックバンドと受け取られていたようだ。特にスパークス兄がチャップリン演じるヒトラーみたいで。
また彼らは音楽シーンの最先端すぎてまだメジャーになれなかった。ヒットすると次は違う路線に行ってしまう。ポップなヒット路線を狙っているのに尖った音楽を求めてしまうのだ。ビートルズがそんな感じだったがビートルズにはなれなかった。ただポールが彼らを真似たのでミュージシャンからは多くリスペクトされていたのだ。
ミュージシャン・ミュージシャンという感じなのか。それもポップスの世界で。彼らの最初のヒットが「コンピューターガール」という曲で、まだクラフトワークもYMOも出ていなかった時にヒットを飛ばしている。あと弟の声は今で言うオペラ歌手のような高音ヴォイスでクイーンと似ていたことも亜流とみられたのかもしれない。実際はスパークスに影響されたミュージシャンを彼らがパクっていると思われていたりしたようだ。
メジャーを狙うなら売れ線ポップスでも良かったのだろうが、そこに批判精神が入る。メジャーになることの反発もあったようだ。それでも息の長いバンドとして絶えず変化を求めながら活動をしていたというのはスパークス兄のオタク性みたいな感じだった。
映画にも興味を持っていたことで、ジャック・タチと映画を作ろうとしたり、ティム・バートンとは日本のアニメ映画の音楽を担当していたが制作中止になってしまったという。『アネット』も・カラックス監督にアイデアを持ちかけたのはスパークスの方だった。映像的なライブも音楽よりはミックスメディア路線で評価されているようだ。
今受けているのは一時的なものなのだろうか?でも彼らのミュージシャンとしての経験はすでに50年も続いているのだ。インタビューもそうそうたるミュージシャンが、彼らを評価している。売れる売れないは関係なく自分たちの目指す音楽をやっているのだった。「マイ・ウェイ」を歌うミュージシャンに成りたい気持ちだけど「マイ・ウェイ」を歌えないミュージシャンの歌という曲が面白い。